2018年8月21日火曜日

アジア大会ライター取材日記】最も大人げのない光景が見られる「カバディ」

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180821-00034116-theanswer-spo
8/21(火) 、ヤフーニュースより

いったい、どんな競技? 「カバディ、カバディ…」とつぶやき続けながら…
 連日、熱戦が繰り広げられるアジア大会。「THE ANSWER」では現地で取材するライター・平野貴也氏による取材日記を展開する。2日目はカバディを取材。アジア大会が世界一決定戦に位置づけられるカバディとは、いったいどんな競技なのか。

 ◇ ◇ ◇

 取材2日目となった20日は、カバディを取材しました。会場は、モノレールやゴンドラが走るタマン・ミニ・インドネシア・インダーという巨大な公園の中。シアター・ガルーダというコンパクトなアリーナで、カバディの迫力が非常によく伝わる施設でした。

 さて、カバディ、カバディ……。皆さんは、どんなイメージをお持ちでしょうか。カバディとつぶやき続ける競技? 鬼ごっこみたいな競技? 何も知らない方も多いと思うので、今から書くことを少し想像してみて下さい。ドッジボールのコートがあります。相手コートに7人の選手がいます。あなたは、1人で自陣から相手コートに入り、一番奥のラインか相手の誰かにタッチをして、自陣に戻って下さい。その間、あなたは「カバディ、カバディ……」とつぶやき続けなければなりません。相手コートに入ると、相手は7人がかりであなたにタックルを仕掛け、腕や足をつかみ、ひきずり、乗っかって阻止しますが、それでも生還して下さい――相手と接触して自陣に戻れば、接触した相手の人数分の得点を得られます。細かいルールは置いておいて、パッと見たら、こんな印象ではないかと思います。7人がかりで1人を押さえつける。「最も大人げない光景が見られるスポーツ」です。

 さて、カバディ、カバディ……。そろそろ実際の試合の話を伝えましょう。取材したのは、男子の試合。この日、日本代表は2試合を行いました。第1試合は、マレーシア戦。序盤に3-0から畠山大喜選手(大正大)がレイダー(敵陣に行く攻撃者)を務め、相手2人につかまれながら、自陣に生還する好プレーを見せました。後半には一斉に詰め寄って来た相手に潰される場面もありましたが「タッチする、させないという心理での間合いの駆け引きが面白い。国際大会は、大きい選手も多くて迫力があるけど、怖いと思ったら得点できない。腹をくくって行く」と得意の攻撃に向かう心構えを明かしてくれました。日本は、30-20で快勝。しかし、第2試合で地元のインドネシアに26-34で敗れて苦しくなりました。21日のネパール戦、22日のパキスタン戦を経て6チームで争うB組の上位2位に入れば、決勝トーナメント進出とメダルの獲得が決まります。
アジア大会が世界一決定戦、高橋コーチ「権威としてはW杯より上」
 昨日の取材日記で少し触れましたが、競技によってアジア大会の重要性は異なります。指揮を執る高橋弘実コーチは「権威としては、ワールドカップより上。カバディは五輪がないので、4年に1度のアジア大会が世界一決定戦。僕らも命をかけてやっているので、少しでも注目してもらえれば」と気合い十分でした。インドが発祥の地で、アジアで盛んという競技の特色により、アジア大会が最高峰の大会なのです。日本も近年は漫画「灼熱カバディ」が人気を呼び、大学でもサークルが増えてちょっとしたブームになっており、下川正將選手(保険ヴィレッジ)は「カバディをやる人が増えている実感がある。結果を出してメディアに取り上げてもらって、実際のカバディを見てもらいたいし、やる人を増やしたい」と競技発展をかけて臨んでいました。何とかメダルを取ってもらいたいものです。

 それにしても、カバディの取材日記など誰か読むのだろうか。記事でカバディ、カバディ……とつぶやく必要はありませんが、ちょっと勇気を持つのにあやかってみました。
平野 貴也 / Takaya Hirano

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