Source:https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180710/mcb1807100500004-n1.htm
2018.7.10、GOOGLEニュースより
中国から隣国インドに逃れるチベット難民が急減している。2008年の中国チベット暴動から10年が経過し、国境警備が徐々に強化されてきた上、中継地だったネパールが中国の求めに応じて亡命ルートを狭めたからだ。欧米に再亡命を図る難民も多く、亡命政府がある最大居住地インド北部ダラムサラでは、かつての難民社会の活気が失われつつある。
◆一帯一路で支配
「10年前は年に数千人の難民がインドに亡命したが、最近は年に数十人から100人と大きく減った」
ダライ・ラマ14世が暮らすダラムサラの亡命政府関係者が明かした。
09年の調査では、約15万人とみられる世界のチベット難民のうち約10万人がインドに居住しているとされる。19年の次回調査まで正確な人口は不明だが、「ダラムサラでは難民の学校や僧院などで空き部屋が目立つ」(僧侶、ロブサン・イエシさん)。亡命社会の縮小を懸念する人が多い。
亡命政府のロブサン・センゲ首相らによると、難民の主要なインド亡命ルートはネパールを中継する陸路だった。だが、08年のチベット暴動を受け、中国が国境管理を厳格化した上、ネパールも現代版シルクロード構想「一帯一路」を掲げる中国との結びつきから、摘発を強化した。
非政府組織(NGO)チベット民主人権センターのツェリン・ツォモ理事は「ネパールに到着しても、難民の個人情報が中国政府に渡されるため危険だ。中国に送還された難民もいる」と指摘する。亡命政府議会のドルマ・ツェリン議員は「中国は一帯一路の名の下に(地域を)支配している」と警鐘を鳴らした。
◆欧米に再亡命も
ダラムサラや首都ニューデリーの一角では、寺院や仏具店が立ち並び「リトル・チベット」と称される地域がある。しかしインドの1人当たり国民総所得は中国の約5分の1の年1680ドル(16年、約18万円)。豊かな欧米に再亡命を図る若者は増加するばかりだ。
ニューデリーで暮らす難民のドルマ・パルゾムさんは「インドには良い仕事がないので、欧米に亡命したい」と話した。ダラムサラで日本料理店を営む山崎直子さんの店でも、難民従業員の多くがオーストラリアなどに移住した。
山崎さんは「豊かになった中国で就職したいと考え、中国当局の許可を得て自治区に戻ろうとする若い難民もいる」と指摘。「ダラムサラの難民は高齢者ばかりになった。チベット伝統の祭りも減り、チベット難民の一大拠点としての一体感も次第に薄れてきている」と話した。(ダラムサラ 共同)
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