2019年4月23日火曜日

首都の課題 荒川・江戸川流域避難、住民と行政の意識に差

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190409-00000594-san-pol
4/9(火) 、ヤフーニュースより
 《統一地方選・東京》

 「江東5区のほとんどが水没」「あなたの住まいや区内に居続けることはできません」

 墨田、江東、足立、葛飾、江戸川の各区長らで構成する「江東5区広域避難推進協議会」が大規模水害に備え作成したリーフレットには、こんな言葉が強調されている。エリアを流れる荒川と江戸川が大雨で氾濫すれば、多くの命が失われる可能性が高い。5区と周辺自治体を含めた広い範囲で2週間以上、水が引かないと予想されるためだ。

 このため、水害発生時には、5区外へ避難(広域避難)することが唯一の対策となる。5区には約260万人が暮らしており、1人でも多くの命を救うため、江戸川区の担当者は「動ける人には自主的に遠方へ避難してもらうしかない。これが現実だ」と話す。

 義務教育の段階から5区の地形について教えるなど、江戸川区は水害の危険性を訴えてきたが、住民に危機意識が根付いているとは言い難い。平成29年度の区民世論調査によると、大規模水害発生時に「広域避難する」と答えたのは約56%。区外のどこへ避難するかとの問いには、約45%の人が「避難先として行政から指定された施設」と答えた。だが、現状で遠方に避難先を確保できていない区は「各自で避難先の確保を」と呼びかけており、住民と行政の意識共有はうまくいっていない。

■礎が機能せず

 人口が34万人を超える新宿区では、その8割がマンション住まいであることから、首都直下地震を想定した防災対策が急務となっている。しかし、自主防災組織の礎(いしずえ)となるマンションの管理組合自体が機能していないのが実情のようだ。

 新宿区によると、昭和58年に区分所有法が改正されるまで管理組合に関する明確な規定がなかった。このため、法改正以前に建てられたマンションには管理組合が存在していない所もあり、同年以降に建てられたマンションも管理組合が形骸化している場合が多いという。ただ、都がマンション管理組合に管理状況を届けさせる制度を来年度から始めることもあり、区は「来年度以降に期待したい」としている。

 新宿区の人口の約12%を占める外国人への防災対策も重要となる。区は転居してきた外国人向けに英語・中国語・韓国語・ネパール語・ベトナム語・ミャンマー語に対応した冊子を配布。地震発生時の対処法などが記載されている。しかし、実際どの程度の外国人に防災知識が行き届いているかは分かっておらず、区は「言葉の習得具合が人によって違うため一律の対応ができない」と心許(こころもと)ない。

■既存施設では…

 JR東日本の駅別乗車人数で1位の新宿駅では、平成23年の東日本大震災時の鉄道の運行停止により、約9万人が帰宅困難者となったとされる。新宿区は帰宅困難者の収容場所について、民間施設と協定を結んでいるが、現在まで約1万人分しか確保できていない。「既存の施設ではセキュリティーのために入れないスペースがあったり、ロビーもそれほど人数が確保できなかったりするため、新規の建物と契約することになってしまう」と区。

 大震災から8年が経過した今でも、先送りされたままの課題が残されている。

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