Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/7e8540d08965454f73598c414962006606957a0c
「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のラグを手掛けるのは、ミラノ発「イルリアン カーペット(ILLULIAN CARPET)」のベンディス・ロンチェッティ・イルリアン(Bendis Ronchetti Illulian)だ。フレームに張られたキャンバスにウールやシルクの糸を打ち込むという古来からの手法は10世紀前から変わっていないが、顧客は屋内・屋外問わずイルリアンのラグをますます熱望している。屋外用のラグには耐久性が欠かせない。同ブランドはネパールの山頂で地元の業者がプラスチックからアップサイクルするラグジュアリーな糸にその機能を託した。
「イルリアン カーペット」のサステナブルラグには2種類あり、最高級の“プラチナ120”は1㎡あたり18万ノット、“ゴールド100”は同15万2000ノットで製作する。1つのラグを作るには30kgの廃棄プラスチックが必要だ。ベンディスがネパールで見つけたサステナブルな糸は、大気中の物質や紫外線に強いという。全コレクションがサステナブル仕様に調整でき、オーダーメードも可能。「一家の成功は、母親の忍耐力と起業家精神、好奇心のセンスによって築かれたものであり、それがファミリービジネスを現代まで存続させた」と話す。
ブランドの成り立ち
イルリアン一家は1950年代後半にイランを離れた。父親は米ロサンゼルスへ移り新生活を始めたのに対し、娘シャハナーズ(Shahanaz)はミラノに移り、そこで恋に落ちたイタリア人男性とアンティークビジネスを始めた。70年代になると夫妻はビジネスを広げたいと思うようになり、隣人のヨガ愛好家からネパールの伝統的なじゅうたん作りについて聞いたことがきっかけになった。夫妻はカトマンズ旅行を経て人脈を築き、「イルリアン カーペット」を設立した。ベンディスは、「現地の職人たちは、伝統的なデザインからよりモダンなデザインへと創造性を進化させることができた」と話す。
当時まだ起業家だったジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)の目に留まり、彼が自宅のために高級じゅうたんをオーダーしたのは、80年代の話だ。こうして始まったアルマーニとイルリアン一家の関係は、「ジョルジオ アルマーニ」のホームコレクション“アルマーニ / カーザ(ARMANI/CASA)”へと発展した。「イルリアン カーペット」は、ファッション写真家のボブ・クリーガー(Bob Krieger)のためにも特注のじゅうたんを製作している。ベンディスは、「ファッション業界が、私たちが自社生産をしていることや、あらゆるリクエストに応えられること、多くの有名デザイナーたちのためにじゅうたんを作ってきたことを知ったとき、事態は好転した」と振り返る。
「イルリアン カーペット」の新章
今日、シャナーズの息子デイヴィス(Davis)とベンディスは、ファッションやデザイン界の大物たちとのコラボレーションに取り組んでいる。ブラジル人ファッションデザイナーのパウラ・カデマルトーリ(Paula Cademartori)やエジプト人工業デザイナーのカリム・ラシッド(Karim Rashid)、デザインデュオのドラガ&アウレル(Draga & Aurel)、イタリア人デザイナーのパオラ・ナヴォーネ(Paola Navone)、イギリスの建築事務所「ザハ・ハディド・アーキテクト(ZAHA HADID ARCHITECTS)」などとの協業だ。
「イルリアン カーペット」の主要市場は中東で、現在は米国市場での拡大に注力している。ベンディスは、「将来的には、一流ブランドとのコラボレーションをさらに進め、流通を拡大することを目標にしている」と話した。
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