2022年3月30日水曜日

Synspectiveが世界銀行・ネパール国家減災庁と協働し、ネパール・メラムチにおける土砂災害評価を実施

 Source:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000052943.html

干渉SAR解析による時系列的な斜面変動を検証

 


図:Synspectiveでは、技術研究に関するオンラインワークショップ「メラムチにおける大規模洪水と地すべりに関する検証とレジリエンス獲得に向けた提案」を実施。多くの関係者およびステークホルダーが参加しました。

この度のプロジェクトでは、欧州宇宙機関のSAR衛星が収集したデータを使用した当社の「地形変動モニタリング(Land Displacement Monitoring、以下LDM)」により、メラムチ川上流付近の400平方キロメートルを超える斜面の変動を監視・分析しました。さらに、その分析結果は、ネパール当局による同地域の崩壊や地すべり等に対するリスク管理を支援するために活用されました。対象地域には、住宅や人々の生活を支える重要なインフラ施設が点在し、アジア開発銀行が資金協力をしている首都カトマンズへの水供給を計画している、メラムチ上水道プロジェクトの取水施設も存在します。

LDMについてはこちら:https://synspective.com/jp/solutions/land-displacement/
 

この度のプロジェクトについて、当社代表取締役CEO 新井元行は次のように述べています:

「災害発生時、地方自治体が最善の対策を取るためには、必要な情報を収集し、何が起こったのか、そしてなぜ起こったのかを迅速に把握しなければなりません。そのために従来は、水準測量やGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)、ドローンやヘリコプターなどを用いた調査によって、地形の変化を検出・測定していました。しかし、これらの調査方法には、直接災害現場に赴いて、測定しなければならないという制限があります。この度のプロジェクトを通じて、当社は干渉SARとLDM技術により、狭くて急なメラムチ渓谷へのアクセシビリティという課題を克服し、斜面の不安定性を可視化することで、有効な情報を提供することができました。それに加えて、災害から5ヶ月後に実施されたヘリコプターによる調査でも、当社のデータ解析技術やリモートセンシング技術による情報の品質が確認されています。このプロジェクトは、特に立ち入りが困難な地域や昨今のCOVIDでの移動制約下において、遠隔、広域、迅速なデータ取得とその解析技術こそが災害リスク管理に大きく貢献することを示しており、当社の活動を大きく後押しするものです。」

 

当社の分析は、ヒマラヤ高地での地盤変動メカニズムを説明するための補足的な考察を提供するものであり、地盤変動や時空間的な特性の分析によって、メラムチ川北西部の斜面地域に加えて、他のメラムチ川流域および近隣地域もまた、地盤変動リスクをはらんでいると結論付けます。また、気候変動でリスクの増大しているヒマラヤ山脈等における氷河湖決壊洪水のリスクモニタリングにも応用できる可能性が議論されています。

 このプロジェクトは、国内外の専門家やパートナーからなる大きなチームでの技術的な議論とレビュー、そして現場からのさまざまなデータ提供によって、実現しました。当社の成果が、ネパール政府や自治体、そのパートナーにより、ネパールにおいてレジリエンスを備えたコミュニティやインフラを構築するために役立てられることを願っています。

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