2018年11月20日火曜日

偽装留学生こそ学校にとって「金のなる木」 大学でも増加中

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181119-00000008-pseven-soci
11/19(月) 、ヤフーニュースより

 大阪の「日中文化芸術専門学校」で今年9月、外国人留学生が300人以上も退学になったことが大きく報じられた。その背景には、外国人を大量に受け入れて経営を成り立たせようとする日本の学校側の問題もある。ジャーナリストの出井康博氏が、急増する「偽装留学生」についてリポートする。
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 独立行政法人「日本学生支援機構」によれば、専門学校に在籍する留学生の数は2017年度には5万8711人と、5年間で3万人以上も増えている。そして『読売新聞』の調査(10月8日朝刊掲載)で、留学生の割合が9割以上という専門学校が全国で少なくとも72校、学生全員が留学生という学校も35校あることが判明した。
 かつて文部科学省は、専門学校における留学生の割合を学生全体の50%以下にするよう定めていた。だが、その規制は2010年に撤廃された。政府が2008年に「留学生30万人計画」を定め、留学生を増やし始めた影響だ。
 専門学校に先立ち、留学生を増やしてきたのが「日本語学校」である。2017年度には8万人近い留学生が在籍し、5年間で専門学校を上回る5万人以上の急増ぶりだ。2012年末には約18万人だった留学生が32万人以上まで増えて「30万人計画」が達成されたのも、その急増があってのことだ。
 背景には、アジアの新興国で近年巻き起こっている日本への「留学ブーム」がある。ベトナム人留学生は2012年末の8811人から8万683人と9倍以上、ネパール人も4793人から2万8001人と6倍近く増えている。
 本誌SAPIO7・8月号で触れたように、その大半は勉強よりも出稼ぎが目的の“偽装留学生”たちだ(注)。日本語学校の初年度の学費や留学斡旋ブローカーへの手数料支払いなどで150万円前後の借金を背負った彼らは、来日後に現実の厳しさを思い知る。いくらアルバイトに励んでも、日本語学校に支払う翌年分の学費も貯めなければならず、なかなか借金が減らない。
【注/留学生に認められる「週28時間以内」のアルバイトに目をつけ、留学を装い出稼ぎ目的で来日する若者が急増。本来、留学ビザは「母国から仕送りが見込め、アルバイトなしで留学生活を送れる外国人」に限り発給されるため、新興国からの留学生の多くが借金をしてブローカーに手数料などを払い、親の年収や預金残高などをでっち上げている】
 2017年7月、東京都内の日本語学校に留学したベトナム人のトゥー君も、まだ100万円近い借金がある。来日以降、弁当の製造工場、宅配便の仕分け、ホテルの掃除などのアルバイトを経験してきた。いずれも日本人が嫌がって寄りつかない夜勤の肉体労働で、日本語能力がなくても雇ってもらえる仕事ばかりだ。アルバイトをかけ持ちし、留学生に認められる「週28時間以内」という制限に違反して働いていた時期も長い。
「1つのアルバイトでは(借金返済は)無理です。日本語学校の学費(の支払い)もある。だから(法律違反を犯し)アルバイトを2つやる。友だちには3つやっている人もいます」
 そんな彼らを人手不足の企業が都合よく利用する。一方、トゥー君が借金を残したままベトナムに戻れば、担保に入れた両親の家や畑が没収されてしまう。そのため来年春に日本語学校を卒業した後は、専門学校か大学に“進学”し、出稼ぎを続けていくしかない。
「(進学先となる)悪い学校はたくさんあります。勉強しなくても(入学は)大丈夫。(トゥー君と同じ日本語学校の)ベトナム人は皆、悪い学校に行きます」
 トゥー君がカタコトの日本語で言う「悪い学校」とは、入学金と学費目当てに留学生を受け入れる専門学校などのことだ。彼のような“偽装留学生”こそ、学校側にとっては「金のなる木」なのである。
 制度上、留学生は日本語学校を「修了」すれば、日本語能力を問われず専門学校、さらには大学にも入学できる。そのため大学でも、“偽装留学生”が急速に増えつつある。日本語学校経営者が言う。
「日本語学校が“偽装留学生”の巣窟だと批判されますが、一部の専門学校や大学も同罪ですよ。日本語学校の出席率だけを見て合格させる学校は多い。出席率の高い留学生は学校から失踪せず、きちんと学費も払ってくれる。それが学校には何より重要なんです」
【PROFILE】いでい・やすひろ/1965年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙「ザ・ニッケイ・ウィークリー」記者、米シンクタンクの研究員等を経てフリーに。著書に、日本の外国人労働者の現実を取材した『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社刊)などがある。
※SAPIO2018年11・12月号

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