Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180608-00543374-shincho-int
6/8(金)、ヤフーニュースより
増え続ける外国人労働者
5日、政府が発表した「骨太の方針」の素案に含まれている、外国人就労者の拡大が波紋を呼んでいる。少子化が進み、特に人手不足が懸念される介護、農業、建設、造船、宿泊の5分野で外国からの人材を積極的に受け入れていく、というのだ。
安倍首相は「即戦力となる外国人」をどんどん受け入れる必要を唱えてはいるが、そもそも外国人労働者や移民については、国内の世論も二分されており、今回の方針についても賛否が分かれることだろう。
安倍首相は「即戦力となる外国人」をどんどん受け入れる必要を唱えてはいるが、そもそも外国人労働者や移民については、国内の世論も二分されており、今回の方針についても賛否が分かれることだろう。
「開国派」はこう主張する。
「少子高齢化が進む日本では、外国人、移民を受け入れざるをえない」
一方で、
「移民に門戸を開きすぎたら治安が悪化する。ヨーロッパやアメリカを見れば明らか」
と反対する声も少なくない。
ただ、ちょっと街を歩けばすぐにわかる通り、すでに外国人は増加の一途を辿っている。それは当の外国人ですら驚くほどだ。コンビニで働く外国人たちの素顔をルポした『コンビニ外国人』(芹澤健介・著)では、ベトナム人留学生でコンビニ店員でもある青年のこんな声を紹介している(以下、引用はすべて同書より)。
「はじめて来日した2010年当時には、こんなにベトナム人が増えるなんて考えられませんでした」
当の外国人自身が驚いているくらいなのである。
実は、そもそも日本が「移民」に門戸を開いていないという認識そのものが間違いだ、と同書の著者である芹澤氏は指摘する。
「政府は表向き、移民については『真摯に検討を進める』という立場で、『受け入れ』を認めてはいないという立場です。当然、法整備も整っていません。安倍首相も、『移民政策をとることは断じてありません』と何度も明言しています。でも、実際には日本で働く外国人は増えています。コンビニだけで数千人の外国人店員がいます。実は外国人の流入者数を見れば、すでに2014年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、日本は世界第5位の『移民流入国』だという報告すらあるのです」
「少子高齢化が進む日本では、外国人、移民を受け入れざるをえない」
一方で、
「移民に門戸を開きすぎたら治安が悪化する。ヨーロッパやアメリカを見れば明らか」
と反対する声も少なくない。
ただ、ちょっと街を歩けばすぐにわかる通り、すでに外国人は増加の一途を辿っている。それは当の外国人ですら驚くほどだ。コンビニで働く外国人たちの素顔をルポした『コンビニ外国人』(芹澤健介・著)では、ベトナム人留学生でコンビニ店員でもある青年のこんな声を紹介している(以下、引用はすべて同書より)。
「はじめて来日した2010年当時には、こんなにベトナム人が増えるなんて考えられませんでした」
当の外国人自身が驚いているくらいなのである。
実は、そもそも日本が「移民」に門戸を開いていないという認識そのものが間違いだ、と同書の著者である芹澤氏は指摘する。
「政府は表向き、移民については『真摯に検討を進める』という立場で、『受け入れ』を認めてはいないという立場です。当然、法整備も整っていません。安倍首相も、『移民政策をとることは断じてありません』と何度も明言しています。でも、実際には日本で働く外国人は増えています。コンビニだけで数千人の外国人店員がいます。実は外国人の流入者数を見れば、すでに2014年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、日本は世界第5位の『移民流入国』だという報告すらあるのです」
「移民」とは何か
首相が認めていないのに、大量の移民がいる。
これはどういうことなのか。芹澤氏が続ける。
「政府の方針を簡単にいえば、『移民』は断じて認めないが、外国人が日本に住んで働くのはOK、むしろ積極的に人手不足を補っていきたい、ということです。
実際に、看護や介護の人材の受け入れ、あるいは国家戦略特区での受け入れなど、さまざまなメニューが、日本で働きたい外国人には用意されているのです。
『移民』という言葉には、明確な国際基準がなく、また国内でもはっきりした定義がなされていませんでした。そのため、OECDから見れば『移民』であっても、日本政府はそうは認めない、ということが起こりうる。
だから『移民』は認めていないのに『移民大国』である、というおかしな状態になっているわけです」
日本人がイメージする「移民」はどちらかといえば、「経済水準の低い国から高い国へ入国して生活する人たち」に近いが、国連などの国際機関では、1年以上外国で暮らす人はすべて「移民」に該当すると解釈している。
この解釈でいえば、イチローも「移民」であるし、日本に住む約247万人の在留外国人の多くも「移民」なのだ。
