2017年4月21日金曜日

「365日求人しても、誰も来ない」韓国で不人気の職担う 外国人労働者27万人

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170407-00010004-nishinpc-int
西日本新聞 4/7(金)、ヤフーニュースより

 さび落としに使う塩酸の刺激臭が鼻を突く。ネパール人の男性が、数百度の亜鉛槽に身を乗り出して金属かすをすくう危険な作業をしていた。

 韓国・ソウル市中心部から南へ電車で1時間超。安山市の工業団地にあるメッキ工場では、現場労働の5割を外国人が担っている。「1年365日求人しても、誰も来ない」(会社)からだ。

 日本で働く外国人技能実習制度の期限は3年間。韓国ではその3倍以上、10年近く働ける。最低賃金ながらも、残業、休日出勤が多いため、月に約27万円を稼ぐこともある。

 ソウル市の金型工場で働くネパール人のライ・ニロクマロさん(23)は9カ月前にやって来た。日本も考えたが、「より長く働ける韓国を選んだ」。稼いだお金で母国に家を建て、ビジネスを始めるのが夢だ。
外国人の不法就労率は80%台から6%台に
 韓国は1992年ごろ、日本の実習制度をまねた仕組みを導入した。ところが、不法就労者の増加、入国を仲介する業者らによるピンハネなどが問題化。そのため、2004年に日本に先駆け、外国人を労働者として受け入れる「雇用許可制」に切り替え、政府が直接管理に乗り出した。

 受け入れるのは政府が覚書を交わした国の労働者だけ。韓国の失業率は5%と高く、国民の職が奪われないよう、求職者が集まらない企業しか採用を認めない。受け入れ枠は業種ごとの人手不足の状況を踏まえ、政府機関が毎年決める。

 企業は自ら海外へ面接に出向く必要はなく、政府が提示した名簿で採用を決める。日本と違って仲介業者に手数料などを取られる余地も減った。一方で職種は製造、建設、農漁業など単純労働5業種を許可。外国人労働者の不法就労率は、80%台から一時6%台まで一気に下がった。

 制度による外国人労働者は昨年10月で約27万人。人口比では実習生扱いの日本の3倍になる。韓国に倣い、日本でも雇用許可制に切り替えるべきだとの声が強まっている。
「労働者の権利がまだ不十分」
 韓国でも課題はある。

 雇用許可制導入後、12年ごろから不法就労率が上昇し、16年は約14%に達した。一因と考えられるのが、4年10カ月の最初の滞在期間を延長する際の一時帰国義務だ。政府系の韓国労働研究院、李奎容(イキュヨン)専任研究員(54)は「手続きも煩雑で、不法滞在が減らない」と指摘する。

 「労働者の権利がまだ不十分」と不満を漏らすのは、ソウル・京畿・仁川移住労働者労組のウダヤ・ライ委員長(49)=ネパール出身。転職は3回までできるものの、事業主の了解が必要なため、低賃金で我慢している労働者が多いという。日本の実習制度では原則転職は認められない。

 日本と同様に少子高齢化が進む中で、外国人労働者に頼らざるを得ない韓国。だが、政府内には「安い労働力に頼ったままだと、産業の構造改革につながらない」など、これ以上の受け入れ増加に否定的な声もある。
西日本新聞社

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