2017年3月29日水曜日

SNSによって売春の闇へと堕とされた、途上国の少女たち 悲劇は一通のメールから始まった

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170328-00051297-gendaibiz-int
ヤフーニュースより、現代ビジネス 3/28(火) 

彼氏に売り飛ばされた
 「彼に、インドへ遊びに行こうと誘われました。反対されると思ったので、家族には黙って家を出ました。バスで国境まで行き、2晩列車に乗った後、またバスに乗り換えて、3階建ての家に着きました。

 そこで3人の男にレイプされ、明日から客を取るようにいわれました。嫌だというとひどく叩かれ、“お前を連れてきた男に大金を払った。お前の借金だから全額返すまで働いてもらう”といわれました。それから毎日10人以上の客の相手をさせられました」

 ネパールの首都カトマンズ。空港近くの住宅街に『マイティ・ネパール』というNGOがある。インドの私娼窟に売られ、売春を強要されていた被害者を保護する施設だ。

 その一室で、カルパナ(17歳)が、自分の身に起こった悲劇を打ち明けてくれた。現地NGOと警察によってインド・プネーの売春宿から救出され、ネパールに帰還して2週間目のことだ。

 カルパナの家はカトマンズ近郊の下町。家族は、雑貨店を営む両親と兄ひとり弟ひとり。映画とおしゃれが好きな普通の女子高生だった。

 そんな彼女の日常を大きく変えたのは一昨年。SLC(高校卒業試験)を終え、春休みに入って間もなくのことだ。きっかけは、Facebookに寄せられた1通のメッセージだった。

 「私の写真を見た彼が、かわいいねってメッセージをくれたんです。それでやりとりするようになって、電話でも話すようになりました」

 カルパナの6歳上の兄は、Facebookを通じて知り合った相手と結婚したばかりだった。学校の友だちも、Facebook上で出会ったボーイフレンドの存在を自慢していた。だから、知らない男性からのアプローチにも疑いを抱かなかった。SNSから始まる恋は、あたりまえにあると思っていた。

 しかし、彼女を待ち受けていたのは、信じた男に売り飛ばされるという現実だった。
少女の値段は約数万円~数十万円
 ネパールとインド間の国境を越えて、年間7000人ものネパールの少女が人身売買されている。少女の値段は、わずか数万~数十万ルピー(約数万円~数十万円)。売られる先は、デリーやムンバイ、コルカタ、プネーなど、大都市の一角に巣食う私娼窟だ。

 売春宿での生活は過酷だ。狭い部屋に閉じ込められ、昼夜を問わず客の相手をさせられる。

 しかし、何人客をとっても自分の手には1ルピー(約1円)も入らない。与えられるのは粗末な食事と数枚の衣類、そして安物のメイク道具のみ。HIV/AIDSなどの重い病気に罹かるか、客がつかない歳になるまで、性奴隷として酷使され続けることになる。

 私がこの問題を知ったのは1994年のことだ。以来、本業のかたわら、『ラリグラス・ジャパン』というボランティア団体を立ちあげ、人身売買根絶を目標に被害者支援を続けている。活動は今年で20年目を迎えるが、未だ解決の糸口はつかめていない。

 決して、無策だったわけではない。活動パートナーである『マイティ・ネパール』は、農村部を中心に啓発活動を行い、インドとの国境の要所に独自の監視所を設けるなどして犯罪抑止に努めてきた。それでも少女たちを守りきれないのが実情だ。むしろここ数年、犯罪の手口の複雑化により、さらなる困難を強いられているといえる。
SNSを通じ甘言で惑わせ連れ去る
 かつて、人身売買のターゲットとされるのは、基本的なインフラも整備されていない山間の村に暮す少女たちだった。急峻な地形が耕作を阻み、現金収入の手立てもない村の暮らしは厳しい。こうした村では、子どもも貴重な労働力として扱われる。小学校に通うこともなく、家事や畑仕事を手伝い、10歳ぐらいになると日雇い労働に出て家計を支える。それでも、1日1食さえ口にできないような生活だ。

 そうした少女に周旋人は触手を伸ばす。

 「いい仕事を紹介してやろう。お金を稼げばおなかいっぱい食べられるし、家族に仕送りだってできる」

 と声をかけ、村から連れ去るのだ。農村部における貧困と教育の機会の欠乏が、人身売買犯罪を生むとされてきたのである。

 しかし近年、カルパナのような中産階級家庭の子女までもが、犯罪に巻き込まれるようになった。衣食住に困ることもなく、教育の機会にも恵まれたごく普通の女子中高生が、インドに供給されるケースが目立ちはじめているのだ。

