2020年6月11日木曜日

コロナ禍で不足する外国人労働力 新聞宅配・24時間営業・ワンコイン弁当が消える日

https://news.yahoo.co.jp/articles/ee4ff526b78f396e81bbd592b7a0fb9f625de40b

配信、ヤフーニュースより

日刊ゲンダイDIGITAL

【人生100年時代の歩き方】  新型コロナウイルスによる入国制限で外国人労働者が入国できず、製造業やサービス分野で操業や営業に支障が出始めている。これまで日本人の嫌がる3K職種(きつい、汚い、危険)は賃金の低い外国人労働者に頼ってきたが、そのビジネスモデルを大きく方向転換せざるを得ない。訪日外国人が減って観光がしやすくなったと喜んでいる場合ではなさそうだ。   ◇  ◇  ◇  今月から首都圏の一部マンションで新聞宅配が新聞受けではなく、階下の集合ポストまでに制限されている。販売所に理由を聞くと、「配達人の感染防止のほか、配達人がマンション内に立ち入ることへ住民から苦情が多かった」からだという。 ■新聞配達人はマンションに入るな!  これを機に新聞の購読自体をやめてしまう家庭があって販売所も苦渋の決断だとしているが、新聞を取っていない人たちにとっては「招かざる客」ということだ。  ただし、感染防止と言ってはいるが、背景には販売所従業員の深刻な人手不足もある。地方の人はピンとこないかもしれないが、都市部の販売所は外国人留学生などのアルバイトに大きく頼る部分があるのだ。  日本新聞協会によると、2019年の販売所従業員数は27万1878人。01年の46万4827人から19万人以上も減少した。とくに01年に4万人ほどいた18歳未満のアルバイトは、今や全国でも939人を数えるのみ。日本人がやりたがらなくなった新聞配達の仕事を引き受けているのが、アジア諸国からの留学生なのだ。

 さらに外国人頼りの職場は、この新聞販売所だけに限らない。  国内企業へ外国人人材の橋渡しをする「ゴーウェル」の松田秀和代表がこう言う。 「現在、在外公館で日本への在留資格認定証明書の発行が停止されています。その結果、本年は40万人ほどが予想された『技能実習』の外国人が不足ぎみです。その多くは工場や農業現場で働く人たちで、さらにはコンビニや外食、小売り産業を支えている人たちです。コロナ感染が収束に向かったとしても、しばらくは以前のような24時間営業のような便利なサービスは戻ってこないでしょう」  コンビニは4月の売り上げが既存店ベースで10・6%の大幅減少(来客数は18・4%減)しており、すでに大手3社で約2000店舗ほどが「24時間営業」を取りやめる動きにある。ローソンで働く外国人は約1万3000人、ファミリーマートが約1万人。もともと人手不足の業界だけに、今後も短縮営業は定着するとみられる。  また、出入国在留管理庁によると、2月以降はコロナ感染を恐れて母国へ避難帰国した外国人が増え、2月と3月の合計で約40万人の外国人が日本から減った。現在、日本で働く外国人労働者は約165万人。そのうち「技能実習」で来日している人が約38・4万人で、その職場で最も多いのが「飲食料品製造業」、その次が「農業」。国別では、中国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールが多く、彼らが国内の深刻な労働力不足を補っている。 「日経新聞が、外国人労働者不足のため作付けを減らす農家が出たり、遠洋マグロ漁船の操業にも支障が出ていると報じていましたが、街中のワンコイン弁当や激安総菜もなくなる可能性があります。テレビのワイドショーで“庶民の味方”として能天気に紹介される格安弁当ですが、それを深夜に低賃金で製造しているのが技能実習の人たちであることを忘れてはなりません」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

不便を受け入れるしかない

 何も問題は弁当の値上がりだけではない。 「都心部のチェーン居酒屋の店員も、多くは外国からの留学生アルバイトです。最近、コンビニで日本人の店員が多くなったと感じている人もいるでしょうが、短縮営業などで真っ先に解雇されるのが外国人だからです。週28時間以内という条件で働きながら日本の大学で学び、卒業後は日本の企業に就職したいと願っている留学生が帰国していく。日本にとって大きな損失です」(前出の松田代表)  同社では、困窮する外国人を支援するサロンを銀座にオープン。英語や中国語、ベトナム語などの外国語を話せるスタッフが常駐し、助成金や在留資格の制度に関する問い合わせに応じているという。本来であれば、国が率先して行うべき仕事だろう。 「特定技能1号」で来日した在留外国人は他に、「鋳造」「金属プレス加工」「溶接」など町工場の貴重な戦力にもなっている。厚生労働省の資料によれば、分野別の人手不足は「介護分野」が20年初頭で約25万人。「看護」が25年で3万~13万人、「建設」が同77万~99万人、「農業」は90万人に上る。「運輸」のトラックドライバーも30年に約8・5万人が不足する。数年先には、自宅まで毎日届けられる新聞や24時間明かりがついているコンビニの当たり前が、当たり前でなくなっている。その不便を受け入れる必要がありそうだ。 ■4月以降、コカ・コーラなど値上げラッシュ  一方、4月以降、コカ・コーラの1・5リットルペットボトル、マルちゃん焼そば、はなまるうどん、日清オイリオの食用油、ディズニーランドチケット、マルハニチロの缶詰などが相次いで値上がりしている。原材料費や物流費の増大などが主な理由だが、これからは労働力不足も加わる。

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