Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/019213e88578be262ce0c0f5025e01c7f087a38a
毎年夏の2か月間だけ鳥取県米子市にやってくるネパール人の男性がいます。 普段はヒマラヤ山脈などで山岳ガイドなどを行っている彼ですが、日本滞在中は「山」ではなく、ほとんどの時間を「海」で過ごすといいます。 その理由とは? 【写真を見る】視力「5.0」、ヒマラヤ山脈の山岳ガイドが毎年夏だけ日本に来て鳥取の海で活躍…なぜ? ネパールと日本、国境を越えた友情 鳥取県米子市の皆生温泉海遊ビーチ。 気持ちよさそうに泳ぐ1人の外国人男性の姿がありました。 「海はねー、楽しいよー!だって心のふるさとでしょ、ここは。」 そう話すのは、ロクナス・シルワルさん。 愛称は「ロクさん」です。 ロクさんが住んでいるのは、インドと中国に挟まれた内陸国・ネパール。 世界最高峰・エベレストを有するだけあって、国のほとんどが山岳地帯。 ネパール人にとって、海は憧れです。 ロクナス・シルワルさん 「私、水はどこの水も一緒だと思っていましたね。塩水が口に入った時、びっくりしました」 普段、ヒマラヤ山脈などで観光客向けの山岳ガイドをつとめるロクさん。 雨季の閑散期、毎年7月と8月の2か月間だけ皆生を訪れているといいます。 ただ、なぜ皆生なのでしょうか? 理由は、国境を越えた"友情"にありました。 皆生ライフセービングクラブ 野嶋功理事長 「共通の知人の紹介で、それ以来の長い長いお付き合いが続いてます」 ロクさん、夏のビーチの安全を守る皆生ライフセービングクラブの野嶋さんと20年来の付き合いなんだとか。 山岳ガイドをしている時に出会った鳥取市の男性に紹介され、2人の交流が始まりました。 皆生滞在中、ロクさんは何をしているのでしょうか? 別の日、海を訪れてみると…そこには、赤と黄色のユニフォームに身を包んだロクさんの姿がありました。 実はロクさん、滞在中のほとんどをライフセーバーとして過ごしているんです。 「3番湾は13名でございます。よろしくお願いします」 「はい、本部了解しました。よろしく。」 ロクさんの仕事は「監視」。 水難事故を防ぐために欠かせない仕事ですが、実はここでロクさんのとんでもない能力が発揮されています。
野嶋さん 「ロクさん、視力が5.0くらいあるんだよね! 見る・ウォッチって部分の活動については、全幅の信頼を持っています」 驚異の視力で野嶋さんの仕事を手伝うロクさん。 そんな2人の"友情"はネパールにもありました。 ロクナス・シルワルさん 「日本の象徴になるもの、空いている空き地に50本くらいのサクラを植えてあります」 ロクさん、2019年にネパールの首都・カトマンズに、野嶋さんが手配した桜を植樹しました。 ロクナス・シルワルさん 「土日には、日本の秋葉原・原宿みたいにすっごく人が多い。桜見に来る、それから恋人と遊ぶところ」 皆生とネパールとの交流を象徴する「ビラヂルー皆生桜公園」、開花時期には多くの人が訪れるスポットとなりました。 「ナマステー」 この日、取材班はロクさんと妻・サンティさんが滞在している市内のアパートにお邪魔しました。 ロクナス・シルワルさん 何歳の時に結婚した? 「私は17歳で、彼女は14歳だったんですよ。」 結婚して43年のおしどり夫婦。 そんな2人が、記者にお手製のネパールカレーを振舞ってくれました。 ロクさんとサンティさん、スパイスやお米、自家製の菜種油など、2か月分きっちり持参するという徹底ぶり。 完成したのは、チキン、野菜、ダール豆の3種類のネパールカレー。 そのお味は…? 土江諒記者 「スパイスがすごいですね!美味しい!」 郷土の味を振舞ってもらったお礼に2人のために何かできないか… そう考えた取材班は、普段山に住む2人と一緒に、中国地方最高峰の大山に向かいました。 あいにくの天気だったため、登山ではなく日本の味を体験してもらうことに。 注文したのは抹茶のかき氷と大山名物の権現だんごです。 「ありがとうございます。いただきます。美味しい!」 「あーウマい。茶道の時、飲んだ抹茶と変わらない」 2人とも、日本の味を気に入ってくれました! ロクさんのこうした飾らない人柄は、皆生のまちに変化をもたらしています。
「ネパールから来ましたビマラと申します。」 笑顔が素敵なネパール出身のスレスタ・ビマラさん。 皆生ビーチのすぐそばにある人気温泉旅館「游月」のフロントスタッフとして働いています。 この旅館ではこれまで10人程度、ネパール人を採用してきました。 そのきっかけは、常務の福元さんとロクさんの出会い。 松月旅館 福元恵美子 常務 「ロクさんがとても良い方だったから、そのきっかけで私たちネパールの人たくさん来てもらっていて。 ネパールの方って英語がとても堪能ですし、教えて頂くことがすごく多いと思っている」 ロクさんと野嶋さん、2人の間で生まれた"友情"が、国内外で様々な"スパイス"を与えていました。 記者 「一生仲良くしてくださいね」 野嶋さん 「はい、たぶん。笑」 ロクナス・シルワルさん 「ありがとうございます」 野嶋さん 「よろしく」 ロクナス・シルワルさん 「こちらこそよろしくお願いします」 ロクさんは8月末まで米子に滞在予定、きょうも友情で結ばれた皆生の海の安全を守っています。
山陰放送
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