Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/0908eb715dde7ef105ed29fe2572dde250ed6d81
9月26日は、予期しない妊娠を防ぎライフプランに合わせた避妊法を選択できるよう意識向上を目指す世界避妊デー。9月28日は、安全な中絶(セーフ・アボーション)を選ぶ権利の保障を求める国際セーフアボーションデーだ。SRHR(性と生殖に関する健康と権利)に関連する記念日にあわせ、「SRHR for ALL(すべての人にSRHRを)」をテーマにしたスタンディングアクションが9月27日、東京駅前で開催された。 【写真】週刊金曜日写真ギャラリー 3回目となるスタンディングだが、今年の主催は「SRHR for ALL アクション!」、公益財団法人ジョイセフ、#なんでないのプロジェクト。「アクション!」は今年8月にSRHRに関わる10団体が新たに立ち上げた。SRHRは、性や人生についての自己決定を保障する基本的人権の一つだ。しかし現在、女性が産むことを前提とするような政治家の発言がなされたり、SNSなどでSRHRへのバッシングがされたりしている。この状況を打開しようと各団体が連帯。ジョイセフのシニア・アドボカシー・オフィサー草野洋美さんは「ここに集まることで、独りじゃないと感じ、それぞれの活動によって社会を変えていけることを再確認したい」と趣旨を述べた。 SRHRの課題は、年齢や障害、国籍、雇用状況などによる差別と交差して、弱い立場の人に降りかかること。DPI女性障害者ネットワークの藤原久美子さんは中途障害者として、「障害を持つ前は早く子どもを産めと言われ、障害を持った後に妊娠したら今度は中絶を勧められた」という自身の体験から、「女性は自己決定権を奪われており、さらに障害の有無により分断されている」と語った。 「滞日ネパール人のための情報提供ネットワーク」の田中雅子さんは、技能実習生として来日した人から「日本で生きるうえで覚えておくべき言葉は『がまん』だ」と聞きショックを受けたという。自国に比べて避妊や中絶の方法に制限が大きく、費用も非常に高くて使えない実態がある。日本で女性たちが長年、強いられてきた「がまん」が、そのまま外国人女性に押し付けられているのだ。
バッシング側の心理
そして外国人女性の相談を受ける日本人の側に、SRHRの正確な情報が不足していて問題解決の役に立てていないという現状もある。田中さんは仲間と発行した『外国人のための日本語で学ぶライフプラン―健康で安心して暮らすために―』(スリーエーネットワーク)を紹介し、「相談を受けたとき正しいアドバイスができるように活用して」と訴えた。 トランスジェンダー・ジャパンの村田しゅんいちさんは、SRHR運動へのバッシングは「がまん」の連鎖だと指摘する。バッシングする側も何かしらの「がまん」をしており、人権擁護を求める運動が自分から何かを奪っていくのではという恐れがあるという。村田さんはそうした心理を持つ人々に向けて「SRHRはあなたのためのものでもある」というメッセージを広げ、お互いに「がまん」を強いる現状を変え、誰もが「私のからだは私のもの」「私の人生は私のもの」と言える社会をつくり上げていこうと呼びかけた。 ジョイセフ理事長の勝部まゆみさんは、ガザやウクライナなど、世界の紛争地域で起きている女性に対する苛烈な性暴力や、アフリカ地域で医療支援の財源が枯渇して必要なケアが受けられない状況などの深刻な人権侵害に言及。「この状況に目をつむることはできない。日本の市民社会の一員として、国内外でSRHRを守るために声を上げ、連携して活動していきたい」と力を込めて語った。
古川晶子・ライター

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