Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/3a2bd334a17eba507b5d7c3804168a57d10df12b
8月の大規模土石流で計1400人以上が死亡するなど甚大な被害を受けたネパール。支援を届けるとともに、日本とネパールの交流推進を図ろうと大阪市で19日、地元NPOが主催するイベントが開かれた。日本には多くのネパール人材が来日し、介護やサービス業などに従事しているが、職場や地域で孤立を深めるケースがあるという。イベントを通じて互いが安心・安全に暮らす社会を考える機会を目指す。20日も開催予定。伝統舞踊の披露、カレーや定番料理「モモ」などの提供もある。
【写真】提供されるネパール料理のプリタルカリ、モモ、マサラチャ
海外メディアによると、土石流の被害は甚大で、これまでに1400人以上の死亡が確認され、6000人以上が行方不明となっている。
企画したのは、ネパール人の夫とともに大阪市内でネパールレストランを経営する阿部未奈子さん(50)。「ネパールまつり大阪」として、当初は国際交流が目的だったが、災害発生を受けて、支援の呼びかけを決めた。
この日は、イベント会場のいくのパーク(同市生野区)に募金箱が設置され、被災地の現状が伝えられるとともに、犠牲者を悼んで来場者らが黙禱(もくとう)した。募金した同市住吉区の日本語ボランティア講師、住谷章さん(77)は「日本も災害大国。お互いさまとして、少しでも助けになれば」と話した。
■「最貧国」から来日、深めた孤立
ネパールはアジアの最貧国の一つで、平均月収は日本円で2万円ほどとされる。日本国内には令和7年末時点で30万人、大阪市では1万9000人が生活しており、阿部さんは10年以上にわたり、「駆け込み寺」としてネパール人住民らの生活相談などに対応してきた。イベントを考えついたのは、その中での忘れられない経験がきっかけだ。
今年3月下旬、大阪市内のアパートで、20歳のネパール人女性が遺体で見つかった。自殺だった。阿部さんは面識はなかったが、夫からの依頼でその場に駆けつけた。
5人きょうだいの末っ子で、まじめな性格だったという女性。母国の日本語学校を卒業し、日本でIT系の専門学校に通いながら、アルバイト収入を仕送りしていた。
家族からも頼りにされていたが、次第にその期待が負担となったのか、女性は周囲に悩みを相談できず、抱え込んでいったとみられる。阿部さんは「日本で相談できるような関係性の人がいれば、孤立しなかったのではないか…」と悔やむ。
日本国内では外国人労働者の急激な増加に伴い、生活習慣などの違いで分断も生まれている。こうした現状から5月、阿部さんは日本人とネパール人双方が住みやすい街を目指そうとNPO法人を設立。まつりを企画した。
今年はネパールと日本の国交樹立から70年の節目でもある。阿部さんは「互いの全てを理解することは難しい。それでも、背景が分かれば解決する方法が見えてくる。そのきっかけになれば」と語った。
■出稼ぎ大国でくすぶる不満 昨年には「革命」達成
日本から約5200キロ離れた南アジアの小国・ネパールは中国に接する内陸国だ。多民族国家で、北海道の約2倍の国土に約3000万人が暮らす。首都カトマンズは、世界最高峰のヒマラヤ山脈登山の玄関口として、世界中の観光客が訪れる。
観光業と小麦やトウモロコシの生産など第一次産業が盛んだが、新型コロナウイルス禍で国内経済が停滞。貧しさから海外へ出稼ぎに出る人も多く、国内総生産(GDP)の20%超が出稼ぎ労働者からの送金が占めるほどの「出稼ぎ大国」だ。身分や民族の違いによる差別が根強く残り、教育格差も深刻な問題として横たわっている。
昨秋、「Z世代」と呼ばれる若者らが、格差拡大や政治の腐敗に反旗を翻し、今年3月、新首相が就任した。(小川恵理子)

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