2017年7月5日水曜日

中国、インド、「一帯一路」機に対立激化

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170703-00000064-san-cn

7/3(月)、ヤフーニュースより


 中国とインドが国境付近での相手部隊の越境行為を互いに主張し対立を深めている。両国の溝が表面化したのは、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」への参加をインドが拒否する姿勢を明確にした5月。これまでも中印は国境紛争などの問題を抱えながら微妙な距離感を保ってきたが、中国が軍事プレゼンスと権益を世界的に拡大させようとする中、地域大国インドは厳しい対中姿勢へとかじを切りつつある。

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 ■中国 党大会目前、外交混迷

 【北京=西見由章】「この写真を見れば、インドの兵士と車両が境界を越えていることがはっきり分かる」。中国外務省の陸慷報道官は29日の記者会見で、インドの国境部隊が6月18日にシッキム地域の中印境界を越えて中国領土に侵入した“証拠”とする写真をかざしながら、中国側の主張の正当性を強調した。

 両国の部隊が対峙(たいじ)しているのは中国とインド、ブータンが争う紛争地「ドクラム(中国名・洞朗)」。中国側は「歴史や法理、現地の状況からみても、洞朗地区が中国領土に属しているのは疑いない事実だ」(陸氏)と訴え、一切譲歩しない姿勢をみせている。

 中国の官製メディアも盛んに愛国心をあおっている。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は同30日付の社説で「インドは世界で最も非識字者が多い国だ」とした上で、「インド軍には無学で独りよがりな者が多い。軍事地形学をまったく理解せず、中国領土に入り込みながらインドの領土と言い張っている」と罵倒。「インド軍が解放軍に勝てるのか。インドの歴史教育は不足しているようだ!」とも挑発した。

 中国がインドに対して強硬姿勢をみせている直接のきっかけは、「一帯一路」構想への参加をインドが明確に拒否したことだ。同構想によって陸と海の両方から戦略的圧力を受けることになるインドは、5月中旬に北京で開かれた関連の国際フォーラムへのモディ首相や閣僚らの参加を見送った。中国への警戒心から米国に接近を続けるインドに対して、習近平指導部の不満は募る一方だ。

 一方で、共産党大会を目前にした習指導部は、外交問題で弱腰を見せられないと同時に大きな波風を立てることも許されないジレンマを抱える。米国は対北朝鮮政策をめぐって中国への圧力を強めており、ベトナムとの間でも南シナ海の領有権をめぐる対立が先鋭化。中国外交は再び混迷を深めている。

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 ■インド 重視一転、強硬姿勢に

 【ニューデリー=岩田智雄】中国はインドと多くの地域で国境問題を抱えているほか、インドの国連安全保障理事会常任理事国入りを積極的に支持しておらず、両国は対立の火種を抱えてきた。

 2014年に印首相に就任したモディ氏が、単独外遊先に選んだのは最初がブータン、2カ国目はネパールだった。中印両国にはさまれる内陸2カ国へのインドの影響力保持を重視した。その年の訪日で行った講演では、中国の「領土拡張主義」を暗に批判した。しかしその後、モディ氏は中印関係重視に転じた時期もあった。米印両国の共同声明で南シナ海への言及を避けるなど中国への配慮を示した。背景には、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派組織指導者の国連制裁リストへの掲載やインドの原子力供給国グループ(NSG)への参加で、中国の合意を取り付ける狙いがあった。

 しかし、いずれの問題でも、中国は妥協せず、インドは対中姿勢を再び硬化させた。今年4月には、インドが実効支配し中国も領有権を主張する印北東部アルナチャルプラデシュ州へのチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪問を、中国の反対を押し切って容認した。5月に中国で開かれた現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際協力サミットフォーラムをボイコットした。同構想の中に、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方のパキスタン支配地域を含むことなどが理由だ。両国関係は悪化の一途をたどっている。

 モディ氏はかねて中国からの投資を呼びかけてきたが、最近では、与党に近いヒンズー至上主義団体が、中国製品の不買運動を訴えているほどだ。

 現在の境界付近での対立について、元インド軍高官の政治評論家、ラメシュ・チョプラ氏は「インドは軍事的に抵抗を強めるべきだ」と主張している。

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