2018年9月12日水曜日

東京に次いで2位!なぜ愛知県には「外国籍住民」が多いのか

Source:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57086
2018.8.23 GOOGLEニュースより
愛知県は東京に次いで全国第2位242,978人(平成29年末)の外国籍住民が住んでいる。名古屋市では今年7月、外国籍住民の数が8万人を超えた(中日新聞、8月8日、名古屋市内版)。
名古屋市の外国籍別の上位5ヵ国は中国、韓国・朝鮮、フィリピン、ベトナム、ネパールだ。その中でも、ベトナム、ネパールは昨年末から約千人ずつと急増したという。他の国籍は、ほぼ横這いにもかかわらず、なぜ今、名古屋にベトナム、ネパール国籍の人たちがこんなにも急増したのだろうか。
日本に住む、ネパールとベトナムの二人の話しから、この二つの国籍が増えた理由について探る。そして、僕のフィリピン人妻ミカが通う日本語教室から見えてきた、日本国内の国際化と、これからも増えるであろう、外国籍の人達への受け入れ体制のあり方について考えていく。 

ネパール人留学生の「本当の来日目的」

「最近、専門学校から出てくるほとんどの人が外国人なんですよ。どうしてこんなに増えたんでしょうか?」
名古屋市中区で働く僕の知り合いが、ここ2、3年で増えた専門学校から出てくる外国人たちの姿を見て、不思議そうにこう言う。その専門学校の近くのコンビニに行くと、ネパール人の店員さんが流暢な日本語で接客してくれる。
在日15年以上のネパール人、デニスさん(仮名)に、名古屋にネパール人が増えた理由を聞くと、
「それは時給が高いから。今、ネパールから留学で来る人は、沖縄とか福岡が多いです。でもその辺は時給が低い。同じ仕事をして給料高いなら、こちらに来るでしょ。沖縄や福岡の日本語学校を卒業してから、名古屋の専門学校に入学する人が多いです」と答える。
愛知県の最低賃金は871円、全国で第4位になる。沖縄や福岡に比べると100円近くも差がある。そんな留学生たちを受け入れる、日本語学校や専門学校を名古屋市内では、多く目にする。
デニスさんは、2004年に「留学」で日本に来た。愛知県内の日本語学校、私立大学、大学院、会社員を経て、現在、名古屋大学大学院博士課程に通っている。
デニスさんは、自分が留学で日本に来た時と、今、留学で来ているネパール人は違うという。
「今、日本に来ている留学生の半分ぐらいはアルバイトするために来ているね。僕の時はそんな人ほとんどいなかったけど、ここ数年で変わった。僕は義兄さんが愛知県の大学で博士まで出た。その紹介で、僕も日本に来た。当時は、ネパールに斡旋会社なんかもなかったから、全部自分で調べて日本に来ましたよ。でも今はネパールに沢山、斡旋会社があります。彼らはそういうところから日本に来てますね」
今、名古屋市内のコンビニ、レストラン、居酒屋、ホテルなど様々なところで、ネパール人を見る。彼らの多くは、日本の都市の中でも少しでも時給の高い名古屋に来て、日本語学校や専門学校に通いながら、アルバイトしているのだという。
そんなネパール人留学生とともに働く日本人からは、「彼らは真面目で働き者」という声が上がる。
名古屋市内にあるコンビニの店長は、ネパール人留学生についてこう語る。
「募集をかけても日本人の応募なんてほとんどありません。それに日本人の人だと2、3ヵ月で辞めてしまう人が多い。でも留学生の人は言い方悪いんですけれど、お金に切羽詰まっている人が多いので、シフトを入れればきちんと働いてくれし、学校に通っている間は辞めない。それに真面目な人も多い。日本人の学生よりも頼りになります」。
留学生の中には、日本に来るために約100万円もの借金をする人もいるという。そして、日本語学校や専門学校の学費もかかる。それらを払うため、日本で生活をするためにアルバイトをしなければならない。そうした事情があり働かなければならない彼らが、コンビニやレストランなど、人手不足の職場を支える。
「日本はどんどん留学生を受け入れると言っているけど、僕は受け入体制は不十分だと思いますね。まずは言葉の問題。英語で研究したくても、大学の授業は日本語ばかり。次に生活の問題。奨学金をもらえればいいけど、自分で学費を払って日本で生活するとなると、勉強なんてする時間ありませんよ。
留学生に対する卒業後の就職支援も弱い。大学院を出た後一度就職したけれど。大学の就職支援なんて役に立たなかった。結局ハローワークに行って就職を決めたけど、給料は手取りで17万円。それで家賃やら食費を払ったら、残りは2、3万円。何のために日本に来て、大学院まで行ったのと。ガッカリしました。それだったらネパールにいても変わらない」
異国の地日本に留学して、学び、卒業した後、希望通りの条件の職に就くのは難しい。
また、留学生は週28時間しか働けないという壁もある。だが現状は、アルバイトを掛け持ちしたりしてルール違反をしなければ生活できない。
 
