Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180625-00000026-jij_afp-sctch
6/25(月) 、ヤフーニュースより
【AFP=時事】数十年前から登山の商業化が進む世界最高峰エベレスト(Mount Everest、標高8848メートル)は、高額な費用を払うもののゴミには無頓着な登山者たちの増加によって、世界最高峰のごみ溜めと化している。
山頂へ続く登山道には、蛍光色のテントや捨てられた登山用具、空になったガスボンベの他、人の排泄物までもが散乱している。
これまで18回のエベレスト登頂を果たしたペンバ・ドルジェ・シェルパ(Pemba Dorje Sherpa)さんは、AFPの取材に対し、「とても不快だし、目障りだ」「この山には、何トンものごみが捨てられている」と語った。
登山者数の急増に伴い、ごみの問題は悪化している。今年に入り世界最高峰の登頂を試みた登山者は、現時点で少なくとも600人に上る。
その一方で、地球温暖化の影響により氷河の融解が進んでいるせいで、エドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)とテンジン・ノルゲイ(Tenzing Norgay)が初のエベレスト登頂に成功した65年前から溜まり続けているごみが露出するようになっている。
ごみを減らす努力も行われている。ネパール政府は5年前、各チームにつき4000ドル(約44万円)の預託金(デポジット)制度を導入。預けたお金は、各登山者が最低8キロのごみを持ち帰った場合に返金される。
チベット側のヒマラヤ山脈でも同量のごみの持ち帰りが義務付けられており、違反した場合には1キロ当たり100ドル(約1万円)の罰金が科される。
サガルマタ汚染管理委員会(SPCC)によると、ネパールでは2017年、25トン近いごみと15トンのし尿が登山者らによって持ち帰られたという。その重量は、2階建てバス3台分に相当する。
だが多くの登山者たちは、預託金を没収される方を選択する。彼らがエベレスト登山のために支払った2万~10万ドル(約220万~1100万円)の費用に比べれば、その金額はわずかなものでしかないからだ。
ペンバさんも、多くの登山者たちは意に介さないと肩をすくめる。当局者の中には少しばかりの賄賂と引き換えに見て見ぬふりをする者もいて、この問題を悪化させているとペンバさんは語った。
■急速に発展した産業
エベレストの登山産業は、この20年間で急成長した。
その結果、登山道が混雑することへの懸念や、格安旅行業者に釣られた経験の浅い登山者が増加することへの危惧が広がっている。
双子のきょうだいウィリーとともに20年以上のエベレスト登山経験を持つダミアン・ベネガス(Damian Benegas)さんは、こうした経験の浅い登山者たちがごみ問題を悪化させていると警鐘を鳴らした。
シェルパや高地ガイドの他、地元の先住民族から選ばれたスタッフたちは、テントや予備の酸素ボンベ、ロープなどの重い荷物を持って山を上り下りする。
以前は大半の登山者たちが、予備の着替えや食料、寝袋、補給用酸素といった個人用装備品を自分で運んでいたが、今は多くの登山者たちが自身で扱うことができず、すべてシェルパに運んでもらっている。
「彼らは客の荷物を運ばなければならないので、ごみを持ち帰ることができないのです」とベネガスさんは語った。
環境問題専門家らは、エベレスト山中の環境悪化がふもとの谷にある水源にまで影響を与えていると懸念を示している。
現在、ベースキャンプから排出された未処理の汚水は、徒歩1時間ほどの隣村まで運ばれ、その村の下水溝に廃棄されている。
米国人技術者のギャリー・ポーター(Garry Porter)氏によると、汚水はその後、モンスーンの時期に丘のふもとを流れる川に排出されるという。
ポーター氏はこうした問題について自身のチームとともに解決策を模索しており、現在、登山者たちの排泄物を肥料に変えるバイオガスプラントをエベレストのベースキャンプ近くに設置することを検討している。【翻訳編集】 AFPBB News
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