Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/21e44335ea01e5680965b554bc06d143edca9d52
イスラエルは28日夜、パレスチナ・ガザ地区の各地で空爆を実施した。アメリカが仲介した停戦合意にイスラム組織ハマスが違反したとし、そのことへの対応だとしている。ハマスが運営するガザ保健当局は、少なくとも104人が殺害されたと発表した。 ガザ保健当局によると、この104人には子ども46人と成人女性20人が含まれている。けが人も250人を超えているという。 ガザでハマスが運営する「民間防衛隊」や病院関係者らによると、北部ガザ市、ベイト・ラヒヤ、中部アル・ブレイジ、ヌセイラト、南部ハンユニスで、民家や学校、住宅街が攻撃されたという。 イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、ハマスがこの日、ガザでイスラエル兵を攻撃したと説明。また、死亡した人質の遺体返還に関する条件に違反したとした。 イスラエル国防軍(IDF)は29日朝、予備役1人が殺害されたと発表。ハマスの指揮官少なくとも30人を含む「数十のテロ標的とテロリスト」を攻撃し、その後に「新たに停戦を開始した」とした。また、「IDFは停戦合意を順守し続け、いかなる違反にも断固として対応する」と付け加えた。 一方のハマスは、指摘された攻撃とは「無関係」で、停戦合意を順守していると主張した。 29日には、停戦合意を守る方針に変わりはないと、ハマスは強調。イスラエルが攻撃を実施し、合意を損なおうとしていると非難した。 アジア各国を訪問中のドナルド・トランプ米大統領は29日、大統領専用機の中で、「私の理解では、彼ら(ハマス)がイスラエル兵を殺害した。だからイスラエルが反撃したのは当然だ」と記者団に述べた。 また、「(停戦を)脅かすものは何もない」、「ハマスは中東和平においてごく一部に過ぎず、彼らは行動を改めなければならない」とした。 J・D・ヴァンス副大統領も、ガザで攻撃が再燃しているものの、停戦は維持されているとの見解を示した。 国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は、これほど多くの人が殺害されたとの知らせは「おぞましい」と述べ、すべての関係者に対し、和平の機会を逃してはならないと強く訴えた。 ガザの民間防衛隊の広報担当によると、ガザ市南郊のサブラ地区では民家が爆撃され、女性3人を含む少なくとも4人が殺害された。 南部ハンユニスではアル・カッサム通りで自動車が爆撃され、子ども2人と女性1人を含む5人が殺されたという。 ハマスは声明で、イスラエル軍を攻撃してはいないとし、「ファシスト占領軍(イスラエル軍)によるガザ地区への犯罪的な砲撃は、停戦合意に対する露骨な違反だ」とイスラエルを非難した。 これとは別に、ハマスの軍事部門は、イスラエルに「違反行為」があったとし、28日に収容した人質1人の遺体の返還を延期すると発表した。 一方、イスラエルの首相府は同日夜、短い声明を発表。ベンヤミン・ネタニヤフ首相が軍に「強力な攻撃」を命じたとした。理由は明らかにしなかった。 イスラエル軍当局者は、停戦合意に基づいてイスラエル支配地域を区分する「イエローライン」の東側で、ハマスによる攻撃があったとした。 イスラエルのメディアは、ガザ南部ラファでイスラエル部隊が28日午後、対戦車ミサイルと狙撃兵による攻撃を受けたと報じている。一方、パレスチナのメディアは、同じ時間にこの地域でイスラエルの砲撃があったと報じた。 イスラエル首相府はこの日、ハマスから前日27日に返還された棺(ひつぎ)に入った遺体の一部について、ガザに残されている死亡した人質13人とは関係ないと発表した。 発表によると、法医学的検査の結果、イスラエル軍が2023年末にガザで遺体を発見したイスラエル人の人質のものとわかったという。首相府は、停戦合意に対する「明確な違反」だとし、ハマスに対して措置を取るとした。具体的な内容は示さなかった。 こうしたなか、イスラエル軍は、ガザ市東部で27日にハマスの工作員らが「あらかじめ用意された構造物から遺体を取り出し、近くに埋めた」場面だとする、ドローン撮影の映像を公開。「この直後に工作員らは赤十字の代表を呼び出し、死亡した人質の遺体を発見したように見せかけた」と主張した。 ハマスはこれを「根拠のない疑惑」だと非難。イスラエルが「新たな攻撃に出る準備として、偽りの口実をでっち上げようとしている」と主張した。 赤十字国際委員会(ICRC)はその後、声明を発表。「偽の収容」があったと非難し、ICRCは「ハマスの要請」を受けて「誠意をもって」現場に立ち会っていたと説明した。 アメリカやエジプト、カタール、トルコが仲介した停戦合意では、ドナルド・トランプ米大統領が示した和平案の第1段階として、10月10日の停戦発効から72時間以内に、ハマスが人質48人(生存者と死者の合計)を返還することになっていた。 停戦発効の直後、生存するイスラエル人の人質全20人が、パレスチナ人の囚人250人およびガザで拘束した1718人との交換で解放された。 死亡したとされる人質28人については、ハマスはこれまでに、イスラエル人13人と外国人2人(タイ人とネパール人)の遺体を返還。それと引き換えにイスラエルは、パレスチナ人195人の遺体をパレスチナ側に引き渡した。 ガザには現在、死亡した人質のイスラエル人11人、タンザニア人1人、タイ人1人の遺体が残されているとされる。 ハマスの交渉責任者であるハリル・アル・ハイヤ氏は26日の声明で、イスラエル軍が「ガザの地形を変えた」ため、ハマスが「困難」に直面していると主張した。 また、「遺体を埋葬した者の一部は、殉教したか、あるいはどこに埋めたかをもはや覚えていない」とした。 ガザに残されている死亡した人質のうち1人を除く全員が、2023年10月7日にハマス主導で行われたイスラエル南部への攻撃の際に拉致された251人に含まれていた。この攻撃では、約1200人が殺された。 イスラエルはこの攻撃を受けてガザでの軍事作戦を開始。ハマスが運営するガザ保健当局によると、これまでに6万8600人以上が殺されている。 (英語記事 Israeli strikes in Gaza kill 104, health ministry says, after Hamas accused of killing soldier)
(c) BBC News

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