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移住先のネパールで、僕は約30年ぶりに学生になった。 言葉にすると簡単そうだが、ネパールの大学では入学まで独自のステップがある。そこで今回は、学校入学までに必要な手続きを紹介しながら、ネパールの大学には世界中からどんな人たちが集まってきているのかをお話ししたい。 【画像】読めますか?ネパールで「銀行口座を開設」するための書類
大学入学のために、日本でやっておくべきこと
ネパールの大学(トリブバン大学の国際言語学科)に入学するために、日本で事前にやっておく手続きはほとんどない。必要なのは、高校以上の卒業証明書(英文)くらいである。 そこで僕は、約30年ぶりに母校の大学に連絡を取ることにした。 「本当に卒業してたっけ?」 近年、学歴をめぐる話題が世間を騒がせているが、まさか自分自身の経歴を疑う瞬間が訪れるとは思わなかった。もし、卒業していませんとか言われたらどうしよう……。 結果、卒業証明書は無事に届いた。紙切れ一枚だが、それを手にしたときは妙にほっとした。 ああ、自分はちゃんと卒業していたのだ。
カトマンズでの入学手続きと、銀行口座開設という関門
入学手続きの流れ自体は、2年前にキャンパスを見学しに行ったときに確認していた。まず必要となるのは、銀行残高の証明、そして現地の銀行に口座を開設することだ。 なんの不安もなく大学の受付に向かったものの、2年前とは変更点がいくつかあった。入学時に必要な残高証明の金額が、2,000ドルから3,000ドル(約44万円。2025年5月のレート) に引き上げられていたのだ。まあ、このくらいは想定の範囲内だ。 金額以上に心配だったのは、現地で銀行口座をスムーズに開設できるかどうか。ネットで調べると、「外国人の口座開設はなかなか大変だった」という体験談がいくつも出てくる。 そこで、念のためネパール人の友人に付き添ってもらった。結果的に、これが正解だった。 銀行窓口の人には、いろいろなことを聞かれたが、やはりビザが一番の問題のようだ。 僕の場合、口座開設時点では観光ビザで入国しており、入学手続き後に学生ビザに切り替えるつもりだった。学生ビザの有効期間は約6か月だ。 「ビザが切れたら口座は凍結されるからね」と何度も言われた。 説明を受け、書類を書き、待たされ、また説明の繰り返し。思ったより時間がかかったが、友人のおかげもあり、最終的には無事に口座を開設することができた。 大学の入学金(授業料込み) は500ドル。銀行でビソバサキャンパス宛に振り込み、そのレシートと、その他もろもろの必要書類を持って大学へ向かう。受付に提出すると、すんなり受領された。 「これで本当に学生になるんだな」と実感した瞬間だった。 その後、受付でもらったレシートを持って移民局へ行き、観光ビザから学生ビザへの切り替え。こちらも拍子抜けするほど、あっさり終わった。
入学オリエンテーションと、ネパール語を学ぶ人々
僕が受講する「ネパール語クラス」の授業は1日2時間だ。 授業開始前日に、クラス全員を集めたオリエンテーションが行われた。 正直、ネパール語をわざわざ学ぼうとする人は、そう多くないと思っていた。しかし、フタを開けてみると僕のクラスの受講生は20人近くもいて、他にも同じようなクラスがいくつもある。ネパール語学習界隈は、思っていた以上に盛況だった。 クラスメイトの顔ぶれも、なかなかに賑やかだ。イギリス、イタリア、ノルウェー、ロシア、ウクライナ、トルコ、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、シンガポール、中国、韓国、台湾、アメリカ、そして日本。合計15か国。自己紹介だけで、軽く世界を旅した気分になれるほどだった。 入学の目的は人それぞれ。一人ひとりちゃんと聞いたわけではないが、パートナーがネパール人で、こちらに住み始めたという人が多い印象だ。あとは、とにかく長期で滞在したいからという人もいた。 日本人はこのクラスは僕だけだが、他のクラスにはちらほらいる。キャンパス全体で10名くらいはいるんじゃないだろうか。
ネパール語学習のためには、最低限の英語力が必須
担任は、ネパール人女性のススミタ先生。作家でもある先生で、生徒の自己紹介のときに「僕もライターです」と伝えると、一気に距離が縮んだ。 幸先良いスタートと思いきや、ちょっとした不安材料があった。授業はすべて英語で行われるのだ。つまり、英語がわからないと、ネパール語もわからない。しかも、先生の英語はネパール語なまりがかなり強い。これは先生に限らず、ネパール人全般に言えることなのだが、まずはその音に耳を慣らすところから始めなければならない。 クラスメイト同士の会話も英語。15カ国も集まっているのだから、共通言語が英語になるのは当然なのだが、みんな、それを当然として使いこなしているのがすごい。 まあでも、英語もネパール語も両方学べると思えば、これはこれで悪くない。そう言い聞かせながら、僕の学生生活はスタートした。 根津貴央(ねづたかひさ) ロングトレイルとハイキングが専門分野のライター。2012年にアメリカの『パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)』を歩く。2014年からは、仲間とともに『グレート・ヒマラヤ・トレイル(GHT)』を踏査するプロジェクトを立ち上げ、毎年ヒマラヤに足を運ぶ。著書に『ロングトレイルはじめました。』(誠文堂新光社)、『TRAIL ANGEL』(TRAILS)がある。2025年4月にネパールへ移住。 @hikertrash_taka @ght_project
根津 貴央



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