2017年11月24日金曜日

中国共産党が「ネパール乗っ取り」を目論んでいるこれだけの証拠

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171122-00053535-gendaibiz-int
11/22(水) 、ヤフーニュースより

 中国からの旅行者が急増中のネパール。2013年の12万3000人から約6倍の伸びを見せ、2016年には73万人に達した。

 同年の訪日中国人637万人と比べれば、9分の1強ほどの数であるものの、北海道の1.8倍程度の面積の国に、これだけの人が押し寄せているのだから、主だった観光スポットは中国人で満員御礼。ネパール経済の底支えを担ってくれるとして、大いにウエルカムな存在となっている。

 ネパールに通い続けて20余年。その間、貧困を原因とする社会問題に取り組んできた筆者としては、ネパール経済が潤うのは喜ばしいかぎりだ。しかしその一方で、近年のネパールと中国の蜜月ぶりに、不穏な空気を感じてならないのである。

仏教の聖地に中国の赤い舌が
 両国の関係性に違和感を覚えたきっかけは、ネパールを訪れる中国人観光客が増え始めた6、7年前のことだ。懇意にする現地新聞のビシュヌ記者から、“ルンビニを整備するため、中国のNGOが20億ルピー(約20億円)の支援を決めた”との話を耳にしたことにある。

 ネパール南部に位置するルンビニは、ブッダの生誕地とされる仏教の聖地だ。信者はもとより、世界の旅行者が足を運ぶ観光名所としても名高い。そのルンビニをより魅力的な地とするため、大々的に整備するというのである。

 他国の観光資源に大金を投じるというだけでもひっかかりを覚えたものだが、なにより腑に落ちなかったのは、それを買って出たのが中国のNGOという点だ。中国のような国に、NGOのような性質の組織が存在するとは思えなかった。

 そんな疑問を投げかけてみたところ、おぼろげながら予想していた答えが返ってきた。いわく、NGOというのは表向きの組織であり、実質的には中国政府のプロジェクトだというのだ。

 「2008年3月に起きたチベット騒乱の際、中国政府によるチベット自治地区内での弾圧が世界的な非難を浴びました。そのときについた負のイメージを、仏教に心遣いを見せることで、払拭しようと考えたのだと思います。

 一見、ネパールのための援助に思えますが、100パーセント、自国の利益のためのプロジェクトということ。そもそも、中国にNGOがあるとは思えません」

 今年1月、この言葉を裏付ける動きが中国であった。“外国非政府組織(NGO)国内活動管理法”が施行されたのだ。中国において活動する700~1000の外国NGOに対し、公安当局への事前届出が義務付けられ、一切の政治、宗教、営利活動等への関与が禁止されるというものである。

 かりに、中国の安全や利益、民族の団結を損ないかねない活動を行ったと判定された場合は、即座に活動停止を言い渡されることになる。事実、多くの外国NGOが活動縮小もしくは活動停止に追い込まれたのである。

 かような、国際支援の意義を根底から否定するような国に、真っ当なNGOが存在するとは思えなかった。

 しかし、筆者の違和感をよそに地元の人は大いに沸いた。夜更けにジャッカルの遠吠えが聞こえるような田舎の村だったルンビニが、大々的な整備によって大きく発展するのだから、当然の人情である。
無料で中国に留学できる破格の援助
 その後も中国は、ネパールに対し、インフラ・道路交通・医療衛生・教育文化・エネルギー・農業・防災・情報通信・文物古跡の修復など、さまざまな分野で援助を続けていった。なかでも大きな話題になったのは、ネパール鉄道計画だ。

 中国は、2006年、中国西部の青海省西寧とチベット自治区首府ラサを結ぶ青蔵鉄道を開通させた。2014年には、その先シガツェまでの253キロが完成し、さらにはネパール国境まで延伸するという計画である。

 ネパールには、鉄道がない。正確にいえば、ジャナクプルに狭軌鉄道が走ってはいるが、全長51キロと短く、人や物資の輸送にそれほど役立っているとは思えない。長距離移動はバスか飛行機を利用するほかないのだが、国内線は運賃が異常に高く、庶民には手の届かない代物だ。

 バスの方も、三度、四度と使いまわされた中古車であるため、故障による立ち往生も日常茶飯事である。鉄道が通りさえすれば移動の便は格段によくなるはずと、皆、期待に胸を膨らませているのだ。

 教育の分野でも、破格の援助が行なわれている。関係筋とコネを作りさえすれば、奨学生として無料で中国に留学できるというのだ。以前から奨学制度はあったのだが、近年、その数は急増。毎年約100人に中国政府が奨学金を提供し、中国在住のネパール留学生の総数は、5000人に達したといわれているのである。

 こんな一風変わった支援の形もある。骨董品を扱う知人から聞いた話だ。

 「仏具、銀製品といったネパールの工芸品を、中国で開催されるエキシビションに出品してほしいと招かれるのです。旅費もタダだし、みんな喜んで出かけていきます。なぜなら、絶対に損しないから。来場者が少なければ、地元の政治家がすべて買い取ってくれるか、貸し切りバスで村からたくさん人を連れてきてくれる。

 無料で街に出かけられるわけだから、行楽気分で土産物のひとつでも買いたくなるでしょう。そうした人が次々とやって来るから、結構、儲かるんです」

 いわば、ネパール商人の接待エキシビションといったところか。その甲斐あってか、今年上半期、中国・ネパール両国の貿易額は4.5億ドルに達し、前年同期比で18.3パーセントの増加を見せた。しかも、中国がネパール第一の貿易相手国となったという。
当局による人の移動の推進
 ネパール政府の統計データによると、2015~2016年の財政年度において、中国のネパールに対する投資額とプロジェクトの数は第1位とのことである。こうした一連の流れを受け、最近、聞かれるのはこんな声だ。

