2019年5月29日水曜日

「男性上司に言えない、女性同士でも話しづらい…」今もタブー視される生理、理解促進には男女の”歩み寄り”が必要?

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190521-00010009-abema-soci
5/21(火)、ヤフーニュースより
AbemaTIMES
 「めんどくさい、めっちゃイライラしちゃう」「地獄」「しんどいっす。おなか痛いし」「機嫌悪くても察してほしい」。女性にとって、心身ともに辛い生理。また、隠さなければならない、恥ずかしいものという意識もあるようだ。

 一方、「発言に結構気を遣うことはある」「分かんないけど、とりあえずそっとしておこうみたいな」「口に出すのはあんまよくないかなって。聞いてほしくないかなって」「言ってくれたほうが助かる」と、経験することのできない男性たちは戸惑うことも多いようだ。

 しかし、生理痛を擬人化、その辛さをリアルに表現した漫画『生理ちゃん』が二階堂ふみ主演で映画化決定するなど、オープンに話すことのできる対象へと変わりつつある。17日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんな生理について議論した。
■歩み寄りが足りない?
 女性ホルモンの周期的な変化によって子宮の内側を覆う子宮内膜がはがれ、出血が生じる生理。妊娠、出産をするための準備期間であり、生涯で平均455回あるといわれている。症状には個人差はあるものの、腹痛、腰痛、頭痛、吐き気、貧血などを伴う。また、乳房の張り、イライラ、うつ感などのPMS(生理前症候群)に悩む人もいる。

 番組には「男性に話ができないのは、グロい、汚い、臭うと言われてしまうかもしれないから」「上司にも言いにくい。“そういう日なんだ“って見られるので、生理休暇も使いづらい」という声が寄せられた。実際、62%の女性が「ガマンして通常通り働く」と回答している調査もある。

 紗倉まなは生理中の腹痛を表した「お腹にスイカくらいの鉄球を乗せられている」「お腹に注射針を何十本も一気に刺される」という例えについて、「過剰な表現ではないと思う。私は腰痛もPMSもひどい。壁に穴を開けてしまったことがあるくらいイライラしたり、自分が自分ではない感じというか、ずっと重い毛皮を背負っているような感覚がある」と話す。
これに対し、平石直之アナウンサーは「学校で性教育はあっても、生理については教わらなかった」、パンサーの向井慧が「女子だけの授業があったが、“そういう話をしてるっぽいよ““あまり知っちゃいけないのかな“という感じがあった。イライラするということなどを知ったほうがモテると思うし、知りたいと思うけど知る機会もない」と話す。

 生理に関するドキュメンタリー作品を制作中の映画監督・朴基浩氏は、幅広い年代の女性に取材を続けてきた。その中で、一つの矛盾に辿り着いたという。「生理がくるたびに女性であることを恨んだり、女性であることをものすごく背負っているのを意識するという話を聞いて、進めれば進めるほどわからなくなる。でも、例えば“彼氏に言う?“と聞くと“うっ“となったり、“家族にオープンに言えるか?“と聞くと“う~ん“となったり。生理のことを分かってほしいという裏側で、自分のことはあまり言いたくないっていう、ある種の矛盾があると思う。どう触れていいかわからないから男性も何も言えない。お互い歩み寄ってないなって思う」。

 さらに、「一番びっくりしたのは、後輩を病院に連れて行った時、問診表に書く“最終月経日“が分からないと言われた。彼女だけでなく、意外に皆さん知らない。生理が終わった日ではなく、始まった日だと捉えている女性もいる。女性も意外と知らないんだと思った」と明かした。
■1000年前から今も残る偏見
  生理用品の歴史に詳しく、『生理用品の社会史』という著書もある歴史社会学者の田中ひかる氏は「明治時代でいえば、子どもを5人産んだとして、昔は授乳期間も長かったことを考えると、生涯で50回くらいしかなかった。今はその9倍くらい経験することになるので、人類史上最も月経の回数が多い時代とも言える。月経痛の原因になる月経困難症などの原因もそこにあると考えられている」と話す。

