Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/8dd439dbc78d40118c42adbd792f1b7be86d8ee1
「経緯や動機に酌むべき点は乏しい」
交際相手だったネパール人男性、チャンタール・バダルさん(事件当時21)の自殺幇助の罪などで起訴された浅香真美被告(32)の判決公判が3月10日に千葉地裁で開かれた。 【画像】う、美しい…物憂げな眼差しでこちらを見つめるチャンタール・バダルさん 土倉健太裁判官は、「家族を説得するなど、さまざまな対応が考えられたにもかかわらず、被告人は短絡的に出刃包丁2点を用意して自殺を幇助した。このような経緯や動機に酌むべき点は乏しい」などとして、「拘禁刑2年執行猶予5年(求刑2年)」を言い渡した。 執行猶予を付けたことについては、「本件は自殺幇助の事案である」として、「被告人が罪を認めて反省の言葉を述べている」ことなどを指摘。「本件については主文の刑期の拘禁刑を言い渡したうえで、猶予期間を最長の5年とした」と述べた。 事件が発覚したのは’25年10月5日の朝8時ごろのこと。「男性が包丁で自分を刺した」との119番通報だった。救急隊員が駆けつけると、ホテルの部屋で血まみれのバダルさんがうつぶせの状態で倒れており、その場で死亡が確認された。通報したのはその場にいた浅香被告だった。現場にあった2本の包丁を「自分が万引きした」と話したことから、千葉県警は窃盗容疑で浅香被告をその場で逮捕。その後、10月28日にバダルさん殺害の容疑で逮捕した。 殺人の容疑について浅香被告は「間違いです」と否認しており、検察は浅香被告を自殺幇助と窃盗、銃刀法違反の罪で起訴した。殺人での起訴ではなかったことについて検察は「証拠に照らして判断した」としていた。 裁判について、これまで『FRIDAYデジタル』は2回にわたって報じてきた。その内容を一部再編集して振り返る──。 ’26年2月19日、千葉地裁で浅香被告の初公判が開かれた。公判にはバダルさんの親族も参加し、ネパール語の通訳を通じて、浅香被告の供述を聞いていた。 裁判では、その日に何があったのか、少しずつ明らかになった。 日本語学校の学生だったバダルさんと浅香被告が職場の工場で知り合ったのは’24年の12月。11歳年が離れた2人が交際を始めたのは、’25年3月だったという。浅香被告は交際が始まった3月には、結婚を求められていたと振り返る。 「最初に彼(バダルさん)が、『結婚』というフレーズを入れた熱いメッセージを送信してくださいました。また実際に会ったときにも、『結婚したい』というようなことを言われたりもしていました。私は好きでしたが、その頃はまだ結婚までは考えていませんでした」 バダルさんには学校があり、浅香被告もダブルワークをしていたため、会うのはもっぱらホテルだったという。被害者代理人弁護士の「2人で映画を見たり、アミューズメントパークに行ったことはありましたか」という質問には、「ありません」と答えている。 9月ごろには浅香被告はバダルさんとの結婚を考えるようになったが、周囲からは反対されていたという。浅香被告は自殺を考えるようになったきっかけが3つあるとして、こう述べていた。 「家族に反対されたこと、2人で生活するお金がなかったこと、そしてバダルさんが職場を変わったために顔を合わせる時間が減ったことです」 家族からの反対については、弁護人の質問に答えるかたちで、このように話していた。 「私の親からは、互いの文化や育ってきた環境が違うので、一緒に生活するのは難しいだろうと反対されていました。彼(バダルさん)も『あなたは何をしに日本に行ったのか』と父親から電話があり、結婚を反対されたと話してくれました」 浅香被告によると、バダルさんは「『一緒にいたい』『結婚したい』と非常にショックを受けていた」という。 そして、どちらからともなく、自殺を考えるようになった。 「『一緒にいられないんだったら死のうか』とバダルさんがネパールのククリナイフの画像を見せてくれました」(浅香被告) ククリナイフの画像を見せられたことを、「刃物を準備してほしい」というメッセージだと受け取った浅香被告は、「どうせ死ぬのだからわざわざ買う必要はない」と、10月3日、100円ショップで出刃包丁を2本、窃盗した。 10月4日の夜、ホテルでバダルさんと会うと、部屋のテーブルの上に包丁2本を並べ、「刃物を準備した」ことを告げたという。バダルさんが自殺を図ったときの様子について、浅香被告は次のように述べていた。 「ベッドで横になって2人で泣きながら話をしていると、突然、彼が起き上がって『一緒になれないんだったら死んでやる』と言って、テーブルに置いてあった包丁を手に持って胸のあたりを刺しました」 バダルさんの後を追わなかった理由については、「頭が真っ白になったため、行動することができませんでした」と語った。そして、しばらく逡巡した後、119番通報したのだという。
「殺されたと考えています」
不可解だったのは、バダルさんの遺体が自身で傷つけたにしては、あまりにもむごい状態だったことだ。3月3日に開かれた第2回公判の意見陳述で、バダルさんの兄は次のように明かしていた。 「弟の体には11ヵ所の刺し傷がありました。首への深い刺し傷。そして両手にも傷があり、左手は刃物が貫通していました。また、心臓付近は16の深さに刃物が到達していました」 検察官も、この点を指摘し、「これだけの傷がどうやってできたのか、わかりますか」と質問している。それに対して浅香被告は次のように答えていた。 「私はベッドの上にいたのでバダルさんの背中しか見えませんでした。バダルさんは前かがみになっていたので、実際にどのような動きをしていたのか、わかりませんでした」 意見陳述でバダルさんの兄は、「バダルがもし精神的な問題を抱えていたのなら、私たちは必ず気づいたはず」「バダルは翌月の勤務シフトもすでに作成していました。自ら命を絶つつもりの人間が将来のシフトを作成するでしょうか」と、どうしてもバダルさんが自殺するとは信じられないのだと主張したのだった。 事件直後の警察の取り調べでは「’25年10月2日の夜に、バダルから浅香被告に別れ話をしたと聞きました。バダルは殺されたと考えています」とも話している。 バダルさんが自殺したことを受け入れられなかった遺族。裁判で争われたのは浅香被告の「自殺幇助」の罪だったが、有罪判決はバダルさんの自死を裏付けることとなり、遺族の思いは裏切られた形となってしまった。 浅香被告は裁判で「結婚を反対されたときには視野が狭くなり、時間をかけてでも解決しようという考えに至りませんでした」と述べていた。執行猶予付き判決は、この言葉が「反省している」と認められたことになる。 更生の道を歩き始めた浅香被告に対して、亡くなったバダルさんの遺族は今、何を思うのだろうか──。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit ・日本いのちの電話連盟 電話 0570-783-556(午前10時〜午後10時) TOPページ ・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226) よりそいホットライン ・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談 電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html ・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jscp.or.jp/soudan/index.html
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