2016年11月2日水曜日

<難民>審査に国連基準引用…名古屋高裁、相次ぐ逆転認定

Source: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161029-00000006-mai-soci

毎日新聞 10/29(土) 、ヤフーニュースより

 ネパール人男性の難民申請を認めなかった国の処分を取り消し、難民と認定する逆転判決が名古屋高裁で2件続いた。いずれも国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が示した認定基準を引用して、申請者が難民であることを証明する責任を軽くした。全国難民弁護団連絡会議(全難連)によると、UNHCRの基準を引用して難民と認めた司法判断は初めて。厳しすぎると言われる日本の難民審査にも影響を与えそうだ。

 2件の判決は名古屋高裁の藤山雅行裁判長が今年7月と9月、ネパール人申請者1人ずつに言い渡し、ともに確定した。法務省によると、今年に入り国の処分を取り消して難民認定した判決は、ウガンダ人女性に対する7月の名古屋高裁判決も含め全国で3件のみ。

 難民認定されるには出身国で政治的な迫害を受ける恐れなどがあることを申請者が証明する必要がある。

 ネパール人に対する2件の1審・名古屋地裁判決は難民だと立証する責任について、一般の民事訴訟と同程度の厳しさを申請者側に課し、2人の行動や証拠の文書は「不自然」として国の不認定処分を追認した。

 これに対し高裁は「国外へ離れた申請者の側が(その後の国内状況を)把握し立証することは非常に困難」と指摘した。ネパールの政治情勢や治安状況も踏まえ、「(ネパールの政治勢力から)銃を突きつけられ脅された」「殺すと脅された」などとする2人の主張を「主要な部分で一貫し信用できる」と判断した。

 2件の高裁判決はともにUNHCRの「難民認定基準ハンドブック」を引用した。申請者2人は慣れない環境や言葉の問題によって日本で非常に不利な状況に置かれ、その立場を考慮し証明責任を過度に厳しくしないとする基準は「難民条約の締約国として(日本の)法相にも及ぶ」と指摘した。国側にも迫害の恐れに関し、具体的な政治情勢や治安状況の「積極的な主張立証」を求めた。【吉富裕倫】

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 ◇難民認定基準ハンドブック

 難民条約は具体的な難民認定手続きを定めていないことから、締約国政府の指針とするため1979年、条約の監督者としてUNHCRが作成した。締約国への拘束力はないが、UNHCRは各国の政府や裁判所の判断基準となる主要な文書と位置づけている。審査官が厳格な立証を求めることを戒め、「疑わしきは申請者の利益に」の原則などを盛り込んでいる。

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