Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/eba62a40ca1ffafad0629677ac3a9eaf4b87015f
【AFP=時事】「私たちは夜勤の幽霊みたいなものだ」と英ロンドン南部の市場で7年間夜勤をしてきたアンゴラ出身のレアンドロ・クリストバンさん(36、男)は語る。 【写真10枚】英国の24時間社会を陰から支える外国人労働者
英国の夜勤労働者は900万人に上るが、英国生まれの労働者が減少する中、過去10年間にわたってクリストバンさんのような外国人(移民)労働者への依存を強めている。
夜勤の不可視性について研究する「ナイトワーク・フットプリント」プロジェクトを率いるアイルランド国立大学コーク校のジュリアスセザール・マカリー教授(社会学)は、「外国人労働者は、やや不当な名称だが、低技能部門で多くの夜勤を担っている」と指摘。
「彼らの仕事は本当に必要不可欠だ。この24時間社会を維持しているからだ」と付け加えた。
英国では移民と不法移民の数をめぐって激しい議論が巻き起こっているが、2022年の公式データによると、英国以外で生まれた人が夜勤に従事する可能性は、英国で生まれた人の2倍に上る。
医療・介護業界では、夜勤労働者の3分の1以上を外国人が占める。
政府が外国人労働者への取り締まりを強化する中、外国人たちはAFPに対し、社会を陰から支える業界で働くことについて語った。
■オフィス清掃員
肌寒いロンドン中心部で朝日が昇る中、ロクサーナ・パノソ・アルバさん(46、女性)は銀行のオフィス清掃の夜勤を終え、銀行員が出社する中で帰宅していた。
アルバさんのそのチーム(ほとんどが移民)は午後10時から午前7時まで、トイレ、キッチン、会議室、そして500以上の机を清掃している。
アルバさんの時給は、ロンドン生活賃金(最低限の生活水準を維持するために必要な生活費に基づく賃金額)の13.85ポンド(約2900円)だという。
南米ボリビア出身で結婚によりスペイン国籍を取得したアルバさんは、「スペインには仕事が残っていなかった」という理由で夫と共に英国に移住した。
アルバさんは6歳と15歳の子どもたちと昼間に一緒に過ごすため、また英語が話せず機会が限られているため、8年間にわたって夜勤をしてきた。
「夜勤は良くない。健康を害する」「(昼間は)寝なければならないのに、寝られない。少しでも音がすると眠れない」とアルバさんは語る。
■介護職
2023年にナイジェリアから介護職ビザで移住してきたオマトゥレ・アメーさん(39、男性)は、イングランド南東部の田舎で、学習障害のある子どもたちの夜勤支援員として働いている。
妻も同じ介護施設で日勤として働いているので、日中はアメーさんが8歳と1歳6か月の実子の面倒を見なければならず、3時間しか眠れない日もあるという。
「感情的にも精神的にも、じわじわ消耗してきているのが分かる」とアメーさんは語る。アメーさんの時給は最低賃金の12.20ポンド(約2540円)だという。
ジンバブエ出身のジュディス・ムニョンガさん(44、女性)は、ロンドンの北に位置するハートフォードシャーで週4日、午後7時から午前7時まで夜勤で働き、脊髄損傷患者のケアをしている。
元教師のムニョンガさんは、患者が眠っている間も見守るが、しばしば暗闇の中で患者のそばに座るという。
「ヘッドホンで音楽を聴いて眠気を覚まそうとしている。暗い時に眠らないようにするのは簡単ではない」とムニョンガさんは語る。
アメーさんとムニョンガさんは、英政府の社会福祉ビザを廃止する動きと、反移民感情の高まりを「懸念」している。
政府は先月、「低技能」介護職については永住権(無期限滞在許可、Indefinite Leave to Remain)申請に必要な在留期間を5年から15年と3倍に延ばすと発表した。
「まるで試合の途中でルールが変わるようなものだ」とアメーさんは嘆く。
労働党政権は、介護職員に家族呼び寄せを認める規定も廃止した。
この制度を利用して夫と子どもたちを呼び寄せたムニョンガさんは「悲しい」「他の家族に普通の生活を送らせるためにここで介護をしているのに、自分の家族は遠くにいる」と述べた。
アメーさんは経営学のコースを受講し、「キャリアアップ」を目指している。
■シェフ
ネパール人のサンディープさん(21、男性)は、ロンドンにある24時間営業のカフェで12時間勤務を終えて午前7時に退勤する前に、カウンターについた油を拭き取っている。
サンディープさんは学校卒業後にIT業界の仕事を探したが見つからず、学生時代にアルバイトをしていたカフェで働いている。
コンピューターサイエンスの学位を持つサンディープさんは、「今は仕事を見つけるのが本当に難しい」と述べ、夜勤しか「選択肢がなかった」と付け加えた。
サンディープさんは2023年にネパールから英国に移住した。「ネパールには私たちのような若者が働く場所がない」からだという。
だが、政府が外国人就労ビザの最低賃金要件を引き上げているため、もっと高給の仕事が見つからない限り、ビザの期限が切れる1年後にはネパールに帰国しなければならない。
サンディープさんは、「彼らは私に希望を与えてくれたのに…いまさら自分の国に帰れと言うことに何の意味があるのか?」と述べた。
サンティ―プさんは夜通し伝統的な英国料理を提供するネパール人チームを指して「ここにいるのは全員移民だ」「私たちが夜勤で働けなくなったら、ボスは店を閉めなければならなくなると思う」と述べた。
■倉庫マネジャー
クリストバンさんは、英国のレストラン、学校、ホテルに早朝に届けられる農産物を梱包している。
働き始めたばかりの頃は、日中に寝ていても「悪夢」を見て、遅刻すると思って突然目を覚ますこともあったという。
「まるで幽霊のようだった」とクリストバンさんは広大な市場で語った。
クリストバンさんの上司であるマーティン・ダイクスさんは、地元の夜勤労働者を見つけるのが難しくなっているため、新たなビザ制限を「心配している」と述べた。
「この業界は、外国人労働者に代わる人材を見つけることができないだろう、レストランも生き残れないだろう」とダイクスさんは語る。
クリストバンさんは背後の明かりが消えた高層住宅群を指しながら、「でも、私たちはここにいる」「彼らが寝ている間も、私たちはここで働いている」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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