ところがややこしいことに、2016年、自民党が掲げた外国人労働者に関する報告書では、別の「移民」の定義がなされている。
「『移民』とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは『移民』には当たらない」
これが日本でいう「移民」ならば、たしかに数はぐっと減る。が、前述の国際的な解釈とはかなりの乖離がある。これについて、『コンビニ外国人』では、移民政策に詳しい識者の分析として、日本人の「移民アレルギーが一因」というコメントを紹介している。
ネーミングはともかくとして、実態としてすでにどんどん「一定期間日本に住んで働く外国人」が増え続けているのは間違いない。
「開国派」も「鎖国派」も、そのことを前提に議論をしていく必要があるのだろう。
これはどういうことなのか。芹澤氏が続ける。
「政府の方針を簡単にいえば、『移民』は断じて認めないが、外国人が日本に住んで働くのはOK、むしろ積極的に人手不足を補っていきたい、ということです。
実際に、看護や介護の人材の受け入れ、あるいは国家戦略特区での受け入れなど、さまざまなメニューが、日本で働きたい外国人には用意されているのです。
『移民』という言葉には、明確な国際基準がなく、また国内でもはっきりした定義がなされていませんでした。そのため、OECDから見れば『移民』であっても、日本政府はそうは認めない、ということが起こりうる。
だから『移民』は認めていないのに『移民大国』である、というおかしな状態になっているわけです」
日本人がイメージする「移民」はどちらかといえば、「経済水準の低い国から高い国へ入国して生活する人たち」に近いが、国連などの国際機関では、1年以上外国で暮らす人はすべて「移民」に該当すると解釈している。
この解釈でいえば、イチローも「移民」であるし、日本に住む約247万人の在留外国人の多くも「移民」なのだ。
ところがややこしいことに、2016年、自民党が掲げた外国人労働者に関する報告書では、別の「移民」の定義がなされている。
「『移民』とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは『移民』には当たらない」
これが日本でいう「移民」ならば、たしかに数はぐっと減る。が、前述の国際的な解釈とはかなりの乖離がある。これについて、『コンビニ外国人』では、移民政策に詳しい識者の分析として、日本人の「移民アレルギーが一因」というコメントを紹介している。
ネーミングはともかくとして、実態としてすでにどんどん「一定期間日本に住んで働く外国人」が増え続けているのは間違いない。
「開国派」も「鎖国派」も、そのことを前提に議論をしていく必要があるのだろう。
新大久保はいま
最後に、同書にある東京のJR新大久保駅近辺の様子をご紹介しておこう。
「新大久保駅がある新宿区には、現在、約4万2千人の外国人が住んでいる(2017年10月)。区全体の人口における外国人の比率は都内1位となる約12%。この数値は、移民が多いヨーロッパ諸国とほぼ同じ水準だが、さらに大久保地区(1丁目、2丁目)に限って言えば、約40%にまで跳ね上がる。住民の5人に2人が外国人という状況は、日本全体の約1・9%という数字と比べるとほぼ20倍である」
この状況を受けて、新大久保駅では「事故防止のために、階段や通路は右側を歩いてください。階段は止まらずに歩いてください」というアナウンスを、英中韓はもとより、タイ語やベトナム語、ヒンディー語、ネパール語など、なんと24カ国語に対応するようになっている。
かつては韓国系の店が多く、「リトル・コリア」と呼ばれていた新大久保。しかし今は、「イスラム横丁」もあれば、ベトナム、ネパール料理店も軒を連ねる。「多国籍タウン」と化しているというのだ。
デイリー新潮編集部
2018年6月8日 掲載
「新大久保駅がある新宿区には、現在、約4万2千人の外国人が住んでいる(2017年10月)。区全体の人口における外国人の比率は都内1位となる約12%。この数値は、移民が多いヨーロッパ諸国とほぼ同じ水準だが、さらに大久保地区(1丁目、2丁目)に限って言えば、約40%にまで跳ね上がる。住民の5人に2人が外国人という状況は、日本全体の約1・9%という数字と比べるとほぼ20倍である」
この状況を受けて、新大久保駅では「事故防止のために、階段や通路は右側を歩いてください。階段は止まらずに歩いてください」というアナウンスを、英中韓はもとより、タイ語やベトナム語、ヒンディー語、ネパール語など、なんと24カ国語に対応するようになっている。
かつては韓国系の店が多く、「リトル・コリア」と呼ばれていた新大久保。しかし今は、「イスラム横丁」もあれば、ベトナム、ネパール料理店も軒を連ねる。「多国籍タウン」と化しているというのだ。
デイリー新潮編集部
2018年6月8日 掲載
新潮社
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