「気候変動によって起こる自然災害が、家や土地を奪うなど人々の基本的人権をおびやかしている」。アジア10カ国の環境NGO団体が気候変動をテーマとしたシンポジウムで現状と課題を伝えた。環境NGOのFoE Japanが1日、都内で開き、環境問題に関心のある学生・社会人約140人が参加した。(オルタナ編集部=辻陽一郎)
■被害を受けるのは、気候変動の責任が少ない人々
FoE Japanのプログラム顧問を務める小野寺ゆうりさんは、「気候変動は環境問題として認識されているが、根本的に人権の問題だ。気候変動によってアジアで毎年千万人単位の人口移動が起きている。家や土地、文化を奪われているのは、気候変動への責任が最も少ない人々だ。日本人のように汚染する側の責任としてこの事実を考えていかなくてはいけない」と述べた。
1980年~2010年に起こった自然災害で亡くなった人々の4分の3は途上国の一番貧しい人たちだ。パリ協定で世界の平均気温の上昇を2度よりもできるだけ低く、そして1.5度以下に抑えるため努力をすることが合意されたが、目標を担保する仕組みはない。先進国が温室効果ガスを大量排出する構造が変わらない限り、気温上昇は3度に近づいていってしまう。
■洪水や気温上昇など様々なリスクが発生
ネパールのプラカシュ・ブサルさんは、「ネパールは温室効果ガスの排出量が全世界の約0.027%にもかかわらず、気候変動の悪影響を受ける最も弱い国の一つだ」と訴えた。ネパールのヒマラヤでは、氷の量が29%も減少したため氷河湖が決壊し洪水が発生することが懸念されている。湖の下にある村は常に洪水のリスクと隣り合わせだ。
スリランカ・コロンボでは、今年5月に洪水が発生し30万人の住民が家屋をなくし、150人以上が死亡した。インドでは熱波で約2400人が亡くなり、干ばつと水不足で3億3千万人以上が被害を受けている。
スリランカのヘマンサ・ウィサネージさんは、「アジア諸国にできることは化石燃料への投資を中止し、再生可能エネルギーへの移行を進めることだ」と主張した。日本や中国、インドはいまだに石炭火力技術を世界に売りつけている。
インドネシアでは、JBIC・JICA・丸紅などが石炭火力発電所建設への融資・投資を実施している。沿岸部にある石炭火力発電所は、生態系に影響を与え漁獲量を減少させ、土地の生産性低下も引き起こしている。しかし、インドネシアでは問題に気づいた人々が脱石炭に向けて結集し、世論喚起やキャンペーンを展開している。
アジア諸国では、気候変動によって様々な課題が発生しているが、NGO団体を中心に市民社会で変えていこうとする取り組みも増えてきている。
■基本的人権を守るために、市民社会の力が必要
動く→動かすの稲場雅紀さんはSDGs(持続可能な開発目標)と気候変動に関して「あらゆる貧困をなくすことを目指しているSDGsだが、有効な実施手段は書かれていない。問題は資本主義そのものだが、企業は大量生産大量消費をやめられない。だから市民社会が社会運動として変えていかなくてはいけない。ピープルパワーを信頼することが必要」と語った。
今後は、化石燃料を大量消費し気候変動を引き起こした先進国と、その被害を受けている途上国の間の「Climate Justice(気候の公平性)」を正していくために、それぞれの市民社会が責任ある行動をしていくことが求められている。
■被害を受けるのは、気候変動の責任が少ない人々
FoE Japanのプログラム顧問を務める小野寺ゆうりさんは、「気候変動は環境問題として認識されているが、根本的に人権の問題だ。気候変動によってアジアで毎年千万人単位の人口移動が起きている。家や土地、文化を奪われているのは、気候変動への責任が最も少ない人々だ。日本人のように汚染する側の責任としてこの事実を考えていかなくてはいけない」と述べた。
1980年~2010年に起こった自然災害で亡くなった人々の4分の3は途上国の一番貧しい人たちだ。パリ協定で世界の平均気温の上昇を2度よりもできるだけ低く、そして1.5度以下に抑えるため努力をすることが合意されたが、目標を担保する仕組みはない。先進国が温室効果ガスを大量排出する構造が変わらない限り、気温上昇は3度に近づいていってしまう。
■洪水や気温上昇など様々なリスクが発生
ネパールのプラカシュ・ブサルさんは、「ネパールは温室効果ガスの排出量が全世界の約0.027%にもかかわらず、気候変動の悪影響を受ける最も弱い国の一つだ」と訴えた。ネパールのヒマラヤでは、氷の量が29%も減少したため氷河湖が決壊し洪水が発生することが懸念されている。湖の下にある村は常に洪水のリスクと隣り合わせだ。
スリランカ・コロンボでは、今年5月に洪水が発生し30万人の住民が家屋をなくし、150人以上が死亡した。インドでは熱波で約2400人が亡くなり、干ばつと水不足で3億3千万人以上が被害を受けている。
スリランカのヘマンサ・ウィサネージさんは、「アジア諸国にできることは化石燃料への投資を中止し、再生可能エネルギーへの移行を進めることだ」と主張した。日本や中国、インドはいまだに石炭火力技術を世界に売りつけている。
インドネシアでは、JBIC・JICA・丸紅などが石炭火力発電所建設への融資・投資を実施している。沿岸部にある石炭火力発電所は、生態系に影響を与え漁獲量を減少させ、土地の生産性低下も引き起こしている。しかし、インドネシアでは問題に気づいた人々が脱石炭に向けて結集し、世論喚起やキャンペーンを展開している。
アジア諸国では、気候変動によって様々な課題が発生しているが、NGO団体を中心に市民社会で変えていこうとする取り組みも増えてきている。
■基本的人権を守るために、市民社会の力が必要
動く→動かすの稲場雅紀さんはSDGs(持続可能な開発目標)と気候変動に関して「あらゆる貧困をなくすことを目指しているSDGsだが、有効な実施手段は書かれていない。問題は資本主義そのものだが、企業は大量生産大量消費をやめられない。だから市民社会が社会運動として変えていかなくてはいけない。ピープルパワーを信頼することが必要」と語った。
今後は、化石燃料を大量消費し気候変動を引き起こした先進国と、その被害を受けている途上国の間の「Climate Justice(気候の公平性)」を正していくために、それぞれの市民社会が責任ある行動をしていくことが求められている。
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