 その要因とされるのが、携帯電話やSNSの普及だ。カルパナの例にみられるように、少女たちが開設したFacebookにコンタクトをとり、甘言で惑わせて連れ去る手口が横行しているのである。
驚くほど安いスマホ
 ネパールは、アジア最貧国のひとつとされている。そのような国の中高生が、日常的にSNSを利用できる環境にあるのかと不思議に思われることだろう。

 確かに一昔前のネパールでは、インターネット回線どころか、多額の初期費用を要する固定電話を持つことさえできない家庭も珍しくなかった。そうした人々のために、街や村のあちこちに貸電話屋があったのだが、近年、その数は激減している。SIM形式の携帯電話やスマートフォンが爆発的に普及したからだ。

 日本では決して安いとはいえない携帯電話だが、ネパールでは驚くほどの値段で購入できる。もちろん、当初は経済力のある者に限られた高級品だったが、10数年前から中国製やインド製の格安携帯が出回り始め、庶民にも手が届くようになった。もっとも安価なものであれば、日本円にして本体価格1000円程度。SIMカードは100円から購入でき、追加チャージは50円から可能だ。

 スマートフォンも同様、本体価格5000~6000円。インターネット専用チャージであれば20円から可能だ。また、スマートフォンを持たずとも、ネットへのアクセスに不自由はない。貸電話屋から商売替えしたサイバーカフェが、1時間50円で利用できるからだ。

 ネパールの庶民的な店でお茶を飲むと1杯10円程度。雰囲気のいいカフェでも25円ほどだ。バス代でいえば、カトマンズ市に隣接するパタン市との間が25円。パタン市より30分ほど遠方に位置し、乗り継ぎを要するゴダワリとの間でも50円ほどだ。つまり、追加チャージ代やサイバーカフェ代は、中高生の小遣いでまかなえるほどの安さなのである。
信じられないほど無防備
 世界のFacebookのユーザー数は、2014年に13億5千万人を突破したという。手軽に交友の輪を広げられることが魅力のひとつとされるが、一方でストーカー被害に遭うなど、トラブルに巻き込まれるケースも発生している。ゆえに、ネット上で知り合って間もない相手から「会いたい」と乞われたとしても、警戒心が先に立つのが普通の心理といえるだろう。

 ところが、ネパールの少女は信じられないほど無防備だ。「かわいいといってくれた」、「悩みを聞いてくれた」、「好きといってくれた」。この程度のやりとりで、素性もわからない相手に恋心を抱いてしまうのである。

 ネパールの少女の恋愛偏差値は、きわめて低いといわざるを得ない。

 その理由は、ネパールの国教・ヒンドゥー教が自由恋愛を禁じているところにある。とくに女子は、「父親に従い、嫁して夫に従い、嫡男を生み育て、成長した後は嫡男に従う」との三大義務を果たすため、清く正しく生きることを求められる。よって、男性と並んで歩いただけでも不良扱いされかねない。
 
結婚はもちろんお見合いだ。初恋の甘酸っぱさも、恋煩いの悩ましさも、失恋の苦しさも、ひとつとして経験することなく嫁いでいくのがよしとされているのである。

 最近では恋愛結婚も増加傾向にはあるが、親の世代は未だ自由恋愛に否定的だ。恋人ができたとしても、デートらしいデートはかなわない。「お寺にお参りにいってくる」といって出かけ、境内の片隅でおしゃべりするのが限界である。これでは、恋愛偏差値を上げられるはずもない。

 テレビで湯水のように放送されるインドの恋愛映画も、少女たちに影響を及ぼしている。インドもネパールと同じ、ヒンドゥー教を国教とする国だ。そのため、かつての映画業界は非常に風紀に厳しかったが、昨今はキスシーンも解禁となった。オブラートに包みながらではあるが、ベッドシーンが映し出されることもある。

 もはや「結婚まで純潔を守るべし」との教えは過去のものとなり、自由恋愛があたりまえになりつつある。そうした風潮が、少女たちをさらに無防備にさせていると思えてならないのである。

