Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/3a1cbbd5c33443f3c875a7310d1f9a506b95f84d
〈13歳の娘が死体で発見されただけじゃない⋯「犯人候補の最有力」まで殺された『インド最大の未解決事件』の深い闇(海外の事件・平成20年)〉 から続く 【ー衝撃画像ー】「謎の死を遂げた13歳の少女と使用人」「逮捕された両親」の写真を見る【未解決事件】 2008年、インドで13歳の少女の遺体が発見された。さらに当初「犯人」と疑われた使用人の男までが殺害された⋯⋯。インド最大の未解決事件とも言われる本事件はその後、どんな顛末を迎えたのか? 今なお真相が闇に包まれた古今東西81のコールドケースを扱った文庫『 読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー 』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 最初から読む ) ◆◆◆
両親の「不正行為」が発覚したが⋯
警察は現場に外部からの侵入の跡がないことを確認したうえで、嫌疑をアルシの両親に向ける。捜査当局の見立てによれば、5月15日の夜、父ラジェッシュがアルシの部屋のドアを開け、娘とヘムラッジが体を寄せ合っているのを目撃。その姿に怒り狂い、2人を殺害したのだという。 そもそも両親の隣の部屋で寝ている娘が殺害されたのに、翌朝まで気づかないのはあまりに不自然というのも彼らの主張だった。アルシの遺体発見後、両親が真っ先にヘムラッジを犯人扱いしたのも警察の捜査を混乱させるためで、父ラジェッシュはヘムラッジを捕まえるためなら必要な経費は用意すると、警察に金銭の支払いまで提示していたそうだ。 両親はアルシの遺体をその日のうちに火葬していたのだが、それも不都合な証拠を隠滅する目的だった可能性があるという。さらに、後の捜査でラジェッシュに愛人女性がいることが発覚。この事実をヘムラッジに知られたことで、口封じのため娘もろとも殺害し、妻ヌーパーに手伝わせヘムラッジの遺体だけを屋上に運んだ可能性にも言及した。 事件から1週間後の5月23日、警察はラジェッシュを殺人、ヌーパーを殺人幇助の容疑で逮捕した。メディアは、裕福な歯科医夫婦が娘と使用人の男を殺害したとしてスキャンダラスに事件を報道。 夫婦は別の夫婦とのスワッピングを趣味にしていた、アルシには複数の男性と交際していたばかりかヘムラッジとも性的関係にあったなど、根も葉もない噂を流しまくる。やがてインド国内で同事件の反響が異常なほど大きくなったことでインド中央捜査局(CBI)が捜査を担当、事態は新たな局面を迎えることとなる。
「証拠の90%を喪失」杜撰な地元警察
CBIが最初に追及したのは地元警察の杜撰な捜査である。警察が事件後に開いた記者会見で何度も被害者アルシの名前を間違えたことが、彼らの捜査に対する無責任な姿勢を表していると非難。 そのうえで、事件発覚当初、現場の立ち入りを制限しなかったことにより証拠の90%を喪失したこと。両親の部屋は確かに娘の隣だったが、壊れたエアコンが騒音を発しドアの閉まった状態ではほとんど何も聞こえないこと。ラジェッシュが事件前夜と当夜に同じ洋服を着ており、そこに血痕が付いていなかったこと。アルシの部屋から見つかった25個の指紋は杜撰な方法で採取されており裁判で使えるのは2つだけだが、それも夫婦の指紋ではなかったこと。 夫婦に嘘発見器によるポリグラフテストを実施したところ結果がシロだったことなど明らかにし、彼らが犯人であるとする警察の見立てを否定した。 CBIは、事件の夜、被害者ヘムラッジの部屋に彼の友人であるネパール出身のクリシュマ、ビジャイ、ラジュクマールの3人が訪れていたことを突き止め、彼らが犯行に関与したのではないかと疑った。そこで、3人を嘘発見器にかけた後、麻酔薬を使って無意識下の状態で証言を引き出す「ナルコアナリシステスト」を実施。結果、3人は驚くべきことを話し出す。
3人が犯人かと思いきや⋯
事件当日の深夜12時ごろ、ヘムラッジの部屋で酒を飲み酩酊、勢いのままアルシの部屋に侵入し乱暴を働こうとしたものの、ヘムラッジに止められ、さらにアルシが騒ぎ出したため、ネパールの伝統ナイフであるククリで刺殺。 それを見て両親に知らせようとしたヘムラッジを屋上に連れて行き刺し殺したのだという。彼らのうち実際に誰が2人を殺害したのかは証言が異なったものの、話はおおよそ一致していた。 しかし、家のどこを調べても3人のDNAや指紋は見つからず、凶器と推定したククリをクリシュマの家から押収したものの被害者の血液やDNAは検出されない。果たして、3人は証拠不十分で不起訴処分となった。 事件から約1年半後の2009年9月、CBIは新たな捜査チームを発足。あろうことか、再びアルシの両親が捜査のターゲットとなる。新たな証拠は見つけられなかったものの、事件当夜に外部の人間がアルシの部屋に侵入した形跡がないことからタルワル夫婦だけが犯行が可能な立場にあったとし、凶器は夫婦の寝室に置いてあったゴルフクラブと断定した。そこから被害者のDNAが検出されなかったにもかかわらずだ。
事件はその後⋯
CBIは夫婦を殺人罪で起訴。2013年11月26日、裁判所は2人に有罪判決を下し、終身刑を宣告する。が、夫婦は無罪を主張し控訴。 2017年10月12日、高等裁判所は彼らを有罪とする証拠はないとして、逆転無罪を言い渡す。こうして夫婦は釈放されたものの、メディアや世間は2人に疑いの目を向け続け、現在も彼らを怪しむ声は少なくないという。 いったい、アルシとヘムラッジは誰に殺されたのか。インド最大の未解決事件とも言われる本件の真相は闇に包まれている。
鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載)

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