「それにね、留学で来ているネパール人の中には、卒業しても日本にいるために、日本語学校や専門学校に入り直して、アルバイトをする人も多いんですよ」
在留資格を取るために、卒業と入学を繰り返す留学生たち。そんな彼らが、日本人の応募が少ない仕事を回していく。だがアルバイトを繰り返すだけで、彼らが将来何か役に立つ知識が身につくのだろうか。

ベトナム人技能実習生の悲哀

「愛知は仕事が多いですからね」
2012年に留学のため日本に来て、現在はベトナム語の通訳として働くフォンさん(仮名)は、近年、愛知県にベトナム人が増えた理由に仕事の数が多いことを上げる。
愛知県は、トヨタ自動車をはじめとして、製造業が盛んな地域である。90年代には、日本人が集まりにくい3K(キツイ、汚ない、危険)と言われる仕事に、南米などから多くの日系人が働きに来た。
だがリーマンショックを期に、職を失う日系人も増え、帰国した人たちも多く、その後は数を減らしていった。そして今、日本は再び人手不足となり、そこにベトナムなどからの技能実習生たちが入ってくるようになった。
彼らが就く業種は、自動車部品やプラスチック成型、溶接、食品加工など多種多様だ。そしてネパールの人たちと同じようにベトナムからの留学生も増えている。
「ベトナム人による、万引きも多いですね」とフォンさんは言う。
インターネットで「ベトナム人 万引き 愛知」で検索すると、ベトナム人による万引き事件の報道が数多く出てくる。
「犯罪は悪いことです。でもしょうがない部分もあると思います。実習生は職場を変えることができない。勤め先が嫌だと逃げるしかない。それに、日本に来る時に送り出し機関に多額の手数料を払い、借金をしている人もいます。みんなお金に困っている。だから万引きに走るんですね」
僕も2年前に日雇の工事現場の仕事をしていた時、ベトナム人の実習生と思われる男性が、同僚の日本人から「バカ!」と怒鳴られ、ヘルメットの上から何度も頭を叩かれていた。日本人ならすぐに辞めてしまうような職場でも、彼らは制度上、転職することができない。職場の環境に耐えられなくなり、逃げ出してしまう実習生もいる。
「技術が上がっても昇給することも、昇進することもない。在留資格の期限が来ると本人たちが日本にいることを希望しても、会社も雇いたくても雇えない。だから帰りたくない人は、オーバーステイします」
不法就労や、日本にいるために偽装結婚するベトナム人もいるという。こう聞くと、ベトナム人による犯罪が増える、治安が悪くなる、と思われるかもしれない。だがこうした現状を生み出しているのは、彼らだけの責任ではない。日本行きを希望する彼らと、日本の受け入れ制度の間に歪みがあるのだ。この歪みが彼らを悪い方向に陥らせてしまっている。
 
「生きるために悪い方に行ってしまう」ネパール人のデニスさんも、ベトナム人のフォンさんも同じように言う。
政府は来年4月に人手不足を補うために、外国から単純労働の受け入れ開始を目指すという。だが彼らは日本の人手不足を補う目的で来日するのではない。日本に来る理由は、日本で母国よりも稼ぐため、良い暮らしを手に入れるため、豊かになるためにだ。いつまでも人手不足を補うためだけに働かせていたら、彼らに不満が溜まるのは当たり前だ。

