Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170606-40055659-bbc-int
6/6(火) 、ヤフーニュースより
6/6(火) 、ヤフーニュースより
ナビーン・シン・カドカ環境担当特派員、BBCワールド
エベレスト登山関係者の間で、登頂前のキャンプ地での酸素ボンベの盗難が問題となっている。
酸素ボンベは天候や通行の遅延、下山を考慮した量が準備されることから、盗難によって登山者に命の危険が生じる可能性があると、関係者らは指摘する。
今シーズン最後の登山者らが登頂に挑戦するのに適した天候を待つなかで、今回の問題が指摘された。
専門家らは、経験の浅い人や能力が不十分なシェルパを含む多くの登山者が訪れるようになったことも、現在の状況に影響していると指摘した。
エベレストから戻ったばかりのニマ・テンジ・シェルパさんはBBCの取材に対し、「深刻な問題になりつつある」と語った。「酸素ボンベが消えてなくなったと遠征隊から繰り返し聞いたが、命にかかわる問題だ。背負っていた分を登山中に使い切ってしまったがまだ頂上にたどり着いていない場合や、下山時のために取っておいたものがなくなってしまった場合は、特にそうだ」
外国人登山家たちは、盗難の経験をソーシャルメディアに投稿している。
遠征隊のティム・モーズデール隊長は5月22日、「我々の備品からまた酸素ボンベが7本なくなった」とフェイスブックに投稿した。
「今回はサウスコル(標高7900メートル地点にある登頂直前のキャンプ地「キャンプ4」)だった」
「前日にローツェを登頂した(シェルパの)ペンバさんが、サウスコルまで行って補給品を確認する元気があったおかげで、教えてもらえた。しかし、数日後に到着した時にまだあるだろうか。それとも、『魔法の空気』のボンベは、さらに数本なくなっているのか」
モーズデール氏は以前にも、エベレストに近いローツェ山で同様の出来事があったと投稿している。
「我々の酸素が使われていると分かっていれば、補給はできる。しかし、ただやってきて持ち去ってしまうのでは、登頂隊にとって問題になるだけでなく、ほかの登山者たちの命も危険に陥れることにもある」
懸念すべき傾向
今シーズンに入って、死亡者数は10人に上っているとの情報があるものの、ネパール当局はこれまでに5件しか確認できていないとしている。酸素ボンベの盗難に関連した死亡例はない。
ネパール山岳ガイド協会(NNMGA)のプルバ・ナムゲル・シェルパ氏は、「盗人がテントの鍵を壊して酸素ボンベや食料どころか、料理用ガスでさえ盗む状態で、我々に何ができるというのか」と話す。
「こうした事態が相次いでいる。盗難のせいで、登山者が登頂せずに戻らざるを得なくなったことがある。命綱のボンベがなくなっていると知ったら、まずはベースキャンプに戻るからだ」
ニマ・テンジ・シェルパ氏は、2012年にシェルパを務めた際に補給品が盗まれたために、顧客の登山者に酸素ボンベを譲らなくてはならなかったと語った。
「山から下っていた時に、ボンベがなくなっていることが分かった。顧客は自分のボンベをすでに使い切っていたので、危険だったものの私のボンベを彼にあげた。下のキャンプにたどり着けたのは幸運だった」
貴重な酸素ボンベ
NNMGAによると、登山者は平均7本の酸素ボンベを使う。1本あたり4リットルの酸素が入っているが、使用ペースは人それぞれだ。最も激しく呼吸をしていた場合のボンベの寿命は最大5時間だという。
登山者は通常、キャンプ3の段階で酸素ボンベを使い始める。しかし、好天を狙って登頂を目指す前に、高地の環境に体を慣らすため、標高のより高い場所に行って戻ることを繰り返す。そのため、中継のキャンプ地でも酸素ボンベを使うことになる。
ベテランのシェルパたちによると、酸素ボンベを盗んだとして捕まった人はまだいないという。
準備が不十分だった登山グループが命の危険に直面して酸素ボンベを盗んでしまうのでないかと、彼らは推測する。
一方で、盗んだ酸素ボンベをベースキャンプに降りて売るという行為が増えているとも指摘する。
ニマ・テンジ・シェルパ氏は、「ベースキャンプでこのような行為が横行しているようだ」と話した。
ネパール政府の関係者は問題を認識している。
政府は、登山者と同数のシェルパが付くことを義務付ける新たな規制を導入しようとしている。酸素ボンベや医薬品、食料といった必需品が十分準備されているようにするためだ。
匿名希望の観光省高官は、「登山法令への追加を提案しているが、閣僚レベルでの決定が必要だ」と述べた。
「頻繁な政権交代のせいで数カ月ごとに大臣が代わる。そのせいで、問題への対応ができない」
政府は今春の登山シーズンに400人のエベレスト登山を許可した。
政府関係者によると、約300人がすでに登山しており、残りの登山者は天候が良好になるのを待っている状況だという。
