2017年6月6日火曜日

モデルが語る、ネパールで多発する性暴力

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170601-00010004-alterna-soci
6/1(木)、ヤフーニュースより
国際協力団体NGO・公益財団法人ジョイセフ(東京・新宿)のスタッフに同行してネパールを訪問し、国際協力活動に関わったモデルの立野リカさん。ネパールでは今日も女の子や女性が、性による差別や暴力に悩まされ、リスクと隣り合わせにいる現状がある。実際にネパールのジョイセフの活動地で、女性・女の子たちの現状を目の当たりにした立野さんからお話を伺った。(聞き手・Readyfor支局=中澤 希美)
――立野さんは普段、モデルとして活躍されていますが、どうして国際協力に興味を持ち、ネパールへ行くことになったのですか?

立野:もともと、国際協力や「ボランティア」に対して、私の中では特別なことではありませんでした。私は、小学校一年生の頃からアメリカのロサンゼルスで育ったのですが、アメリカではボランティアをすることは特別なことではなかったからです。普段からビーチの清掃活動や子どもたちにテニスを教えるなど、ボランティアは自然と私の生活の一部になっていました。

ですので、今回ジョイセフさんとのネパールの女の子たちのための活動のお話をお聞きした時も、とても興味深くて、世界中の女性の健康と幸せのために何か一緒にお手伝いできたらと考え、参加を決めました。

――実際にネパールを訪問されて、ジョイセフや現地のスタッフの方々と共にどのような活動を行ったのですか?

立野:実際に現地で活動している様々な組織や団体を訪問しました。ネパールでは、今でも性による差別や暴力が起きてしまっている現状があります。

ジョイセフのパートナーNGOであり、セクシュアル・リプロダクティブヘルス・サービス(家族計画、性感染症、望まない妊娠の防止と安全な中絶など)を提供し、女性たちを守るための活動を行うIPPFネパール(ネパール家族計画協会)の本部や、人身売買から逃れてきた女性や子どもたちを保護する避難所を運営している団体、またジェンダーに基づく暴力や拷問などの被害からトラウマを持った方々のカウンセリングやリハビリを行っている団体などを訪問させて頂きました。

私は大学で心理学を勉強していたこともあり、メンタルヘルスのケアを行っている団体の取り組みにはとても興味が湧きました。メンタルヘルスは非常に大きな問題であるにも関わらず、ネパールではまだ精神的/社会的サポートの両方の支援ができるところは少ないようです。体の健康ももちろん大切ですが、心の健康であるメンタルヘルスも体の一部です。こうしたケアは、世界中の誰にとっても重要なものだと再確認しました。

さらにセックスワーカー(性産業への従事者)の方々のネットワーク団体へ行き、セックスワーカーの方々に実際にインタビューをした時のことが印象的でした。そこではセックスワーカーの女性と元セックスワーカーだった女性に継続して健康診断の機会を提供し、また教育を通して女性のエンパワーメントを実施していました。

お話を伺った女性の一人は、二十歳という若さで両親がおらず、自分の大学の学費を払うためにセックスワーカーとして働いていたのです。ネパールの女性がセックスワーカーになるのは、貧しくて働く場所が少ないことが一番の理由です。貧困ゆえに自分の身体を「売ら」ざるを得ない彼女たちの話を、ネパールで直接伺えたことはとても衝撃的でした。
――ネパールの女の子たちや女性たちにお会いして、そういった方々の現状は、立野さんから見てどのように映りましたか?

立野:意外なことに、ネパールで会った女性には、難しい環境の中にいるにもかかわらず、一人もネガティブなことを言っている印象がありませんでした。病院に行けない女性や学校にも行けない女性がたくさんいましたが、それでも前向きな女性が多かったです。

例えば、2年前の地震(2015年4月25日に起ったネパール地震)のことをとっても、ネガティブに考えてしまい、悲劇を振り返ったり、無いものを数えたりするのではなく、無い中でこれからどうすればいいかを考えている方が多いように思いました。

――先進国の方がボランティアとして途上国へ行くと、現地の方から支援を求められてネガティブな発言を多く聞いてしまいそうな気もするのですが、ポジティブな発言が多かったのですね。

