2016年11月22日火曜日

「爆留学」時代、就活で勝ち抜くための方策

Source: http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161121-00145012-toyo-bus_all&p=1

 日本で就職する外国人留学生が増加しています。さる10月28日、法務省が発表した調査「平成27年における留学生の日本企業等への就職状況について」によると、日本で就職するために在留資格変更許可申請を行った留学生は、昨年比20.6%増の1万7088人、許可数も20.8%増の1万5657人となりました。

 就職先の職務内容は、「販売・営業」が3809人、「通訳・翻訳」が3747人、「技術開発(情報処理分野)」が1218人、「経営・管理業務」が1180人となっています。

 国籍・地域別許可数の上位は、中国が9847人で1位、以下、韓国1288人、ベトナム1153人、台湾649人、ネパール503人の順で、アジア諸国が全体の94.9%を占めました。最終学歴は大学卒が7383人、大学院卒が4931人で、両者合わせて全体の78.6%を占めています。

■「爆買い」ならぬ「爆留学」

 日本企業でもグローバル人材が求められる中、政府も「留学生30万人計画」の実現を目指し、日本再興戦略として外国人材の活用を掲げ、外国人留学生の日本国内での就職率を向上させようとしています。グローバル企業での活躍はもちろん、訪日外国人観光客(インバウンド)が初めて2000万人を突破する中で、日本国内でのインバウンド対応の就職需要も増えています。

 留学生総数も着実に伸びています。今年3月に独立行政法人日本学生支援機構が発表した「平成27年度外国人留学生在籍状況調査」では、昨年5月1日時点での留学生総数は、前年比13.2%増の20万8379人。大学生が2.4%増の6万7472人、大学院生が3.5%増の4万1396人、専修学校が32.3%増の3万8654人、日本語教育機関が25.2%増の5万6317人でした。
就活失敗でも在留期間を更新
 国籍・地域別では、中国が9万4111人で1位、以下、ベトナム3万8882人、ネパール1万6250人、韓国1万5279人、台湾7314人と続き、アジア地域からの留学生が全体の92.7%を占めています。インバウンド消費では中国人観光客の「爆買い」が流行語になりましたが、日本の有名大学を目指す中国人留学生が増えているとして、「爆留学」なる造語も生まれているほどです。

 今後、日本人学生にとっても、留学生は就活の強力なライバルとなりえます。企業説明会やグループ面接などで同席する可能性もあるでしょう。ただ、それは新しい発見のチャンスでもあります。ぜひ、仲間としてお互いに、Win-Winの関係を築きたいものです。

■就労ビザへとどう変更するか

 留学生が日本で就職する場合、直面するのがビザの問題です。入国管理局は、3月卒業で4月就職という通常のケースであれば、例年12月より、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザへ、在留資格変更許可申請の受け付けを開始します。

 申請をするためには、まず大前提として、就職先が決まらなければなりません。就職先が決まっても、職務内容が単純労働とみなされれば許可を得ることはできませんし、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります。

 また専攻科目と業務内容の関連性も求められます。実務では、大卒の場合は関連性について比較的緩やかに判断される傾向がありますが、専門学校卒(専門士)の場合は厳しく判断されるので注意が必要です。海外の大学等を卒業した場合は申請時に卒業証明書が必要になりますが、日本の大学等を卒業する場合は卒業見込み証明書で申請を受け付けてもらえます。

 ただし、審査完了の通知が届いても、正式な卒業証明書原本を提示できるまでは許可を受けることはできません。4月1日の入社日から就労を開始するためには、卒業後すぐに許可を受け、新しい在留カードを取得する必要があります。

 また、たとえ留学生本人が入国管理局に行かず、行政書士等が申請を取り次ぐ場合でも、留学生本人が申請日と許可日には日本に滞在している必要があります。卒業休みを利用して帰国や旅行を計画している場合、スケジュールを考えて余裕を持った申請をお勧めします。

 もし、卒業までに内定を得られなかった場合は、どうすればよいでしょうか?  日本人学生であれば卒業を見送り、留年して次年度の新卒として就活する場合が多いのではないでしょうか?  ところが留学生の場合、ビザの問題で留年は難しく、就活目的での更新は認められません。「留学」のビザは大学等で勉強するために付与されています。修学状況が不良とみなされたり、アルバイトのやり過ぎではないかと疑われたりすれば、在留期間の更新が不許可になるリスクが高くなります。
困ったときに行く場所とは?
 ただし、卒業すれば大学等から推薦をもらって、原則1年間は就職活動をするため在留資格を「特定活動」に変更して、日本に引き続き滞在することも可能になります。その場合、学生時代と同じように資格外活動許可を取得し、週28時間以内のアルバイトをすることもできます。

 卒業後1年間の特定活動の期間に内定を得られれば、内定した企業が内定者と一定期間ごとに連絡をとり、内定を取り消した場合は、遅滞なく入国管理局に連絡するなどの誓約書を提出すると、採用までの期間(内定後1年以内かつ卒業後1年6カ月以内に限る)は滞在が可能になります。

 また、内定を早々と取得したがすでに9月に卒業し、来春の入社まで期間が開いてしまう場合も、在留資格を特定活動に変更して日本に引き続き滞在することができます。この場合も資格外活動許可を取得することによって、週28時間以内のアルバイトをすることが可能なのです。

 なお「留学」の在留資格の場合、たとえ在留期間が残っていても、卒業後は資格外活動許可を使ってアルバイトをすることはできません。正当な理由がなく、3カ月以上継続して本来の留学活動をしないで日本に滞在すると、たとえオーバーステイになっていなくても、在留資格取消事由に該当することになるため注意が必要です。

■留学生もハローワークを利用できる

 東京外国人雇用サービスセンターは、外国人留学生や専門的・技術的分野の在留資格を所持し仕事を探している、外国人を支援する公的機関です。留学生の利用が全体の8割以上を占め、場所は西新宿の小田急第一生命ビル21階で、東京新卒応援ハローワークと同じフロアにあります。

 留学生が東京外国人雇用サービスセンターを利用するためには、まず窓口で「求職申込書」を記載して登録する必要があります。地方在住の場合は最寄りのハローワークから登録できます。特色としては留学生が応募できそうな採用情報を厳選してファイリングしている点でしょう。パソコンで職種検索や「グローバル」「日本語検定」などのキーワードで検索することもできます。

 留学生を対象とした応募書類作成、模擬面接、企業研究、筆記試験対策など、各種セミナーやミニ面接会なども随時開催しています。まだ来春の内定が取得できていない留学生は、ぜひ一度活用してみてはいかがでしょうか? 
翠 洋

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