Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/d6927f786dd03f8fa647f1ddc51fc19a06d84363
2026年熊本地震では熊本県内で暮らす外国人も被災した。県や各自治体は外国人への情報発信に力を入れてきたが、「言葉の壁」から避難所や支援物資に関する情報を得られず、孤立する被災者も。災害時にどのような手段で必要な情報を届けるか。改めて課題が浮かび上がった。
「避難所に行けるのは家が倒れて住めない人だけだと思っていた。水や食べ物に困ったらどこに行けばいいかも分からなかった」。ネパール出身で特定技能の在留資格を持つ宇土市の30代男性は、7月28日の地震発生直後を振り返る。
自宅の寮は地震で物が壊れ、ガラスが割れる被害を受けた。ただ、地震の規模や周囲の被害状況は分からない。避難所や支援物資に関する情報も届かず、「発生から3日間は寮に残っていた食料や飲料水でなんとか生活した」という。
県国際課によると、県内の在留外国人は昨年12月末時点で3万2372人。16年熊本地震が発生した10年前から3倍近く増え、災害時の情報伝達手段の整備は喫緊の課題となっている。
その手段の一つが自治体のウェブサイトや交流サイト(SNS)だ。約4400人の外国人が暮らす八代市は地震発生直後からウェブサイトで、外国人に分かりやすい「やさしい日本語」を使った情報発信を開始。「避難所」を「にげるところ」、「給水所」を「水をもらえるところ」と言い換えて伝えている。やつしろ国際協会も市のウェブサイトやSNSで情報収集するよう、外国人関連の47団体・企業、128個人会員にメールで呼びかけた。
最大震度7を観測した宇城市や氷川町はウェブサイトの言語を英語や中国語などに翻訳できるようにしている。
ただ、自治体が発信する情報がどこまで届いたかは分からない。氷川町のウェブサイトは住人が多い東南アジアの言語に対応しておらず、「今回の地震で多言語対応の必要性を改めて認識した」と担当者。八代市国際課は「支援物資を取りに来た外国人もいたが、情報発信の効果かどうかは検証しにくい」と話す。
県と県国際協会は8~9月、氷川町と宇城市で被災した外国人住民を対象にした相談会を開催。参加者からは「防災無線が日本語で分からなかった。企業や監理団体からの情報提供が少なかった」といった声も上がった。県国際協会は「今後は互いに情報交換できるよう、監理団体や受け入れ企業ともつながり、被災した外国人へ積極的に情報提供するようにお願いしたい」とする。
災害時の情報発信のあり方を、外国人の視点から見るとどうか。
ベトナム出身で在熊本ベトナム人協会のホアン・バン・チューンさん(33)=八代市=は「自治体のウェブサイトを見る習慣がない外国人もいる。外国人がよく利用するSNSでの発信も考えてみては」と提案する。英国出身で10年前の地震も経験した熊本大特任助教のアンドリュー・ミッチェルさん(41)=熊本市中央区=は「災害時に適切な行動を取れるよう、日頃から職場などで防災訓練や講習を実施し、外国人の防災意識を高めることも重要だ」と話した。(上野史央里、伊藤恩希)
●平時からつながりを
熊本県内の在留外国人が急増する中、県や県国際協会は支援団体や外国人コミュニティーとの関係構築に力を入れてきた。2026年熊本地震では築いてきたネットワークを生かし、迅速な安否確認を実施。多言語での情報発信や相談会を通じて被災外国人に寄り添った支援を目指している。
7月の熊本地震で、県が19年に設けた県外国人サポートセンターは、外国人向けの24時間体制の相談窓口を設けた。10年前の地震では英語と中国語のみの対応だったが、今回はベトナム語やインドネシア語、ネパール語など24言語に増やした。
サポートセンターのSNS(交流サイト)やウェブサイトでは、避難所や給水所などに関する情報を多言語で発信。特に被害の大きかった地域では外国人被災者向けの相談会も開いた。
県国際課は「平時から各コミュニティーや支援団体と連携してきたことが今回の地震でも生きた。今後も外国人とのつながりをどうすれば深められるか、模索していきたい」と話している。(上野史央里)

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