 カルパナも、そんなひとりだったのかもしれない。

 「友だちにはいえないことも彼には話せた。彼はとてもやさしかった。いつか結婚しようといってくれた。その言葉を信じた私が悪いのです。汚れてしまった私は、もう結婚できないと思います」

 彼女の重ねた手の上に、後悔の涙がこぼれ落ちた。

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長谷川まり子(はせがわ・まりこ)ノンフィクションライター。1965 年、岐阜県生まれ。世界の社会問題を取材する過程で、インド・ネパールの越境人身売買問題を知りライフワークに。新聞、雑誌、書籍、テレビドキュメンタリーを通じてリポートするとともに、1997 年、人身売買被害者支援のための無償ボランティア団体「ラリグラス・ジャパン」を立ち上げ、その代表としても活動を続ける。著書に『少女売買』(光文社知恵の森文庫)〈第7回新潮ドキュメント賞受賞〉、『がん患者のセックス』(光文社)、『アジア女子旅の達人』(光文社)などがある。
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長谷川 まり子

外国人労働者 受け入れルールの議論を

Source: https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/317408

GOOGLEニュースより、2017年03月27日


日本で働く外国人労働者が急増している。厚生労働省の調査によると、昨年10月時点で約108万人に達し、初めて100万人の大台を突破した。

 途上国への技術移転が目的の技能実習生や留学生アルバイトの増加が総数を押し上げている。
 政府は単純労働の外国人受け入れを認めていない。ところが、多くの実習生が工場などで単純労働に従事している。コンビニや飲食店では、留学生が欠かせない労働力になっているのが実情だ。
 実習生と留学生はどちらも前年比で約25%増加し、ともに約21万人に上る。本紙はキャンペーン企画「新 移民時代」で、九州の実態を多角的に探っている。
 第1次産業や中小零細の工場では、人手不足の穴埋めに技能実習制度が使われているのが実態と言わざるを得ない。待遇は最低賃金レベルだ。「安価な労働力確保策」という批判は免れまい。
 年内には受け入れ職種に「介護」が加わる。実習生の数はさらに膨らむ見通しだ。後を絶たない賃金の不払いなど不正の監督強化は、喫緊の課題である。
 生活費や学費を稼ぐために、法律で定められた週28時間の上限を超えてアルバイトをしている留学生は珍しくない。中には、当初から学業より就業が目的の「出稼ぎ留学生」もいるという。
 「バイトで月30万円は稼げる」。現地の仲介業者が甘言で留学生を募る。生徒をかき集め、利益を上げたい日本語学校が受け入れる。そんな構図が背後にある。
 政府は留学生30万人を目標に掲げている。ならば、留学生を送り出すベトナムやネパールなどとの連携を強化し、仲介の適正化に取り組むべきだ。乱立状態といわれる日本語学校の「教育の質」をチェックする仕組みも早急に整える必要がある。
 少子高齢化で労働力人口は先細りしていくと予想される。現状と将来を見据え、外国人をどの程度、どんなルールで受け入れるべきなのか。法律や制度の在り方を含めて国民的な論議を深めたい。

=2017/03/27付 西日本新聞朝刊=

ネパールに届け 園児が描いた「ど根性ひまわり」

Source: https://www.kobe-np.co.jp/news/miki/201703/0010021776.shtml
GOOGLEニュースより、2017/3/21 21:42神戸新聞NEXT
ネパールに届けるヒマワリの絵を描いた園児ら=三木市上の丸町、上の丸保育所
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ネパールに届けるヒマワリの絵を描いた園児ら=三木市上の丸町、上の丸保育所
 兵庫県三木市上の丸町、上の丸保育所の4歳児21人が、東日本大震災後に宮城県石巻市のがれきで花を咲かせた「ど根性ひまわり」の絵を描き、21日、ネパールを支援する三木市のNPO法人「ラリグラス」理事長の水場あけみさん(44)に託した。同じく地震に見舞われた同国の小学校や自閉症センターに飾られる予定。
 今春からヒマワリを育てる園児らは「ど根性ひまわり」について絵本で事前に学習。この日は被災地支援に取り組む同市の森田和彦さん(52)からヒマワリの種を受け取り、一人ずつ水場さんに絵を手渡した。
 ネパールの国旗について説明も受け、女児(5)は「(絵を見たネパールの人が)いい気持ちになってほしい」と話していた。
 水場さんは27日に現地入りし、「ど根性ひまわり」の種とともに園児の絵や写真を届けるという。(大島光貴)