Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/8b56c609ab98f36ab8aae985bacbd313c93918f5
介護分野で外国人材が増えている。唯一の国家資格「介護福祉士」を養成する施設では日本人の入学者が減り続け、2025年に初めて留学生が逆転した。もはや超高齢社会で欠かせない存在だが、言葉や文化の壁があり、制度の変化も激しい。共に働く仲間としてどう受け入れるか、養成や就労の現場では模索が続いている。 ■グルン・ススミタさん、ポクレル・アスミタさん、ライ・ビナムさん【写真】 福岡市の介護老人保健施設「老健センターながお」では、ネパール出身の女性3人が働いている。市内の専門学校を経て、介護福祉士の国家試験に合格した「即戦力」だ。
3年目のグルン・ススミタさん(31)は、担当する階を引き合いに「5階の大谷翔平」と呼ばれる。 できなかったことも次回までには必ず修正する。知らなかったラジオ体操も練習を重ねて上手に。利用者に「なぜあなたの名札はカタカナ?」と聞かれるほど日本語も流ちょうだ。
グルンさんと同時期に就職したポクレル・アスミタさん(29)は「お年寄りが大好き」と笑う。夜勤明けに近くの公園のベンチに座り、地域の高齢者らがグラウンドゴルフなどを楽しむのを眺め、おしゃべりするのが何よりの癒やしだ。 2年目のライ・ビナムさん(24)は明るい笑顔が人気。利用者の姿に、来日前に亡くなった祖母の面影が重なる。「お年寄りにありがとうと言われるとうれしい」
施設にとって初めての外国人採用だった。真面目で成長が早く、言葉や文化の違いへの不安は「すぐに吹き飛ばされた」と老健看介護師長の中山恭子さん(63)は振り返る。 施設側は定期的な面談のほか、意識して声かけしている。同じ専門学校出身で顔見知りだったのも安心感につながっている。母国で養成校や介護施設を作りたい夢があり、中山さんは「志が高く、私たちも刺激を受けている」と語る。
職員を募集しても日本人は集まらない。外国人採用のきっかけはそんな事情だったが今や「欠かせない存在」。今春も2人、外国人材を採用する予定だ。 × × 超高齢社会の日本では、介護需要の高まりに人材確保が追い付いていない。
2026年度に約240万人、40年度に約272万人の介護職員が必要と推計されるが、実際は210万人台で推移している。人手不足の穴を埋めようと外国人材が増えている。 昨年11月、福岡県春日市で県介護福祉士会の研修会があった。外国人職員と共に働くには何が必要か、語り合った。
「とても真面目」「元気で若く、利用者から人気がある」など前向きな見方の一方で心配の声も。「『大丈夫?』と聞くといつも大丈夫と答えるが、本当に分かっているのか…」「尿測は尿の量を量ること、などかみ砕いて伝えないといけない」「『さっと』やって、など日本語のニュアンスが伝わりにくい」。家族への仕送りが多額になって家賃を滞納しないように、金銭管理の支援が必要との意見もあった。 宗教への配慮も。ある施設では、インドネシア出身の職員らが昨年3月、イスラム教のラマダン(断食月)の時、入浴介助がきつそうだった。暑くてのどが渇くのに、日中は水が飲めない。途中で気付いて担当から外した。担当者は「ラマダンのことは知識としては知っていたが、接してみないと実態は分からない。本人の話をじっくり聞く必要がある」と語った。
× × 研修会で講師を務めたグローバルイノベーション事業協同組合(福岡市)の寺本藍さん(47)は、外国人と職場間の小さなずれが「誤解やストレスを生んでいる」と懸念している。 同組合は技能実習の監理団体であり、特定技能の登録支援機関でもある。寺本さんは外国人の若者や受け入れ事業者と日々関わっている。
「彼らにとっては日本で暮らすこと自体が大きな挑戦。できないのはやる気がないからではない。不安な気持ちに寄り添って、しっかり説明してほしい。助け合える仲間だと感じられる職場は定着率も高い」 さらに「どんな制度で働いているか、背景を理解することが大事」と力を込める。介護職に就くには4ルートある。各制度ができた経緯や目的は異なり「本人の意識も、即戦力の度合いも全く違う」と言う。
「ながお」のように、専門性の高い介護福祉士は中核的な役割が期待される。働きながら学ぶ技能実習生は、単独で夜勤ができないなど働き方に制限がある。即戦力をうたう特定技能は筆記試験だけで入国でき能力にばらつきがある上、転職も可能なため人材をどうつなぎとめるか、事業者は工夫が求められる。(酒匂純子)
「特定技能」が急増 トラブル多く、フォロー必要
外国人が介護職に就く4ルートのうち、介護福祉士でなくても働ける「技能実習」と「特定技能」が人手不足解消の手段として特に注目されている。近年は特定技能が急増し、最も人数が多い。 技能実習は「働きながら学ぶ」のが目的で、監理団体の支援が手厚い。入国後は約1カ月の講習があり、生活の基本を学ぶ。監理団体であるグローバルイノベーション事業協同組合(福岡市)は自前の寮で講習を行い、手作りの教材は140ページにも上る。
働き始めると、受け入れ事業所は日報を書き、同組合に毎月報告する。組合は実習生と事業所に定期的に面談し、実習生に不安なことがあれば事業所との間に入って調整する。 一方、特定技能は数日間のオリエンテーションなどを経れば働ける。事業所側は日報などの負担がなく、技能実習から切り替える事業所が多いという。
登録支援機関として特定技能にも関わる同組合の専務理事、徳丸順一さん(48)は「入国後のトラブルが多いのは特定技能。日本の慣習を知らないことが原因なのに、会社のせいだと思って転職する場合もある。働く人をフォローできるような態勢が必要だ」と語る。
西日本新聞

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