Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/7cfc49033447bf2c6841bf2f1ad37dca2707e7d1
東日本大震災から10年を迎えた11日、阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた神戸の名刹、真言宗大本山・須磨寺(神戸市須磨区)で、慰霊法要が営まれた。 【写真】東日本大震災から10年 被災地・神戸の名刹・須磨寺から追悼の梵鐘 須磨寺は「源平ゆかりの古刹」。平敦盛が生前愛した青葉の笛や、弁慶の鐘など多数の重宝・史跡がある由緒ある寺院だ。 法要は東日本大震災の犠牲者の供養と、被災地の復興、国内外で起こった様々な災害の犠牲者を追悼するもので、東日本大震災発生時刻の午後2時46分をはさむよう、午後2時30分に始まり、発生時刻には「弁慶の鐘」と呼ばれる鐘楼で追悼の梵鐘を21回打ち鳴らした。 仏教においては「3」「7」「21」が縁起の良い数字とされる。「3」は吉祥を意味した幸せの数で、「7」は成就を意味する。「21」は3と7の乗数であり、さらに縁起が良いとされる。 須磨寺は、阪神・淡路大震災で塔頭の桜寿院(おうじゅいん)や蓮生院(れんしょういん)の建物が倒壊したほか、本堂、護摩堂、客殿、納骨堂が破損するなど、境内でも大きな被害を受けながら、身元不明の遺体の安置所にもなった。 境内には2001(平成13)年、「祈り・安らぎ・夢」と題した壁仏が奉納されている。「祈り・安らぎ・夢」は須磨寺の世界観にも通じる。 須磨寺では2007年、阪神・淡路大震災の十三回忌で、ネパールのチベット仏教僧院「ペマ・ツァール・サキャ」の僧侶6人が砂曼荼羅(すなまんだら)を制作して犠牲者を悼み、その後も続いた。 砂曼荼羅は仏教の宇宙観を表現した「曼荼羅」を、黒い板の上に砂だけで描いて表現したもの。直径約3メートルの円形で、下絵を描いて砂に天然の着色料で白・赤・黄・青・緑などに色付けした。 東日本大震災発生時にはネパールで国を挙げての慰霊が行われたが、そのネパールで2015年4月27日に大地震が発生。須磨寺では、その際に日本在住のネパールの方々の心のよりどころとなるよう、首都カトマンズにあるスワヤンプナート寺院を模した寺院風の「祈りの回廊」を建てるなど、災害復興と鎮魂への祈りを絶やさない。 震災発生翌年から被災地へボランティアに出かけている神戸市の50代の女性は「今年は新型コロナウイルスの影響で3.11を現地で迎えることができません。そこで須磨寺で発生時刻の午後2時46分に鐘を撞きに来ました。10年前は兵庫県からボランティア熱が上がり、たくさんの方々が被災地へ向かいました。阪神・淡路大震災の被災地・神戸に住む人は『他人事』では済まされないのです」と話した。 宮城県の南部にあり、仙台市や名取市とも接している村田町(むらたまち)出身の30代の女性は、仕事で神戸に住むようになった。「関西・神戸でこうした慰霊の場があることに感銘を受けました。私も阪神・淡路大震災の被災地でもある神戸から、遠く離れた故郷の皆さんが、少しでも安らかな気持ちとなればと思い、祈りを捧げました」と目を潤ませた。 須磨寺の小池弘三(こいけ・こうさん)管長は、所用で出仕していた高野山を下る時に東日本大震災発生を知った。そして「心を寄せて、お互いが思いやる。同じ気持ち、同じ立場になるという仏教用語の『同時』の意味をかみしめたい。1月17日も阪神・淡路大震災の追悼法要を行っているが、2万人を越える方々が亡くなり、突然の悲しみに暮れた3月11日は、すべての自然災害で亡くなった方々を弔う日。これからも皆さんの心を寄せて、祈りを捧げたい」と話した。
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