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〈中国が高市発言で「敵性文化」日本カルチャーを徹底パージ…あと10年続いた場合の“ヤバい未来”〉 から続く 【画像】高市発言→日中関係の悪化で「中国人がいなくなると実は困る」業界は… 高市首相による台湾有事発言から約1カ月半。中国による「日本締め付け政策」は常態化しており、今後5〜10年単位で継続する可能性が高い。 かつての韓国への報復「限韓令」を彷彿とさせるこの文化・経済封鎖は、どの業界を、どれほどの深さで侵食していくのだろうか?(全2回中の2回目/ 最初から読む ) ◆◆◆
“インバウンド減少”の効果は限定的
中国がそれほど損をしない分野で強まる「限日令」。ゆえに今後も締め付けられると思えるのが、中国人観光客の日本渡航だ。事実、高市発言が飛び出した今年11月、中国人観光客は大きく減少した。 もともと国慶節休暇のある10月から11月にかけては、中国人インバウンドが前月比で減少する傾向があるとはいえ、昨年の減少率が約6%だったのに対し、今年は21.4%減だ。現在、中国側では団体観光客規制や直行便の減少に加えて、外交部などが日本の「治安悪化」や震災リスクをデマ混じりで宣伝し続けており、その結果が如実に反映された形だ。「限日令」が厳しくなったのは11月中旬以降なので、今年12月から先の中国人インバウンドはいっそう減少する。 実際に浅草などで取材すると、香港や台湾、シンガポールなど他の華人圏の旅行者は多い一方、中国本土からの旅行者は明らかに減っている。来ている中国人客に話を聞いてみても、高市発言以前に航空券を購入したのでもったいないから来日した、みたいな人がすくなくない。中国国内で炎上することを恐れて、日本に来たことをSNSに投稿できないという声も多い。現代社会においてSNSに投稿できないことは、旅行のモチベーションを大幅に下げる。他の行き先の選択肢もあるなかで日本を選ぶ意味は薄れている。 もっとも、11月の日本全体のインバウンド総数は月別で過去最高を記録した。中国人が来なくても、インバウンド全体としては困っていないのが現状である。中国人減少のダメージも、富士山や関西地方など「中国人が好む」観光地や、空港免税店や百貨店の高級品部門など、中国傾斜が強い地域や業界がピンポイントでかぶっている印象だ(ほか、中国人経営の白タク業者や違法民泊業者は深刻なダメージを受けているようだが)。 この状況は今後も当面継続するはずなので、コロナ禍に続いて日本のインバウンド市場のビジネスモデルの転換が生じる可能性が高い。つまり、香港・台湾・東南アジア向けのシフトが強まるということだ。仮に将来的に日中間の関係が改善したとしても、政治的要因でそれが突然ゼロになるリスクは常に存在するため、中国向けインバウンドに再び大きく舵を切ることは難しくなるかもしれない。
中国人富裕層の“日本移住ブーム”はどうなる?
いっぽう、近年の中国の富裕層・知識層の間でブームの日本移住(潤日)はどうか。潤日を選ぶ中国人は、程度の差はあれ自国内の政治的抑圧や愛国主義的な雰囲気から距離を置きたいと考えている層だ。近年の日本側では帰化要件や永住権取得の厳格化、外国人による土地取得を制限する動きなど、制度的ハードルは上がりつつあるのだが、他に中国と地理的に近くて文化的差異も小さな先進国がほとんどない以上、移住先としての「日本」は今後も選ばれ得ると思われる。 ただ、潤日する人たちは自国にうんざりはしていても、必ずしも反体制(反中国共産党)的な人たちとは限らない。中国と行き来しながらビジネスをしたり財産を管理したりしている人たちも多く、このタイプにとっては日本は以前より使いづらい国になる可能性がある。日本の生活をSNSにアップする行為も、中国にまだ拠点がある人は自粛が必要だ。結果的に移住圧はやや低下するはずだろう。都内の大手中学受験塾の生徒が中国人児童だらけに……みたいな現象も、今後は進行がゆるやかになる可能性がある。 また、今後は中国人留学生も減少する可能性が高い。「限日令」の影響で日本留学の自粛傾向が生まれている上、中国国内で流れている日本の治安悪化デマなどのプロパガンダの影響から、なにより学費を出す親世代が子どもの日本留学に反対するためだ。 日本の大学は中国人留学生に依存する学校も多く、一部の私大などは経営面で大きな影響を受けると思われる。今後、仮に5〜10年にわたって来日が低調なら、各校の留学生獲得方針はベトナム人やネパール人などをターゲットにする形に転換が進むはずだ。ただ、この場合、漢字圏ではない留学生の増加で教員側の負担が増す懸念はある。
中長期的な日中関係のパイプが消滅
往年に親中派と呼ばれた政治家や財界人のような立場は、近頃はずっと評判が悪い。筆者もそういう立場にあまり好感は持っていないのだが、まったく存在しないのも別の問題が生じる。……つまり、村をおびやかす山賊と言葉の通じない村人が話をする際に「なかば山賊の回し者でも山賊幹部と直談判ができる村人」が必要なケースがある、と書けば伝わるだろうか? 近年、日中間で公的な外交ルート以外の水面下のパイプがすくなすぎることは、専門家の間でもしばしば指摘されている。現在、自民党や立憲民主党など主要な政党のなかで、中国側と太いパイプを持つ現役の政治家は多くない。もともと、日中間のエリートの非公式的なパイプは2000年代以降すでに細って久しいが、今回の件で決定的な打撃を受ける可能性が高い。 今後、日中交流系のイベントなどが中国側から長期にわたり断ち切られることで、日本の政財界における対中パイプはいっそう細ると思われる。中国側の人員としても、現在の政治状況のもとでは日本とパイプを持つこと自体が政治的忠誠を疑われかねず、積極的に関与する動機が薄い。 結果、たとえば2010年の尖閣沖中国漁船衝突問題のような突発的な緊急事態が日中間で発生した場合に、両国は公的チャンネルで殴り合う以外で、双方の意思疎通や利害調整の場を持てなくなる。日中双方ともに、相手に対する姿勢が特定の政治家のイキリや官僚の忖度、世論の近視眼的な強硬論などに引きずられるおそれも高まる。今後数十年くらいの長期的スパンで見ても、日中関係の先行きは決して明るいものにはならないと思われる。
「ネトウヨ大喜び」の先に起きること
以上、「限日令」の影響予測を見てきた。正直、Yahoo!ニュースのコメント欄あたりでクダを巻いている人たちが喜びそうな話も多いのだが、さておき予測は予測である。 ちなみに、日本で中国人の姿が以前よりも目立たなくなると、岩盤保守系日本人を“養分”にする排外主義レイジべイト(炎上商売)の世界でも、中国人叩きが一定程度はおとなしくなる可能性が高い。「中国人観光客が奈良公園で鹿を虐待している」みたいなデマの説得力がなくなるためだ。 結果として、日本のレイジべイト業界もビジネスモデルを転換する可能性がある。従来の反中系デマに代わり、反イスラム系のデマが増えるといった変化は予想できる。もともと仲が悪い中国とは違って、パキスタンやインドネシアなどの諸国は従来の対日感情が悪くないため、レイジべイトの方向転換が思わぬ国際摩擦や地域社会の混乱を生む例も増えるかもしれない。
安田 峰俊

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