Source:https://courrier.jp/news/archives/362571/
5min2024.4.29 、Googleニュースより
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Photo: The New York Times"
2024年3月16日、ネパール東部の地域・イラムで、日本の紙幣の原料になるアルゲリの樹皮を洗浄する人々 Photo: The New York Times
Text by By Bhadra Sharma and Alex Travelli, Photographs by Uma Bista
日本の紙幣の原料に用いられる樹木「ミツマタ」は、国内調達が難しくなっており、その多くがネパールから輸入されているという。
2024年7月に紙幣のデザインが刷新されるが、その発行はミツマタの生産・加工に関わるネパール人なしには「不可能」だと、産地を訪ねた米紙が報じている。
2024年7月に紙幣のデザインが刷新されるが、その発行はミツマタの生産・加工に関わるネパール人なしには「不可能」だと、産地を訪ねた米紙が報じている。
「儲かるなんて思ってもみなかった」
世界最高峰の山々とインド北東部ダージリン地方の茶畑に挟まれたネパール東部のこの地域では、壮観な景色が広がり、希少なランが育ち、緑豊かな丘陵地でレッサーパンダが遊ぶ。
だが、ここでの生活は厳しい。世界最高峰のエベレストの近くで生まれた農業従事者のパサン・シェルパは、十数年前に野生動物にトウモロコシやジャガイモを荒らされて栽培を諦めた。そして代わりに、それほど価値のなさそうな植物を育てることにした。ヒマラヤに自生する常緑で黄色い花を咲かせる「アルゲリ」(註:ミツマタの近縁種)と呼ばれる低木だ。現地の農業従事者は、この植物を柵を作るための材料や薪にするために育てていた。
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2024年3月16日、ネパール東部の地域・イラムで撮影されたヒマラヤ山脈に自生するアルゲリ
Photo: The New York Times
シェルパは当時、アルゲリの樹皮が現金収入につながるとは思いもしなかった。だが、アジア有数の貧困地域が世界有数の裕福な国の経済のための主要原料を供給する、という異例の取引を通じてその収入が生まれた。
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