 「中国はネパールのためにいろいろしてくれるから好き」
「ネパールは、ずっとインドに寄りかかっていたけれど、これからは中国と仲良くした方がいい」

 さまざまな形の援助によって、ネパールの民衆の心はがっちりつかまれてしまったようである。

 チャイナマネーとともに、人員もどんどん投じられている。前号で記したとおり、急増する中国人観光客を当て込み、ホテルやレストランを開業するため、ネパールに移り住む中国人が増え続けているのだ。

 ネパールに暮らす中国人を見かけ始めたのは、10年ほど前のことである。駅弁や球場の売り子のように、首から下げた木箱におもちゃのような腕時計を並べて売り歩く行商人だった。ネパール語も英語もまったく話せない様子だったが、身振り手振りでネパール庶民を相手に小商いをしていた。その質素な身なりから、本土で生計が立てられず、出稼ぎにやってきたのだろうと思ったものである。

 ところが、昨今の移住者は、かなり景気がよさそうだ。カトマンズの王宮通りは、ネパールでもっとも地価が高いとされるが、次点のタメルも20平米6万ルピー(約6万円)と高額である。そんな一等地のタメルに、ホテルやレストランを開業するとなれば、かなりの資金を要するはずだ。

 ならば、富裕層が移住してきているのかといえば、どうやらそうでもないようである。10年前に見かけた行商人と大差のない風貌の人ばかりだからだ。
前出のビシュヌ記者によれば、やはり富裕層ではないという。

 「普通より少し下の経済レベルだと思います。なのに、タメルの新築ビルにテナントに入りするのは中国人ばかり。新築の家賃はさらに高いのに、広いスペースのレストランやホテルをオープンしています。おそらく、非常に低い金利で借り入れができるとか、移住支援の補助金がもらえるとか、中国政府の経済的な後押しがあるのだと思います」

 どんどん投じられる人とカネにより、景気の上昇をみせるネパール。市井の人々は無邪気に喜んでいるが、どうにも危惧されてならない。なぜなら、その背景に、中国政府の壮大な企みが見え隠れするからである。
見え隠れする中国の思惑
 前述の青蔵鉄道は、ネパール国境まで延伸され、将来的には国内にも通じるといわれている。加えて、ブータンやパキスタンなど、南アジア一帯に一大鉄道網を構築する計画も持ち上がっているとのことだ。

 ネパールの民衆は「移動の便がよくなる」と、素直に喜んでいる。しかし、中国は親切心で列車を走らせてやろうと考えているわけではない。

 近年、中国は貿易規模を飛躍的に拡大させている。なかでも海運貿易の割合が上昇を続けているのだが、輸送ルートに厳しい問題を抱えている。

 インド洋と太平洋の間に位置するマラッカ海峡は、世界の3分の1の貨物貿易、約50%の石油輸送を担う国際貿易の重要ルートだ。中国の海上貿易においても、必ず使われるルートであり、全体の56%の原油もここを経由して運ばれている。ところが、可航幅が数キロしかない箇所があるうえに浅瀬が多く、航行に困難を伴うとされているのだ。

 こうした不利な地理的条件だけでなく、もうひとつ厄介ごとを抱えている。国防を理由に、マラッカ海峡から北西に350キロ離れたアンダマン・ニコバル諸島の海域と空域で、インドが兵力を大幅に拡大しているのだ。

 この夏、洞朗地域で2ヵ月間のにらみ合いが続いた中国とインド。そのような中印関係にあって、まさかの有事となればどうなるか。インド軍が中国船舶を遮ることも、中国艦隊を迎え撃つこともできるのだから、心中穏やかでいられるはずもない。

 ゆえに、南アジアを網羅する鉄道計画なのだ。航行困難かつインド軍が目を光らせる海運ルートに全面的に頼らずとも、貨物貿易や石油輸送を担う陸運ルートを確保しようという魂胆なのである。

中国による内政干渉
 鉄道整備から医療衛生、教育文化や文物古跡の修復など、さまざまな分野でネパール支援を行う中国。ネパール国民の評価は高まる一方だが、黙ってカネだけ出す者は稀有な存在であり、払った分だけ口を出すのが世の常である。

 ゆえに、これまでネパールに対してほとんど物申すことがなかった中国だが、最近、なにかと干渉してくるという。しかも、国政に関わる一大事にまで介入しているというのだ。

 前出のビシュヌ記者がいう。

 「11月26日と12月7日の2日間にわたって、ネパール連邦議会選挙が行われます。それに向けて、議会第2党のUMLと議会第3党のマオイストは、ともに戦うと発表しました。ほかの共産党系諸党にも参加を呼びかけています。

 そして選挙後は、2党が合併し、新たな共産党に生まれ変わるといっています。現在、UMLは野党で、マオイストは与党。そんな2党が、なぜ手を結ぶことになったのかといえば、中国が仕組んだといわれています。UMLとマオイストの候補者に、中国が選挙資金を提供し、コントロールしているのです」

 新生共産党のスローガンは、「社会主義志向の繁栄とナショナリズム」とのことだ。もともと共産党系は親中的ではあったものの、来る選挙で彼らが圧勝すれば、中国の傀儡政権が誕生しかねないのである。

 こうした世の流れを、ネパールのもうひとつの隣国であるインドはどう捉えているのか。

 次号は、彼らの対中戦略について記したい。
長谷川 まり子

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