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移住先のネパールで、僕は学生になった。約30年ぶり、しかも日本ではなく、ネパールの大学生になったのだ。 【画像】僕のクラスメイトの「アンジー」&学食のメニュー ネパールの大学生活は、日本のそれとはかなり異なる部分が多い。そこで今回は、僕のネパールのキャンパスライフを紹介しながら、ネパールの大学生についてお話ししたい。
30年ぶりのキャンパスライフ
僕が通うトリブバン大学の国際言語学科(通称ビソバサキャンパス)は、棟が2つと中庭、そして小さな食堂だけで構成されている。「大学」と言われて想像するであろうキャンパスより、かなりこぢんまりした印象だ。 ネパールの大学には、日本の大学のような新入生歓迎ムードはない。サークル勧誘も、新歓コンパもない。そもそもサークル自体が存在しない。 僕のクラスの授業は、10時から12時までの2時間だけ。授業が終わると、クラスメイトたちはそれぞれの生活へと戻っていく。授業以外で顔を合わせることはほとんどない。 それでも、授業では自己紹介やディベートの時間があり、それぞれの背景や人となりが少しずつ見えてきた。
友だちはたくさんできた?
日本の大学なら、授業が終わったあとも教室に残って、「今日の授業どうだった?」なんて話したり、流れでランチに行ったりすることも多いだろう。そんな日々を重ねるうちに、いつの間にかかけがえのない友人ができたり。それもまた、大学生活の醍醐味だ。 だが、ネパールでは少し様子が違う。 日本語をはじめとした、他言語を学ぶ地元のネパール人学生たちが固まって行動している姿はよく見かける。年齢層は、10代後半から30代といったところだろうか。 一方、ネパール語を学ぶ外国人は、国籍も年齢もさまざま。僕のクラスは15か国もの人が集まっていたし、仕事をリタイアした60代の人もいる。ただ、ネパール語を学ぶ外国人同士がつるんでいる、という感じはない。 授業が終わったあと、みんなが何をしているのか。正直、僕にもよくわからない。仲が悪いわけではない。ただ、それぞれに事情があり、プライベートな話題にあまり踏み込まない空気があるのだ。
オーストラリア出身のクラスメイト
そんな、どこか個人主義的なキャンパスライフだが、僕自身はネパール語を学ぶために来ているので、不満はまったくない。むしろ、今のところは心地よくさえある。 そのなかで、自然と話すようになったクラスメイトがいる。オーストラリア出身のアンジーだ。 年齢も近く、どこか似た匂いを感じたのか、気づけば授業前後に少し言葉を交わすようになった。 彼女は、これまでに35か国ほど旅してきた旅人だという。日本にも3〜4回来たことがあるそうだ。 数年前、アジアの国々を巡る旅の途中で、初めてネパールを訪れた。そのときのことを、彼女はこう話してくれた。 「ネパールにいると、ここが自分の居場所だって、直感的に感じたんです。ずっと前から惹かれていた場所で、実際に来てみたら、静けさと混沌が同時に存在している。そのギャップがすごく好きになりました」 いったんオーストラリアに戻ったあとも、その感覚は消えなかったらしい。数年後、やはりネパールで暮らしたいと思い、この学校に入学したという。 彼女のように住みたいと思って入学する人は多い。ネパールに来た際に、この国の人や文化や自然、雰囲気に強く惹かれてしまうのだ。 彼女がこの先、どれくらいネパールにいるのかはわからない。それでも、ネパール語を学ぶ同志として、互いに刺激を受けながら過ごせたらと思っている。
気に入っているのは小さな学生食堂
キャンパス内で、僕がひそかに気に入っている場所がある。それが学生食堂だ。 ごく小さなローカル食堂のような雰囲気で、席数も多くはない。多くの学生は注文した食事を外のオープンスペースに持ち出して、お茶や軽食を楽しんでいる。 ネパールの家庭料理ダルバート(ご飯と豆スープと副菜がセットになった定食)のような定食メニューはないが、軽食のバリエーションは意外と豊富だ。 なかでも僕のお気に入りは朝食メニュー。パスタ、アルー(じゃがいも料理)、チヤ(ミルクティー)のセットで、たったの100ルピー。日本円にして約109円。町の食堂よりも少し安いのがうれしい。そして、ちゃんと美味い。 放課後、食堂でチヤを飲みながら、「ああ、自分はいま学生なんだな」と、じんわり実感する。 30年ぶりのキャンパスライフは、思っていたより静かだが、いまの僕にはこのくらいが心地良い。 根津貴央(ねづたかひさ) ロングトレイルとハイキングが専門分野のライター。2012年にアメリカの『パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)』を歩く。2014年からは、仲間とともに『グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)』を踏査するプロジェクトを立ち上げ、毎年ヒマラヤに足を運ぶ。著書に『ロングトレイルはじめました。』(誠文堂新光社)、『TRAIL ANGEL』(TRAILS)がある。2025年4月にネパールへ移住。 @hikertrash_taka @ght_project
根津 貴央



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