Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/714a0696c113e3f1c75ea5bf422aba074494c290
在留外国人の数は約396万人(2025年6月末時点)。最も多いのは「永住者」(約93万人)だ。会社で経験を積み、マネジメント業務を行う人もいる。従業員も外国人が多く、主力は「技能実習生」ではなく、「特定技能」外国人だ(全8回の4回目)。 【写真】工場長を務める林さん。来日に「後悔はない」という * * * ■来日して「後悔はない」という中国人男性 「今の状況だったら、日本には来なかったと思います。食料品や光熱費など、さまざまな価格が上がった。円安なので、稼いだ金を母国に持ち帰ろうとしても、大きく目減りしてしまう。台湾やオーストラリアを選ぶと思う」 そう話す中国福建省出身の林興(リン・コウ)さん(35)は15年前、留学生として来日した。ビジネス専門学校を卒業後、日本の食品加工会社に就職。5年前に永住権を取得した。 日本に来たことを後悔しているのかと尋ねると、林さんは、「後悔はない」と即答した。 「日本に来て結婚して子どもも3人生まれた。家も購入した。今は家族のために働いている。生活はギリギリですが、まあ、人生はそんなものでしょう」(林さん) ■単純作業から工場長へ 林さんは1990年、福建省の離島、平潭(へいたん)島で生まれた。両親は海苔(のり)を養殖しながら漁業をしていたが、収入は乏しかった。 高校卒業後、日本で働いていた親戚から、こう誘われた。 「日本に来ないか。中国と比べて給料はいいし、住みやすいぞ」 2010年に来日し、日本語学校に通った。初期費用の約130万円(仲介手数料、入学金、初年度の授業料、航空券代など)は、貯金だけでは足りず、親戚から借金した。 専門学校を経て14年春、友人の勧めで、首都圏にあるカット野菜を製造する企業に就職した。最初は単純作業で、タマネギ、ニンジン、ゴボウ、キャベツなどを包丁でカットした。 それから10年あまり――林さんは今、工場長として従業員約70人が働く加工場を任されている。 ■「技能実習生」より「特定技能」外国人 加工場の従業員の9割は外国人だ。国籍はベトナムが最も多く、約40人。次いで中国が約15人。ほかネパール、フィリピン、ミャンマー国籍の人が働いている。 外国人従業員の在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」のほか、技能実習生として来日し、3年の期間満了後、在留資格を「特定技能」に切り替えた人もいる。 加工場では野菜カット作業の約8割を機械で行っている。ニンジンだけでも、輪切り、乱切り、短冊切り、銀杏(いちょう)切り、さいの目(サイコロ)切りなど、さまざまな切り方がある。それに応じた機械操作や手順通り行うことに加え、細かい手作業も必要となる。職場での共通言語は日本語だ。業務内容が正確に伝わらなければ、客からのクレームや事故につながりかねない。 以前は技能実習生もいたが、生産性が期待したほどには上がらず、現在は受け入れていない。「技能実習生はゼロからのスタートになるから、難しい」と林さんは言う。技能実習生は、基本的に日本語がわからず、日本の職場文化も知らない。 その点、日本在住の特定技能外国人であれば、「問題はずっと少ない」と言う。
■「転職ブローカー」の暗躍で雇ってもすぐに「転職」 ただし、特定技能外国人の場合、雇ってもすぐに転職してしまう人が少なくないという。 技能実習生は原則3年間は転職できないが、特定技能外国人は自己都合による退職と転職が可能だ。 「2年前から特定技能の人を採用していますが、約3割が採用後、3カ月から半年で辞めてしまいました」(同) 林さんによると、その背後には「転職ブローカー」がいるという。特定技能外国人に「もっと給料がいい職場がある」と言って転職をうながし、手数料を稼ぐのだという。 特定技能外国人を雇うには、雇用主となる会社が人材紹介会社に紹介料を支払い、ビザ(在留資格)を申請し、その費用を負担しなければならない。ビザは雇用主と結びついているからだ。 出入国在留管理局(入管)にビザを申請してから許可が出るまで通常数カ月かかる。申請に必要なさまざまな書類も林さんがそろえなければならない。 「せっかく仕事を教えて、慣れてきたころに辞められてしまうと、徒労感を覚えます」(同) ■職場の「トラブル仲裁」まで 林さんの職場では、外国人も日本人も働いている。職場で起こるトラブルの仲裁も、林さんの仕事だ。時に、仕事に対する姿勢のギャップからトラブルが生じることもあるという。 「日本人の『おばちゃん』は、職場のルールに厳格になりがちなんです」(同) たとえば、機械で処理した野菜の剥き残しがないか、目視で確認して、剥き残しがあれば、ピーラーで削り取る。 「外国人が少しでも見逃しをすると、日本人のおばちゃんは怒る。それに対して外国人が反発して、どなり合いになる。そんな場合の仲裁も私の仕事です」 日本人従業員のなかには高齢者もいる。心配なのはけがだ。水を使う仕事場なので、足元が滑りやすい。 「もし、転倒してけがをして、労災給付金を受け取ったとしても、後遺症のためにその人の人生が苦しくなるようなことになったのでは、申しわけない。できるだけ希望に沿うかたちで働いてもらいたいのですが、75歳定年制を設けました」 そう語る林さんは、多くの人を束ねる管理職の顔をしていた。 外国人労働者の多くは稼ぐために日本にやってくる。賃金を上げるには仕事のスキルを高め、単純労働から脱出しなければならない。彼らへの取材で、強い勤労意欲や高い向学心を感じることが少なくなかった。 上司が外国人というと、これまでは「外資系企業」を思い浮かべることが多かったが、今後は普通の企業でも、外国人によるマネジメントが当たり前になっていくのかもしれない。 (AERA編集部・米倉昭仁)
米倉昭仁

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