2026年8月4日火曜日

サングラス大仏に撮影スポット。愛知の珍名所の知られざるイイ話

 Source:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f8206d604222545eae527efb6a22f6fc2712cc15

名古屋ネタライター
「サングラス大仏」として知られる愛知県江南市の布袋の大仏。踏切の警告灯が点滅するタイミングで撮るとサングラスをかけているように見えることから人気に

個人が建立したコンクリート製の個性派大仏

「サングラス大仏」として知られる愛知県江南市の「布袋の大仏」。ここに絶好の撮影スポットが登場し、ひそかに人気を集めています。

くだんの大仏は正式名、御嶽薬師尊。1954(昭和29)年、個人によって建立されたコンクリート製の大仏で、地元では地名にちなんで「布袋の大仏様」として親しまれています。高さ18mと堂々たるスケールで、ちょっと頭でっかちで独特なお顔立ちも特徴です。

個性的なお顔立ちの布袋の大仏様。隣接するスペースに以前は建立者、故・前田秀信氏のご子息が営む鍼灸院があったが、ご本人は昨年春に帰米し、現在はネパール寺院になっている。名鉄布袋駅より徒歩10分

巨大仏マニアやB級スポットファンにはかねてより知られた存在でしたが、俄然注目を集めるようになったのは10年ほど前から。近くの踏切の警告灯が大仏の両目に重なるとサングラスをかけているように見え、その写真がSNSに投稿されたのをきっかけに「サングラス大仏」として広く知られるようになったのです。

映えスポットとして人気急上昇もある問題が・・・

江南市でも2018~19年頃にシティプロモーション事業で作成したポスターにサングラス大仏を取り上げ、晴れて市のシンボルのお墨付きも得ることになりました。

しかし、知名度が高まるのにともなってある問題も。「サングラス大仏」を写真に納めるには特定のポイントから撮影しなければならず、その場所に近い墓地や私有地に無断で入る人が後を絶たなかったのです。市も「撮影のマナーや私有地への立ち入り禁止などの案内を現場に設置したり、テレビ取材などがあった場合には放送時に撮影マナーの注意を合わせて記載するようお願いをしております」と呼びかけをしていますが、なかなかそれが守られない状態が続いていました。

突然現れた「サングラス大仏撮影スポット」

ところが、筆者はXのポストでこの懸案の解決策が施されていることを知りました。墓地の横に「サングラス大仏撮影スポット」がつくられていたのです。

簡素でほのぼの感あふれる撮影スポット。大仏の建つ場所からは徒歩2分程度

早速現地を訪れると、墓地の横に「サングラス大仏撮影スポット」と印刷されたポスターが貼り出され、イスや狸の置物、壷などが置かれているではありませんか。「1家族100円」を「壷の中に入れてください」とも記され、さらに「イスに座って写真を撮る Take a photo while sitting on a chair」など親切に英語を併記した撮影の手引きまであります。

撮影料は1家族につき100円。狸の置物の横の壷に入れる

実際にイスに腰かけてみると、なるほどバッチリ! 角度といい高さといい大仏の両目に警告灯がぴったり重なって見えるのです

しばらくすると何組もがやって来て、イスに座ってサングラス大仏をスマホカメラに収めていきます。「大仏様のことは去年テレビで知って、今日は近くの寺の藤まつりのついでに訪れました。いい感じで撮れましたね」とは岐阜県多治見市から初めてやって来たという50代の男性。

筆者が訪れたのは土曜日のお昼前。天気もよかったためか続々撮影者が訪れていた

撮影スポット管理者にインタビュー!

この「サングラス大仏撮影スポット」を管理しているのは寄木墓地管理委員会。市を介して管理者と連絡を取り、話をうかがいました。

「あの場所は代々うちの土地で、今年の1月初めに伸び放題だった雑草を刈って撮影用のスポットにしたんです」と永田和樹さん(41才)。

「墓石の上に上って写真を撮る人もいて困っていたことは確かなんですが、それ以上にせっかくたくさんの人が大仏様を目当てに来てくれているのだから、立ち入り禁止などにはせず、正式に入って撮影できる場所を用意してあげた方がいいと思ったんです。あの土地は家を建てるには狭いし、石だらけで畑にもできないし、ずっと手つかずでどうしようもない土地だったんです。市に『買ってくれませんか?』と持ちかけたこともあるんですが、予算がないと断られてしまって(苦笑)、だったら自分でと、納屋からイスや壷を引っ張り出してきて今のようにしたんです」

すると効果はてきめん。

「草刈りをしていた時点で『ここから撮っていいんですか?』と声をかけてくれた人もいて、お墓の方へ入ってしまう人はほとんど見かけなくなりました」

撮影スポットを設けたことで、あらためてサングラス大仏の人気に驚かされることが増えたとも。

海外の人がめちゃくちゃ来るんです。警告灯が点滅するタイミングを狙って、熱心に長い間写真を撮っていかれます。踏切マニアの人にとっても聖地らしくて、しょっちゅう来てくれる常連さんもいます。犬の散歩がてら毎日壷の中のお金は回収しているんですが、大体いくらかは入っていることが多いですね」

「イスに座って写真を撮る」と丁寧な説明書きが添えてある。イスは野ざらしのため既に壊れてしまったものもあり、リサイクルショップで購入して交換したとか

撮影と合わせて観光も。地元愛あふれる管理者の思い

撮影スポットをさらに充実させて江南市の観光にも活用したい、という永田さん。

「江南市のシンボルになっているし、観光スポットとしてももっと活かしたい。布袋エリアにはローカルのおいしい飲食店もたくさんあるので、それらを紹介する観光パンフレットを置いたり、あとうちでつくっている野菜の無人販売もやりたいと思っています(笑)

思えば布袋の大仏も、地域の人の健康を願う一個人によって建てられたもの。それを活かす撮影スポットが地元を思う個人によってつくられたというのも、市井のシンボルにふさわしいと感じます。ユニークな大仏様と、手づくり感あふれる撮影スポット。マナーを守ってお参りと撮影をすれば、何かしらご加護が得られたり、大仏以外の江南市の魅力にもふれられるかもしれません。

筆者が実際に撮影スポットのイスに座って撮ったサングラス大仏。ちなみに20年ほど前は現在の場所に踏切はなく、道路が新しく整備されたことで踏切が新設されたそう。偶然が重なってサングラス大仏の誕生したのだった

※写真撮影/すべて筆者

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名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

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