2016年8月8日月曜日

急増するネパール人 沖縄に来た理由(1) 「日本は素晴らしい国」 夢を追い勉学とバイトの日々

Source: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160806-00056207-okinawat-oki

沖縄タイムス 8月6日(土)、ヤフーニュースより
 数年前から、沖縄の市街地で自転車に乗る外国人を目にする機会が増えた。記念写真を撮っている台湾や中国からの外国人観光客とは違う。仲間で集まって談笑する光景や、コンビニで働く姿も見かける。


 彼らは、沖縄から直線距離で約4300㎞、飛行機を乗り継いで、10時間以上かかるネパール共和国からやって来た。2015年、沖縄の外国人労働者(アルバイトを含む)で断トツに多い最多の約3割をネパール人が占める(沖縄労働局調べ)。

 遠く離れたネパールから、なぜ小さな沖縄へ来たのだろうか。母国を飛び出し、その先に見据える「夢」と日本で学ぶ目的とは?  (デジタル部・與那覇里子、ライター・大橋弘基)
■海に引かれて沖縄へ
 「いらっしゃいませー」

 那覇市のドラッグイレブン国際通り店に入ると、チャウラガイシ・キリシュナさん(25)の大きな声が響く。レジでの接客、外国人観光客への英語対応、飲み物の補充などが担当で、軽快に店内を走り回る。

 キリシュナさんはネパールの大学を卒業後、留学コンサルタントを介して2013年に沖縄へ来た。日本の豊かな経済や文化にあこがれ、山に囲まれた母国にはない海のある沖縄を選んだ。沖縄の語学学校で日本語を学び、現在は専門学校で「国際観光ビジネス」を学んでいる。勉強の傍ら、週に6日4時間、アルバイトをしている。

 「日本人は親切で、接客やあいさつも素晴らしい。ネパールではここまであいさつはしないし、スマイルも少ない」と日本の魅力を語る。分からないことがあれば、先輩に聞き、仕事以外の時間にも自ら勉強に励む。「ビジネスマナーや日本の接客への考え方を学べる。不安なことはない。頑張れば何でもできる」とやる気は大きい。店長の堀切紘一さんは「人一倍、意欲が高い。従業員の中でも一番あいさつができて、真面目に働いてくれる」と高く評価している。

 なぜ、ドラッグイレブンでアルバイトをしようと思ったのか。

 「福岡に留学しているネパールの友人に、ドラッグイレブンは話し方や仕事への考え方が良くて、仕事を丁寧に教えてくれると勧められた。アルバイトをするなら、ドラッグイレブンだと決めていた」という。ネパールの家族が薬や雑貨などを扱う会社を営んでいることも、大きな動機になった。思い入れは強く、国際通り店のオープニングスタッフとして採用され、働いている。

 キリシュナさんは今後、沖縄での大学進学も見据えている。「将来は日本でビジネスがしたい。大学でもっと勉強して、起業したい」。アルバイトと学校と家の往復で、生活のほとんどを勉強に費やしている。毎日が、将来につながる大切な準備期間だ。
■4年で約8倍増のネパール人 
 沖縄労働局の調査によると、ネパール人労働者は2015年10月末時点で1464人で、97.5%が留学生だった。12年の186人から4年間で約8倍もの急増ぶりで、那覇市内の専門学校ライフジュニアカレッジでは、学生の6割がネパール人だ。

 同校の宮良保義事務局長によると、数年前までは中国からの留学生が多かったが、東日本大震災の影響や中国の経済発展で減り、ネパールやベトナムなど発展途上の国々から留学生が増えたという。背景には、「『ジャパニーズ・ドリーム』を追い求めていることが挙げられる」と宮良さんは説明する。キリシュナさん同様、彼らにとって日本の経済や技術力は魅力的で、日本で勉強して技術を身に付けることは自身のキャリアに大きくつながる。日本語を習得すれば、給料や待遇のいい日系企業で働ける可能性もある。

【勉強中の日本語で書かれた短冊。「自分がビジネスマンになりたいことです。自分の国で貧民へ世話するようになります」】

 同校では、日本語学校で基礎的な日本語力を身に付けた留学生を対象に入学生を募集。国際ビジネスなど専門的な知識を身に付けるカリキュラムや、希望の進路に合わせたインターンシップ、卒業後の進路指導もしている。

 “表向きの事情”とともに、一定範囲内で認められるアルバイトも、留学の目的にあるという。留学生が持つ「就学ビザ」でも、最低限の生活費を稼ぐため、1週間に28時間以内のアルバイトが認められている。経済的に苦しい学生も多く、アルバイトは学業継続への生命線だ。ホテル、市場、工場、居酒屋などで1日4時間ほど働いている。(随時掲載)

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