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中国で最も人口が多い地域は広東省、最も人口が少ない地域は西蔵自治区。最も豊かな地域は北京市、最も貧しい地域は甘粛省…中国といってもその差は大きい。今回、ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎氏が各種ランキングから中国の実情をみていく。 【画像】記事中の図表をまとめてみる
中国における地域別ランキング(社会面)
周知のとおり中国の国土は約960万平方キロメートルで日本のおよそ25倍、人口は約14億人で日本のおよそ11倍である。その巨大な国土の東部は広大で肥沃な沖積平野が広がり、その大部分は温帯に属し四季の区別が明確で暮らしやすい気候であり、人口密度の高い地域となっている。一方、西部はヒマラヤ(エベレストはネパールとの国境線上)、崑崙、天山、アルタイなどの山岳地帯や、ゴビ、タクラマカンなどの砂漠地帯が広がるなど気候の厳しい地域であり、人口密度の低い地域となっている。 そして人口のおよそ9割を占める漢民族と55の少数民俗がともに暮らしている。そして国内総生産(GDP)は2022年に121兆元(日本円に換算すると約2360兆円)と日本のおよそ4倍となった。そこで本稿では、中国各地の社会・経済をランキング形式で概観してみることとしたい。 中国は台湾を除くと31の省級行政区に分けられている。そこで各地域がどんな社会なのかをランキング形式で見てみよう(図表1)。最も人口が多い地域は広東省で1.27億人と日本の総人口を超える。一方、最も人口が少ない地域は西蔵自治区で横浜市とほぼ同じ人口である。 一人当たり域内総生産(GRP)を見ると、最も豊かな地域は北京市で日本円に換算すれば約370万円に達した一方、最も貧しい地域は甘粛省で約90万円にとどまっている。そして、豊かな地域は都市で生活する人の比率(都市化率)が概ね高く、貧しい地域は低いという傾向がある。 また、北京市や上海市など現役世代(15歳~64歳)が出稼ぎに来る地域は経済活動の担い手が多いので豊かになりやすい。反面、現役世代が出稼ぎに出る地域は、その子供や両親が地元に残る場合が少なくないため、従属年齢人口(若年者や高齢者)が多くなりがちである。そうした地域では教育や年金・医療などの負担が残された現役世代の肩に重くのしかかる。
中国における地域別ランキング(経済面)
経済概況も同様にランキング形式で見てみよう(図表2)。最も経済規模が大きい地域は広東省で約13兆元と日本円に換算すると250兆円ほどに達した。一方、最も小さい地域は西蔵自治区で4兆円ほどに過ぎない。過去10年の経済成長率を見ると、経済的に豊かで一人当たりGRPが高水準にある地域は成長率が低く、貧しい地域は成長率が高い傾向にある。これは経済格差が縮小してきていることを示す。また、豊かな地域は第三次産業(除く不動産)の比率が高く、貧しい地域は低い傾向にある。 なお、第三次産業(除く不動産)の比率が低い要因は大きく分けて3つある。第一に第一次産業の比率が高いためであり、新疆ウイグル自治区、広西チワン族自治区、青海省などがそれにあたる。第二に工業の比率が高いためであり、山西省、内蒙古自治区、寧夏回族自治区、江西省、福建省などがそれにあたる。第三に不動産・建築業の比率が高いためであり、河南省などがそれにあたる。経済発展は一般に、第一次産業⇒第二次産業⇒第三次産業という順番で進むとされており、中国にはさまざまな発展段階の地域が混在していると言えるだろう。
三尾 幸吉郎
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