外国人向け日本語教室ボランティアの実態

さて、昨年7月に子供が生まれた僕のフィリピン人妻ミカは(過去記事はこちらhttps://gendai.ismedia.jp/articles/-/51531)、今年4月から、毎週日曜日に愛知県春日井市にある、地域のボランティアが開いている日本語教室に通い始めた。
「まだ子供小さいし、今度でいいんじゃない?」と、乗り気じゃないミカを、強引に連れて行き、クラス分けの面談を受けた結果、3クラスあるうちの一番レベルの低い1。
その中でも、ひらがなカタカナの読み書きからという初歩の初歩からのスタート。日本に来日して7年。フィリピンパブで働いている頃は客と日本語で会話をし、日本語の字幕のカラオケを歌い、客とやりとりするメールもほとんど日本語。それに日本で子供を生んだ彼女は、「ひらがな、カタカナなんて書けるよ」と、文句を言っていたが、いざ授業が始まり書いてみると書けない字が多い。
会話も普段は気にしていなかったが、例えば、「私は」や「私が」、「てにをは」などの助詞の使い方はめちゃくちゃ。僕も彼女に伝わらなさそうな、少し難しい言葉は、簡単な言葉で伝えたり、英語やタガログ語の単語で言い換えて話していたから、他の人と話す日本語がうまく身に付いていなかった。
授業が終わると。「あー疲れた。でも気持ちが良い、疲れだね。私、勉強好きだよ」
授業の前の日には、ノートに「あ、い、う、え、お」と書いていき、「ちょっと問題出してよ」と単語の書かれた紙を手渡され、僕は「自転車」「コーヒー」「椅子」「机」など書かれている言葉を読んで、ミカはそれをひらがなとカタカナでノートに書いていく。
日曜日の朝になると、僕よりも先に起きて準備をする。そして日本語の授業の間、僕は子供と二人の時間を過ごし、正午に終わると、「今日は、ひとつ、ふたつ、みっつって数の数え方を勉強した」などと車の後部座席で嬉しそうに話す。
勉強すれば勉強するほど、彼女自身も自信がついているようだ。
「頑張って日本語できるようになるよ。そうすれば子供が大きくなっても困らないでしょ」
子供のために、彼女はこれから日本語を頑張ると、とりあえず今の所は、そう決意している。
ミカの通う日本語教室には、約80名の外国籍の人たちが受講している。授業料は無料。講師は定年退職したボランティアの人たち。もちろん日当なんて出ず、出たとしてもコーヒー1杯ぐらい。それでも、日本語を学びに来る外国籍の人達のために、熱心に教えてくれる。
参加する受講生の国籍は、ベトナム、中国が多く、春日井市内の中小企業などで働く実習生のようだ。こうした国籍以外にも、モンゴル、パキスタン、コンゴなど18ヵ国の人が受講しているという。
様々な国から来た人達の共通の言語は日本語となる。レクリエーションの一環として、日本語で自己紹介や、しりとりをしたり、自分の出身国の紹介や良いところを日本語で説明する。
日本で出会った他国の人達の話を聞いて、「知らなかった。いろんな国があるんだね」と感心している。みんな片言の日本語で通じないことも多いが、スマホで写真を検索して見せたり、いろんな言葉に言い換えて伝えたりと、様々な国籍の人達が、日本語でコミュニケーションをとっている。
地域のボランティアの支えがあり、ミカを含めて外国籍住民たちが日本語、日本での生活の仕方などを学ぶ機会になっている。
こうしたボランティア活動が、外国籍住民を受け入れる際に重要になっているのは言うまでもない。しかし、ボランティアだけでは活動できる範囲に限界がある。
ある外国人支援をしているボランティア団体の職員はこういう。
「予算の面などで、ボランティアでは限界がある。行政が主体となって、プロの専任講師を雇い、日本語の授業レベルを上げなければいけない」
年々外国人の数は増加しているが、受け入れ体制は十分とは言えない。国、行政が主体となり日本語、日本での生活習慣、法律など日本で生きていくのに必要な知識を教える必要があるのだ。

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