立野:現状を前向きにポジティブに考えることができて、自分自身を受け止めることができるのは、ある意味良いことかもしれません。しかし、その考え方が働くのも「性」に関する「知識」が十分で無いことが理由だと思います。

10代前半で若くして、性に関する知識のないままセックスワーカーとして働くことで、性感染症やHIV/エイズに感染してしまう子や、10代から産み始め、6人も7人も赤ちゃんを産んだ子もいるそうです。

例え妊娠し命を宿したことに幸せを感じたとしても、学校を中退し10代で妊娠することは本当に正しいことなのか、はとても難しい判断だと思います。しかし、それでも性に関する正しい情報は、きちんと伝えていくべきだと思います。

――彼女たちの考え方を変えていく取り組みが重要ですね。

立野:そうですね。10代前半で妊娠出産を経験したときの母子のリスクをきちんと教えてあげることが大切だと思います。望まない妊娠やパートナーがいないケースで、一人で妊娠したら、貧しい中シングルマザーとして育てていけるのか、父親が誰か分からない子どもを産んで育てるのか、その判断がつかない中で出産する女の子もいるそうです。

こういった望まない妊娠の数を減らすために、ジョイセフさんは、女の子や女性たちに性に関する正しい知識を伝えるプログラムを実施しています。

こうした取り組みが実現すれば、望まない妊娠や危険な中絶、HIV/エイズの割合などの基本的なことはもちろん下がっていくことが期待できます。長い期間で見れば、そういう教育を受ける機会が増えていくことで、彼女たちがQuality of Lifeの高い生活ができるようになります。

性に関する知識を伝えることで、彼女たちの人生にはもっと様々な選択肢があって良いのだという考え方に変えて、リスクとベネフィットのいいバランスを探す必要があるとも思いました。
――ネパールの問題というのは日本人にとってあまり身近ではないと思うのですが、日本人の方々に、どんなことを知って欲しいでしょうか?

立野:世界には、まだまだいろんな問題があります。日本では当たり前なものが、ネパールにはまだないこともあります。例えば、生理用品を見たことがない女性や、妊娠をしているのに病院が遠くにあって通うことができない妊婦さん、10代で妊娠してしまって学校に行けない女の子たち。ネパールの田舎にはそういった女性や女の子がたくさんいます。

性の問題は、国籍、人種に関係なく、日本人の私たちにも関連のある話であると思います。ただ違うのは、ネパールでは性の知識の欠如が、望まない妊娠や危険な中絶、人身売買など、命にも直結してしまう問題になってしまうということです。

ネパールには、このように問題を抱えている女性がたくさんいること、そして日本は世界からみると恵まれた環境にあると言うことを再認識してほしいです。

――こういった海外の問題に対して関心を持って下さっている方々が、今後どのようなことをしていけば、もっと多くの日本人が関心を持ってくれるようになると思いますか?

立野:「Small things lead a big change.」という言葉があります。「どんなに小さなことでも、少しずつやっていけばいつかは大きな実を結ぶ」、という意味です。一人の方がここで知ったネパールの話題を誰かに伝えることで、どんどん拡散されていくと思います。

今はインターネットで、SNSやブログでシェアして伝えることもできます。友達に話すだけでなく、「誰かに伝えていく連鎖」が起こると思うので、少しでも誰かに話すことが大きなウェーブになると信じています!

――最後に、クラウドファンディングの支援者の方々に向けてメッセージをお願いします。

立野:今回私が、ネパールへ渡航させて頂いた際に同行したジョイセフさんが、ネパールの女の子たちに、教育を与える場であるユースセンターの運営とユースプログラムを実施するためにクラウドファンディングに挑戦しています。

既にたくさんの支援者様より寄付金をお寄せいただいていています。ネパールの方々からの代弁をさせていただきますが、ネパールの次世代を背負っていく若い女の子たちへのご支援、心より感謝申しあげます。

まだページをご覧になっていない方は是非、クラウドファンディングのページも見て頂ければと思います。女性だけでなく、たくさんの方々にこの活動について知って頂きたいです。是非ご支援をよろしくお願いいたします。


◆公益財団法人ジョイセフのクラウドファンディングは、6月12日23時まで!https://readyfor.jp/projects/empowernepalgirls

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