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初めてのネパール旅の始まり 【日本山岳会ヒマラヤキャンプ登山隊2023撮影記】♯03
これがヒマラヤの玄関口。ネパールのカトマンズに到着し、いよいよ動き出したヒマラヤ遠征。慌 ただしく準備に追われるなかで感じる旅の始まり。 。 文・写真◉石川貴大。
出発から翻弄された初めてのネパール
ようやくネパールへ向けて出発だ。知らない世界に飛び込むことへの不安とわくわくを同時に感じながら出発前夜を迎えた。そんななか、急に1通のメールが届いた。それは搭乗予定のネパール航空からのメールだった。なんと、飛行機が遅れることになったのだ。しかも12時間……。 ネパールでの旅は時間どおりにいかないとは聞いていたが、日本にいる間から、これほどずれるとは思いもしなかった。こればっかりは仕方がない。10月2日午前10時の便が午後10時になったので、その日の夕方それぞれ成田空港に集合した。いきなりの遅延から始まり、なにやら今後の珍道中を匂わす出発となった。
慌ただしいカトマンズでの数日
12時間遅れた飛行機がカトマンズのトリブバン国際空港についたのは10月3日の深夜3時すぎ。2日の晩に泊まるはずだったホテルに着いたのは朝5時だった。本当は休みたいところだったが、その日に準備をすることがあるため3時間ほどの仮眠でカトマンズでの準備を開始する。 この日から3日間で、登山許可の取得、現地エージェントとの打ち合わせ、持参装備とヒマラヤキャンプの現地デポ装備のパッキング、遠征資金の両替などを行なっていく。 10月のカトマンズは半袖でも十分な気候だ。晴れていれば散策も楽しみたいところだったが、最初の2日間は雨続きとなった。雨でも淡々と準備を進めていく。
最後の準備を整えて
ネパールにあるヒマラヤキャンプのデポ装備にはテントや寝袋、登攀具、電装品などがある。ここではこの先のキャラバンで使うものと、ベースキャンプより上で使うもので荷物を振り分ける。 キャラバンとは、簡単にいえば、ベースキャンプに至るまでの移動のことだ。今回のキャラバンは村から村へ宿泊しながら進むため、着替えや個人装備、トイレットペーパーなどの生活用品をキャラバン用とした。ここでしっかりと分けておかないと、道中で荷物を広げて探さなければいけなくなってしまう。とはいえ、慣れない荷造りで足りないものがないかと不安になる。とくに登山装備と食料が足りなかったら登山自体に影響が出るので事前に作ったリストを見ながら細かく確認を行なった。 ちなみに石鹸類やトイレットペーパー、保湿クリームなどドラッグストアに売っているような生活用品は大体ネパールでも購入可能だ。クライミング用品を取り扱っている店もあり、最悪現地調達という手もある。
ダワさん、ニマとの出会い
今回のヒマラヤキャンプ2023の遠征には、サーダーのダワさん、キッチンボーイのニマが同行した。サーダーは遠征に関わる現地の人を取りまとめてくれる存在だ。ダワさんと花谷さんは付き合いが長く、相棒みたいな関係だ。ダワさんは、日本語も堪能でキャラバンのアレンジやベースキャンプでの食事、そのほか生活全般のサポートをしてくれる。 ちなみに食事に関しては、それだけでひとつの記事にしたいぐらいすばらしい内容のものだった。これはまた、今後の記事でたっぷり触れようと思う。 ニマは、ダワさんのサポート役だ。若い青年だが、ニコニコしながら重荷を背負って飛ぶように歩く強者である。ヒマラヤのことを知らない私たちにとって最初から最後まで本当に頼れる存在だった。
目の前に広がる本物のカトマンズ
カトマンズでの準備がひと段落すると、ボダナートというカトマンズを代表する寺院でプジャという祈祷を行なってもらった。どんな登山になるのか思い浮かべながら、これからの登山の無事を祈った。 ボダナートではタルチョという旗を繋げたようなものを見ることができる(写真の仏塔の上から左右に伸びている旗がタルチョだ)。ヒマラヤの写真には必ずといっていいほど出てくるものだ。 カトマンズの雑踏もそうだが、写真でしか知らなかった世界に少しずつ足を踏み入れている感じがした。忙しい時間をすごしながらも、これから始まる登山への期待が膨らんでいった。いよいよシャルプーⅥに向けて移動開始だ。
PEAKS編集部
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