Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/73161c1831e9946080da802154a43b6fd4baf1b0
ネパール出身で沖縄を拠点に活動するお笑い芸人・らむちゃんの知名度が今や、在日ネパール人の間で“爆上がり中”だ。きっかけは沖縄テレビのお笑い賞レース「新春! oh笑いO-1グランプリ 2025」で、らむちゃんが組むコンビ・めーばーカリーが優勝したこと。ネパールの新聞や大手ニュースサイトによって瞬く間に朗報が駆け巡り、一躍時の人となっている。SNSでの総フォロワー数は約10万人で、在日ネパール人コミュニティの人口が約23万人であることを考えるとその高い知名度が見て取れる。 【写真】ネパール語話者向けに作ったO-1グランプリ優勝のプレスリリース(オリジンlil提供) 大阪・関西万博のネパール館では、パビリオンにいるネパール人ほぼ全員から声を掛けられていたというらむちゃん。同行していた所属事務所オリジンlilの芸人兼社長の首里のすけは「まさか全国的に知られているとは。感動しました」と驚きを隠さない。 一口メモ:らむちゃん 2015年に留学生として来沖し、首里のすけとバイト先が一緒だったことがきっかけでお笑い芸人に。ピン芸人として活動していた中、2021年に、同じくピン芸人だったじゅん選手とお笑いコンビ「めーばーカリー」を結成。本名はアチャルヤ・ラム・プラサド。1994年生まれ。特技は料理。 ■どこのコンビニに行っても店員から「兄さん」と声かけられ めーばーカリーのO-1優勝のニュースは次々とシェアされ、在日ネパール大使館のSNSでも“公式に”拡散されて多くの人の目に触れた。らむちゃんのTikTokのフォロワー数は約2万5000人から約5万人に倍増したという。 「日本にいるネパール人が、おめでとうの意味も込めてどんどんニュースを広めてくれたんですよ」(らむちゃん)。おかげで、今はどこのコンビニに行っても、ネパール人の店員から「ダイ(兄さん)」と声を掛けてもらえるという。東京や大阪で単独ライブをした時には、たくさんのネパール人客も駆けつけてくれた。 所属事務所としてのバックアップも大きかった。めーばーカリー優勝時、報道機関向けに情報を発信するプレスリリースでは、日本語だけではなくネパール語でも作成。ネパールへの積極的な情報発信に努めた。ネパール語翻訳は、らむちゃん自身だ。 もともと「日本唯一のネパール人芸人」として、在日ネパール人コミュニティの中ではその名を知られた存在だった。日本で芸人をやるということは、ネパール人の感覚からするとかなり異色だという。 「日本に来るネパール人は、みんな仕事や勉強という目的を持って来るのに、僕だけ芸人をやっているので、先日も『なんでわざわざ芸人してるの!? お金にもならないのに! 想像できないことやっている』と言われたばかりです。逆にチケットノルマ払ってライブに出てますからね(笑)」(らむちゃん) ■「大好きなネパールと大好きな沖縄の架け橋に」 芸人を始めたての頃に、仮に半年間仕事が無かったら辞めようと思っていたという、らむちゃん。しかし、意外とデビューしてすぐに仕事が舞い込んだ。沖縄ファミリーマートがネパール語でテレビCMを制作したことが転機だった。「デビューする1カ月前からCM出演が決まっていました」(らむちゃん) らむちゃんは2022年に那覇市内で行われた「第39回外国人による日本語弁論大会」で優秀賞に輝いた時、そのスピーチで語っていた夢があった。「私の夢は、大好きなネパールと、大好きな沖縄の架け橋になるお笑い芸人になることです」。ネパールと沖縄の文化の違いをネタにして、笑いと相互理解を届けている。 首里のすけは「海外から来た唯一の沖縄芸人です。逆に僕がネパール行ってお笑いをやると考えると、そんなことできないですよね。言語面だけではなくて、勇気と行動力がすごい。改めてすごいことをやってのけているなと感じます」とらむちゃんの横で語る。 O-1優勝を機に「今は自分がコメディアンだとはっきり言える」と胸を張るらむちゃん。「本当の架け橋になりたいです。沖縄にいてもネパールにいても、一番有名な人間になりたい」と野心をのぞかせながら「ウチナーンチュのみなさんが温かくて優しいからこそ芸人として活動できていると思います」と感謝を口にする。全国区のテレビなどの仕事も少しずつ増えてきた。「どこに行っても『沖縄から来た』という気持ちを大切にしていきたいです」と“沖縄芸人”としての矜持を持ち続けている。
長濱良起

0 件のコメント:
コメントを投稿