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バダルさんの死を受け入れられない遺族
「私は弟を自分の子供のように愛し、大切に育ててきました。その弟が突然この世からいなくなったという知らせを聞いた時、私は自分自身が死んでしまったかのように感じました」 【画像】楽しかった日々……居酒屋で焼き鳥を手に微笑むバダルさん 自殺したとされるネパール国籍で語学学校学生のチャンタール・バダル(当時21)さんの兄は、突然、弟を失った胸の内を、日本語でこのように明かしたのだった。 3月3日、千葉地裁で浅香真美被告(32)の第2回公判が開かれ、同日結審した。浅香被告は100円ショップで出刃包丁2本を盗むなどの準備をし、交際していたバダルさんの自殺を手助けしたとして自殺幇助と窃盗などの罪に問われている。 法廷には、被害者家族としてバダルさんの親族が参加し、通訳を通して浅香被告の供述を聞いていた。 「’25年10月5日午前8時15分ごろ、『ホテルで、21歳男性が自分で包丁を刺した』という消防からの通報を受け、千葉県警が通報場所であるホテルへ向かいました。警察官が部屋の前に到着した時には、救急隊員らが、意識や呼吸がなく血まみれのバダルさんに対する治療行為を行っているところでした。 室内にいた浅香被告から聴取したところ、バダルさんは交際相手であると話しました。お互いに家族から交際を反対されており、バダルさんが『結婚できないなら死ぬ。死ぬならナイフがいい』と言っていたので、4日の夜に万引きした包丁2本を持って、バダルさんとホテルに入ったそうです。 バダルさんは『結婚できないなら死にたい』と言って、包丁を手に取り、自ら胸付近を刺したとのことでした」(全国紙社会部記者) 10月28日に千葉県警は浅香被告を殺人の疑いで逮捕。しかしその後、検察は自殺幇助などの罪で起訴した。 浅香被告とバダルさんが職場の工場で出会ったのは、’24年12月。交際が始まった翌年の3月にはすでにバダルさんから「結婚」を求められていたと、浅香被告は裁判で振り返っていた。
部屋の内見までしていた
「最初に彼(バダルさん)が、『結婚』というフレーズを入れた熱いメッセージを送信してくださりました。また実際に会った時にも、『結婚したい』というようなことを言われたりもしていました。私は好きでしたが、その頃はまだ結婚までは考えていませんでした」(浅香被告) 昼間は学校があるバダルさんと、ダブルワークをしていた浅香被告は、たまに食事に行くこともあったが、ほとんどの時間をホテルで過ごしていたようだ。 9月ごろには浅香被告はバダルさんとの結婚を考えるようになり、一緒に暮らすための部屋を探して、内見までしたという。しかし、家族の反対や経済的な事情から契約を断念したのだと述べている。浅香被告は自殺を考えるようになったきっかけは3つあるとしていた。 「家族に反対されたこと、二人で生活するお金がなかったこと、そしてバダルさんが職場を変わり、顔を合わせる時間が減ったことです」 浅香被告によると、自身は母親から「育ってきた環境や互いの文化が違う」と結婚を反対され、バダルさんは父親からの電話で「あなたは何をしに日本に行ったのか」と、やはり結婚を反対されたという。バダルさんが「一緒にいられないんだったら死のうか」と、浅香被告にネパールのククリナイフの画像を見せたことを、「刃物を準備してほしい」という意味だと受け取った。 そして10月3日、「どうせ死ぬのだからわざわざ買う必要はない」と100円ショップで出刃包丁2本を盗んだのだ。 4日の夜、ホテルでバダルさんと会うと、浅香被告は部屋のテーブルの上に包丁2本を並べて「刃物を準備した」ことを告げたという。そして、ベッドで横になって二人で泣きながら話していると、バダルさんが突然、起き上がって包丁で胸のあたりを刺したとのことだった。バダルさんは浅香被告に背を向け、前かがみになっていたのでそれ以上は見ていないとも述べていた。 しかし、意見陳述のなかで兄が明かした、バダルさんの遺体に残された傷跡は、あまりに凄まじいものだった。
「決して許さない」
「弟の体には11ヵ所の刺し傷がありました。首への深い刺し傷。そして両手にも傷があり、左手は刃物が貫通していました。また、心臓付近は16の深さに刃物が到達していました」 これだけ凄惨な現場に居合わせながら、浅香被告は止めることなく、ただ背中を眺めていたのだろうか 浅香被告は「自分も死のう」と思いながらも逡巡し、結局、死ぬことができずに119番通報したのだという。 この日は、論告弁論が行われた。 検察は「殺傷能力が高く自殺を著しく容易にする包丁を持参して、これを使用できる状況にしたというもので、悪質」などとして、「拘禁刑2年」を求刑。 一方、弁護人は「被告人は深く反省し、今後、家族の監督も期待できる」などと述べ、「執行猶予付きの判決が妥当」と主張した。 事件後、バダルさんと一緒に住んでいた兄は警察の取り調べに、このように話していた。 「’25年10月2日の夜に、バダルから浅香被告に別れ話をしたと聞きました。10月4日の夜、バダルは浅香被告に会いに行くと言っていました。そして、バダルは殺されたと考えています」 バダルさんの兄は、意見陳述の中でも、「バダルがもし精神的な問題を抱えていたのなら、私たちは必ず気づいたはず」「バダルは翌月の勤務シフトもすでに作成していました。自ら命を絶つつもりの人間が将来のシフトを作成するでしょうか」と、どうしてもバダルさんが自殺するとは信じられないのだと主張していた。 「バダルさんを殺したのではないか」と疑念を抱く親族に対して、「結婚を反対された時には視野が狭くなり、時間をかけてでも解決しようという考えに至りませんでした」と反省の弁を口にしていた浅香被告。 一方で、「社会復帰した時に、やりたいことはあるか」という被害者参加弁護士の質問には、親族の感情を逆なでするような発言をしていた。 「食べたいものを食べたり、好きな場所に旅行に行くためにはやはりお金が必要なので、定職に就きたいです」 最終陳述で「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪し、バダルさんの親族に向かって深々と頭を下げた浅香被告に、兄はにらみつけるように鋭い視線を送っていた。 意見陳述で「自ら包丁を用意して、弟を死に導きながら、自分は自殺できなかったという人物を決して許さない」と述べていたバダルさんの兄の怒りに対し、司法はどのような判決を下すのだろうか。 判決は3月10日に、言い渡される予定だ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit ・日本いのちの電話連盟 電話 0570-783-556(午前10時〜午後10時) TOPページ ・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226) よりそいホットライン ・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談 電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html ・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jscp.or.jp/soudan/index.html 取材・文:中平良
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