TBSラジオ『蓮見孝之まとめて!土曜日』毎週土曜日内で8時20分頃から放送している「人権TODAY」。

東京で2番目に外国人が多い自治体、江戸川区で、「メティ」という野菜を普及させようという取り組みがあります。メティはマメ科の植物で、地中海周辺から中東、南アジアから東アジアまで、広い地域で栽培されていて、インド北部やネパールでは「メティ」と呼ばれています。

「えどがわメティ普及会」会長の竹原京美さんによると、竹原さんたちメンバーが学んだ、区の市民大学のインド人講師の話を4年ほど前に聴いたのが、普及に取り組むきっかけだということです。その時のことを、竹原さんは「日本ではほとんど、野菜として手に入らない。スパイスとして種と、乾燥したものは手に入るんだけれど、是非生のものが食べたいんだ、と話すんです。私たちは、みんな海外に住んでた経験がありまして、食材が手に入らないっていうことで、結構苦労した経験があったので、日本で手に入りにくい野菜だったら作って、提供してあげたい、という感じ恵始まったんです」と話します。

インド・ネパールでよく食べられる野菜「メティ」で、 江戸川区...の画像はこちら >>

江戸川区は23区内の中では農業が盛んな区です。小松菜の発祥の地としても知られています。竹原さんたちはまず、一軒の農家に作ってもらい、初めて収穫した数十束を、区内の輸入食材店に置いたところ、その日のうちに売り切れました。

江戸川区内にはインド人が約5000人、ネパール人が約1000人住んでいます。手ごたえを感じた竹原さんたちは、「えどがわメティ普及会」を結成、農家探しに苦労していますが、現在、3軒の農家に生産を委託しています。

インド・ネパールでよく食べられる野菜「メティ」で、 江戸川区に住む多様な人たちをつなぎたい

農家の一軒、都営地下鉄の篠崎駅近くの「おおぬき農園」を訪ね、大貫信治さんに話を聴くと、「ちょっと前まで小松菜しかやってなかったんですけど、自分ところで直売所開くのに、品揃えが欲しかったというのがあったんです。多品目栽培開始したので、それの一環としてやってもいいかなっていうことです。インド野菜は引く手あまたみたいなので、いいんじゃないかなと思ってます。自分の作ったもので喜んでくれているんだったら、ありがたいです」と話します。「おおぬき農園」のビニールハウスでは、崎山記者が訪ねた時、小松菜に加え、水菜、ほうれんそう、そしてメティを育てていました。

インド・ネパールでよく食べられる野菜「メティ」で、 江戸川区に住む多様な人たちをつなぎたい

収穫されたメティは、「地産地消」ということで、区内のレストランや食材店に売られています。その一つ、JR小岩駅近くのレストラン「サンサール」のネパール人オーナー、マラカール・ウルミラさんは「メティが生で手にはいると聞いたときは、びっくりしました。すごく嬉しかったです。日本で見たことなかったので。美味しいし、身体にもいいので、お客さんに出せたらいいなと思って。すぐ買いました。ただ、今はそんなに収穫できないから、自分は食べるの我慢して、お客さんにしか出してないんです」「おひたしとか、炒め物にします。例えば、ほうれん草だけのおひたしじゃなくて、メティをちょっと混ぜたらもっと美味しくなります」と話していました。ウルミラさんの店「サンサール」では、ジャガイモと一緒に炒めて出しています。葉はみつばのような感じで、ほのかにカレーのような香りがして、ほろ苦く感じます。

インド・ネパールでよく食べられる野菜「メティ」で、 江戸川区に住む多様な人たちをつなぎたい

「えどがわメティ普及会」では、江戸川区の新たな特産品にすることを目指す一方、区内の短大の学生と協力して、日本人向けのレシピを開発したり、地元の社協と連携して、食文化のセミナーを開催するなど、メティを使った地域の交流にも取り組み始めています。竹原さんは「今まで農家さんと大学生って、あんまりつながりないですし、我々自身も、江戸川区に住んでても、農家さんに行ってお話をするっていう機会ってほとんどないわけです。それが、なんとなく緩いですけれどもつながりができるようになる。多世代、多文化共生ということですね」「国籍も違う。年齢も違う。性別も違う。だけどメティという媒体を使って、一つの場所でみんな顔を合わせて、何か話をしたりとか、交流したりとかっていうことをしたいんです」と話していました。