Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/e2a520d167574d3b9157f6bd76556c4d8c3671fb
大阪・なんばの雑居ビルの地下にある海外送金所「キョウダイ・レミッタンス」。 ここからは150以上の国や地域にお金を送ったり、受け取ったりすることができます。特徴は、銀行よりも早く、安い手数料で送金できること。日本で働く外国人が母国にお金を送るために多く訪れます。 そこには、どんな想いが詰まっているのか。2月末、小さな海外送金所に一日密着しました。
新婚だけど単身で日本に パキスタン出身の男性は給料の半分以上を家族に送金
パキスタン出身のアリ・ザファールさん(33)。来日3年目で、お弁当を作る仕事をしています。取材した金曜日は礼拝の日で新今宮のモスクに行くため、民族衣装を着ていました。 この日は母国にいる妻に4万円を送金しました。結婚式は母国パキスタンで1月3日で開いたばかりです。 記者)日本でずっと仕事していて、奧さんはどうやって見つけたんですか? アリさん)お母さんとお父さんが決めました。写真を見て「あの人は大丈夫です」と言った。 記者)何人ぐらい来たんですか? アリさん)たぶん300人ぐらい。めっちゃお金かかった。300万円。貯金がなくなりました。
両親にも10万円を送金していて、給料の半分以上が消えるそうです。 アリさん)子どものとき、お父さんとお母さんが私にお金がかかりますから。 記者)育ててくれたお礼と言うか? アリさん)そう。 将来、パキスタンの岩塩を日本で売るビジネスを始めたいというアリさん。5月には奥さんも来日するそうです。夫婦2人で夢に向かって、頑張ってください。
キーウに残した高齢の父 家族を思う気持ちは「日本もウクライナも関係ない」
ウクライナ出身の長身の女性が送金所にやって来ました。 10年以上前、モデルの仕事をきっかけに来日し、いまは40代。この日は、首都キーウで暮らす75歳の父親に8万円ほどを送金しました。 女性)戦争前にも送ったことあるんですけど、今はもっと送る。助けないと。 ウクライナでは、物価上昇に加えて、戦争にかかるコストが市民生活を圧迫しています。 女性は毎週、父親とビデオ電話で連絡を取り合っています。父親は高齢で体が弱っているため、国外に逃れることはできないそうです。 女性)1週間に3~4回は「元気か?大丈夫か?ちゃんと食べてる?ちゃんと薬飲んでる?」どこでも一緒。日本でもウクライナでも関係ない。家族の関係。
ロシアの侵攻から3年。コロナ禍以降は帰国できていないため、父親には5年以上会えていません。どのような思いを込めて送金し続けているのでしょうか。 女性)もっと元気になってほしい。それはたぶんナンバーワン。おいしいもの食べたり、ちょっとぐらいは楽しかったらうれしい。 記者)戦争が終わったらまた再会できるかもしれないですね。 女性)そうです。終わったら、もちろん会いにいきます。
海外送金所スタッフは3ヵ国語以上を操る 記録的な円安の影響で送金は減少
大阪・なんばにある海外送金所「キョウダイレミッタンス」。店の名前は日本語の「兄弟」に由来し、お客さんの相談に親身に乗ってくれるスタッフがいます。スタッフはみな3カ国語以上を話し、英語はもちろん、インドやネパール、フィリピンなどの言葉にも対応します。 記者)記録的な円安の影響は? ナレンドラ店長)やっぱり送金する額が減る。件数が減る。経済的に余裕があるお客さんは貯めたりとか、いつレートがよくなるかという質問も結構きます。
外国人の賃貸トラブルにも対応 関西弁を使いこなすネパール出身の若手ビジネスマン
ネパール出身のカルキ・サンジャエ(24)さんは来日8年目。4人兄弟の長男です。 母国の母親に送金した額は2万円。日本の大学を卒業して去年の春から働き始めました。かつて父親がドバイで働いていましたが、肉体労働ではなく知識を身に着けたいと思い、日本に来たそうです。 記者)何の仕事をしていますか? カルキさん)不動産の仕事をしております。最近、留学生も技能実習生も増えてきました。「外人ダメ」という日本のオーナーさんも増えてきたので、弊社が物件を借り上げたうえで、外国人の方にサブリース(転貸)するビジネスをやっております。 かつての自分のような留学生を助けたいことが仕事の動機だそう。留学生に日本語の勉強や文化の違いを教えることもあります。
ただ、日本のルールに慣れていない外国人の中には、ゴミの出し方を間違えたり、夜に騒いだりしてトラブルに発展することも。その対応にもあたるそうです。 カルキさん)電話で対応したり、現地に行ったりして、それでもダメなら(日本語)学校さんの協力をもらって「君だけではなくて、今後同じ国から来る学生も住めなくなるので、影響が広がるよ」ということを説明します。 いまは宅建の資格を取ろうと勉強中。将来は不動産関係のビジネスで独立することを目指しているそうです。
カメルーン出身の姉弟 大阪・富田林のアパートで作る故郷の味
お昼過ぎに、若い女性が来店しました。 日本語学校に通っているというパトリスさん(22)は、約1年前にアフリカ中部のカメルーンから来日しました。 記者)日本のどこに興味を持ちましたか? パトリスさん)アニメ、食べ物、服、スタイル。 記者)食べ物って例えば? パトリスさん)一番好きな食べ物はトンカツ。 この日は、誕生日プレゼントで、アメリカに暮らしているいとこから4万円を受け取りました。 記者)何を買いたいですか? パトリスさん)靴と服。でも全部は使わない。日本で生活はちょっと大変だから、たくさんキープします。(カメルーンで)果物、食べ物はとても安い、日本ではとても高いと思う。
大阪・富田林にあるパトリスさんのお宅に伺いました。 出迎えてくれたのは弟ウィリアムさん(19)。2人は同じ日本語学校に通いながら、2Kのアパートで暮らしています。学費は仕送りですが、生活費はアルバイトで稼いでいます。パトリスさんはパン工場、ウィリアムさんは洗車のアルバイトをしています。 この日の夕食はカメルーンの郷土料理でした。 記者)今から作ろうとしているお料理は? パトリスさん)名前はフランス語でプレマヨ。鶏肉はフランス語でプレ、鶏肉とマヨネーズ。 手羽先にさまざまなスパイスをまぶして揚げた後、トマトペーストを加えて、タマネギなどの野菜と一緒に包み焼きに。マヨネーズで和えると完成です。 ウィリアムさん)いただきます。 記者)どうですか? パトリスさん)美味しいです。 ウィリアムさん)めっちゃ美味しい。普段はフォーク使っているんですけど、このミート(食べ物)は手で食べたほうがいいです。
父親がカメルーンの日本大使館で働いていた縁で、2人は日本に留学しました。 パトリスさんは、カカオやトウモロコシを栽培している父親の農園を継ぐため、日本の大学で農業の勉強をしたいといいます。毎日6時間、日本語の勉強をしています。 パトリスさん)私の問題は話すことが好きじゃないことです。とてもシャイだから、書くことはできますけど、話すことはちょっと大変です。 記者)弟とちょっと違うね。 パトリスさん)とても違う。(弟は)話すことができます。とても上手です。
海外にいる大事な人にお金を送る人、受け取る人。 なんばの海外送金所には、懸命に日本で働き、お金と一緒に温かい気持ちも届ける外国人の姿がありました。











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