(英語記事 Everest climbers worried about oxygen bottle theft)
エベレスト登山関係者の間で、登頂前のキャンプ地での酸素ボンベの盗難が問題となっている。
酸素ボンベは天候や通行の遅延、下山を考慮した量が準備されることから、盗難によって登山者に命の危険が生じる可能性があると、関係者らは指摘する。
今シーズン最後の登山者らが登頂に挑戦するのに適した天候を待つなかで、今回の問題が指摘された。
専門家らは、経験の浅い人や能力が不十分なシェルパを含む多くの登山者が訪れるようになったことも、現在の状況に影響していると指摘した。
エベレストから戻ったばかりのニマ・テンジ・シェルパさんはBBCの取材に対し、「深刻な問題になりつつある」と語った。「酸素ボンベが消えてなくなったと遠征隊から繰り返し聞いたが、命にかかわる問題だ。背負っていた分を登山中に使い切ってしまったがまだ頂上にたどり着いていない場合や、下山時のために取っておいたものがなくなってしまった場合は、特にそうだ」
外国人登山家たちは、盗難の経験をソーシャルメディアに投稿している。
遠征隊のティム・モーズデール隊長は5月22日、「我々の備品からまた酸素ボンベが7本なくなった」とフェイスブックに投稿した。
「今回はサウスコル(標高7900メートル地点にある登頂直前のキャンプ地「キャンプ4」)だった」
「前日にローツェを登頂した(シェルパの)ペンバさんが、サウスコルまで行って補給品を確認する元気があったおかげで、教えてもらえた。しかし、数日後に到着した時にまだあるだろうか。それとも、『魔法の空気』のボンベは、さらに数本なくなっているのか」
モーズデール氏は以前にも、エベレストに近いローツェ山で同様の出来事があったと投稿している。
「我々の酸素が使われていると分かっていれば、補給はできる。しかし、ただやってきて持ち去ってしまうのでは、登頂隊にとって問題になるだけでなく、ほかの登山者たちの命も危険に陥れることにもある」
懸念すべき傾向
今シーズンに入って、死亡者数は10人に上っているとの情報があるものの、ネパール当局はこれまでに5件しか確認できていないとしている。酸素ボンベの盗難に関連した死亡例はない。
ネパール山岳ガイド協会(NNMGA)のプルバ・ナムゲル・シェルパ氏は、「盗人がテントの鍵を壊して酸素ボンベや食料どころか、料理用ガスでさえ盗む状態で、我々に何ができるというのか」と話す。
「こうした事態が相次いでいる。盗難のせいで、登山者が登頂せずに戻らざるを得なくなったことがある。命綱のボンベがなくなっていると知ったら、まずはベースキャンプに戻るからだ」
ニマ・テンジ・シェルパ氏は、2012年にシェルパを務めた際に補給品が盗まれたために、顧客の登山者に酸素ボンベを譲らなくてはならなかったと語った。
「山から下っていた時に、ボンベがなくなっていることが分かった。顧客は自分のボンベをすでに使い切っていたので、危険だったものの私のボンベを彼にあげた。下のキャンプにたどり着けたのは幸運だった」
貴重な酸素ボンベ
NNMGAによると、登山者は平均7本の酸素ボンベを使う。1本あたり4リットルの酸素が入っているが、使用ペースは人それぞれだ。最も激しく呼吸をしていた場合のボンベの寿命は最大5時間だという。
登山者は通常、キャンプ3の段階で酸素ボンベを使い始める。しかし、好天を狙って登頂を目指す前に、高地の環境に体を慣らすため、標高のより高い場所に行って戻ることを繰り返す。そのため、中継のキャンプ地でも酸素ボンベを使うことになる。
ベテランのシェルパたちによると、酸素ボンベを盗んだとして捕まった人はまだいないという。
準備が不十分だった登山グループが命の危険に直面して酸素ボンベを盗んでしまうのでないかと、彼らは推測する。
一方で、盗んだ酸素ボンベをベースキャンプに降りて売るという行為が増えているとも指摘する。
ニマ・テンジ・シェルパ氏は、「ベースキャンプでこのような行為が横行しているようだ」と話した。
ネパール政府の関係者は問題を認識している。
政府は、登山者と同数のシェルパが付くことを義務付ける新たな規制を導入しようとしている。酸素ボンベや医薬品、食料といった必需品が十分準備されているようにするためだ。
匿名希望の観光省高官は、「登山法令への追加を提案しているが、閣僚レベルでの決定が必要だ」と述べた。
「頻繁な政権交代のせいで数カ月ごとに大臣が代わる。そのせいで、問題への対応ができない」
政府は今春の登山シーズンに400人のエベレスト登山を許可した。
政府関係者によると、約300人がすでに登山しており、残りの登山者は天候が良好になるのを待っている状況だという。
(英語記事 Everest climbers worried about oxygen bottle theft)
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