2017年2月21日火曜日

ネパール語新聞、異国生活の支え 1万2000部、日本で唯一発行

Source: http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/308526
2017年02月16日、GOOGLEニュースより


 近年急増している在日ネパール人たちに日本での生活に必要な情報を届けようと、東京都のネパール人ティラク・マッラさん(53)が新聞「ネパーリ サマチャー」を発行している。日本国内唯一のネパール語の新聞として、九州を含め全国に配送している。インターネットに押され、日本の業界と同様に紙離れは深刻だが、編集長を務めるティラクさんは「紙の新聞にこそ読者に訴える力がある」との信念を持って、取材活動を続けている。
 「ネパーリ サマチャー」はネパール語で「ネパールの新聞」の意味。ネパール人向けの料理店や食材店が立ち並ぶ新宿区百人町に事務所を構え、会社を立ち上げて運営している。1999年創刊。隔週発行で、発行部数は1万2千部。8ページの紙面に日本と母国の政治経済や在日ネパール人の活動など多彩な話題をネパール語で紹介し、消費税の仕組みやごみの出し方など生活に密着した情報の発信にも力を入れている。ネパールの事務所と合わせて計10人で取材や営業をこなしている。
 ここ10年で10倍の約5万4千人に増えた在日ネパール人にとって貴重な情報源で、「日本語が分からない人も多い。異国で暮らす上で必要なニュースを厳選して届けるよう心掛けています」とティラクさん。
 ただ、近年はネパール語でニュースを配信するサイトや仲間同士で情報を交換する会員制交流サイト(SNS)も増えて苦戦。新聞の購読料は年間5千円で利益は出ず、ホームページ制作や通訳など経営を多角化して収益を確保している。
 それでも新聞の発行を続ける理由はティラクさん自身の体験にある。20年ほど前に来日した当時、日本語もあまり分からず、唯一の情報源は、帰国した知人が時々持ち寄る母国の新聞だった。友人同士で回し読みするうちに「新聞って面白い。日本でも発行し、ネパール人同士で助け合いたい」と思い立ち、A4判の1枚紙に母国の選挙のニュースを載せて配ると、みんな食い入るように読んだ。
 ティラクさんは「ネットは誰でも発信できるし、無責任な情報もあふれているが、新聞は読者に寄り添い、信頼性を高めてきた。読み応えのある記事を発信し続けたい」と力を込めた。
=2017/02/16付 西日本新聞夕刊

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