 また、生理がタブー視される背景については、「月経と“穢れ“は切っても切れない関係にあった。平安時代、妻が生理の時、夫は宮廷に仕事に行ってはいけないという決まりもあった。この“男の生理休暇“みたいなものは明治時代まで続いていた。あるいは室町時代には大陸から血盆経という偽のお経が入ってきた。その内容は、女性は経血と出産時の出血で土地や水の神様を穢しているから、死んだら必ず血の池地獄に落ちる、それが嫌なら血盆経を唱えなさいという教え。江戸時代、女性信徒を獲得するために各宗派が唱道したこともあり、地域によっては小屋に女性を隔離することもあった。相撲の土俵問題にもそういうルーツがある」と説明。「ネパールのチャウパディという慣習では、女性が穴のようなところに隔離され、暖を取るために焚いた火の煙や、毒蛇に噛まれたことにより死者も出ている。ヨーロッパでも月経中の女性が植物に触ると枯れる、マヨネーズを上手に作れない、発酵に影響を及ぼすといったことが考えられてきた。ただ、ホルモンバランスと結び付けられるのは危険だと思う。その考え方が行き着いた先が、月経の前に殺人を犯すといった、女性差別、偏見に結びついてしまう」。

 その上で「やはり排泄物でもあるので、恥ずかしいのはしょうがない。しかし生理だから体調が悪いと言える雰囲気は作らないといけないと思う。学校での教育もバラバラだ」。
■「なぜ生理用品が隠されなきゃいけないのか」
 そんな生理の“タブー視“を変えようと取り組んでいる「ウツワ」代表のハヤカワ五味氏は、「学校の体育館に集められて話すくらいのことだから、やっぱり話しちゃいけないという認識があると思うし、仕組みについては教わっても、どう対処したらいいかということはあまり教わらない。個人差があることについても、自分だけが悪いのかなとか、我慢できてないのかなと思ってしまっている人が多いと思う。病院に行くことがもう少し当たり前になってほしいけれど、学生服で婦人科に行った時、“避妊してなかったんだ“と声をかけられたりした人もいる。男性に対しても、“生理だから相手しなくていいや“っていう対応をされることにイライラすることもある」と話す。

 先週開催されたユニ・チャームの新商品販売記念イベントに登壇したハヤカワ氏は「薬局で袋に入れられるものって、コンドームと育毛剤と生理用品。でも、なぜ生理用品が隠されなきゃいけないのか。その“人前に出しちゃいけないもの“っていう刷り込みが、女同士でも恋バナはできるのに生理用品についての悩みは相談できないとか、パートナーとも話せないっていう状況につながっていると思う」と指摘。そこで「#NoBagForMe」というキャンペーンを立ち上げ、生理用品の専門店を作るという構想も抱いている。
■低用量ピルを使っている=性に対してふしだらという誤解も
 ハヤカワ氏は「産婦人科の歴史もそこまで長くないので、生理を軽くするために低用量ピルをもらいにいっても、避妊したいからもらいに来たんだ、という先生もいまだにいるのが怖い」と指摘。紗倉も「Twitterでピルが良かったと報告した時に、男性から“生理の回数が減ることがよくないことだと思わないのか““ピルを飲んでいいと思っているのか“みたいなリプが飛んできた。男女間の価値観の差なのかなと感じた」、朴氏は「低用量ピルを使っている=性に対してふしだら、という考えの男性がすごく多い」と話した。

 田中氏は「私が若い頃は生理痛に特化した鎮痛剤はなかったが、今は売っている。ただ、鎮痛剤の効かない生理痛もいっぱいある。そういう場合は産婦人科に行けばもっと強い薬やそれぞれに合った薬も処方できるし、ピルで月経自体を軽くすることもできる。それがあまり知られていないので、市販の鎮痛剤を多めに飲んで無理やり我慢して働くというふうになる。ピルによって子宮頸がんの発症率が高くなるが、むしろ卵巣がんとか子宮体がんの発症率は下がるので、リスク考えれば飲んだ方はいいくらいだと思う。あるいはピルを使うことで、卵子を無駄遣いしないという考え方もある」と話していた。

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