Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/5c39d7008c01c828de1e90202458a9b67d7741c5
どこの店舗でも忙しなく働くコンビニの外国人。なぜ彼らは、母国を離れ異国の地で店頭に立つのかーー。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答
増え続ける外国人店員
ひとくちに「移民」と言っても、日本にいる外国人は29種類に分けられる。「技能実習」や観光目的の「短期滞在」など、彼らはそれぞれの「在留資格」を得た上で日本に滞在している。 そんな多種多様な移民のなかで、最も身近な存在は「コンビニで働く外国人」だろう。彼らはどこから来たのか。そして、気づいたらいなくなっているのはなぜなのか―。 いまやコンビニは、外国人がいないと成り立たない。大手4社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)の店舗数は全国に5万4000店舗ほどあるが、外国人の店員は8万人を超える。アルバイト全体の1割を占めていて、いまも増加傾向にある。 実は、この外国人アルバイトの7割以上が日本語学校や大学に通う「留学生」だ。 ちなみに、技能実習生はコンビニでは働けない。技能実習の制度上の目的は、母国に日本の技術を持ち帰って役立ててもらうこと。コンビニ業務は日本で「単純労働」と見なされているため、認められていないのだ。
外国人の国籍は10年前から一変
外国人アルバイトが最も多いのはセブンで、外国人の従業員は4万人を超える。国別にはネパール、中国、ミャンマーの順で多い('24年2月時点)。同社の広報部によると、「10年前は中国、ベトナム、ネパールの順で、大半を中国国籍が占めていた」という。この背景について、ジャーナリストの澤田晃宏氏は、こう解説する。 「日本に来るベトナム人留学生は、コロナ前と比べて半減しました。円安と物価高の影響で稼げない国となった上、留学生に認められるアルバイトの時間規制が強まり、留学生としても稼げる韓国に行く人が増えた」 日本に来るベトナム人には「出稼ぎ留学生」も少なくないという。澤田氏はこう続ける。 「一方でネパール人留学生はコロナ前の2・5倍近く増加しています。日本の専門学校、大学を卒業して就職すれば、家族を連れて来られる在留資格が得られます。長期的に日本で生活したいと考える人が多い。ミャンマーは'21年の軍事クーデター以降、外資系企業が撤退するなど、大学を出ても仕事がない経済不安に陥っています。男性は強制徴兵で出国できませんが、留学生としては可能。コロナ前の約3・5倍に増加しています」 中国人バイトは、その大半がいわゆるエリートだ。
仲介手数料で「借金漬け」に
'24年に交換留学生として来日し、法政大学大学院に通いながら都内のセブンで働く女性の李嘉睿(リ・カエイ)さんはこう話す。 「大学院では坂口安吾の研究をしています。日本語が上手くなりたいからコンビニに応募しています。いちばん食べ物が美味しいと思うからセブンにしました。 両親が学費などを負担してくれているので、生活には困ってないです。研究や勉強が忙しいからシフトは週15時間くらい。コンビニだと固有名詞がたくさん覚えられるので楽しいです」 彼女の夢は日本のIT企業で働くことだという。一方で、途上国からやってくる留学生には、李さんのような経済的余裕はない。ライターで『コンビニ外国人』の著者・芹澤健介氏が言う。 「日本の日本語学校は生徒が欲しいので、現地の日本語学校やブローカーと組んで、学生を送ってもらうケースが多いです。現地サイドは留学希望者から仲介手数料を取り、日本の日本語学校からも手数料を受け取る。 悪徳業者だと100万円ほど払わせることもあります。途上国の若者ほど、借金を背負ってでも日本にやってくるのです」 つまり彼らの中には、借金を返すために働いている人もいるというわけだ。そんな留学生にとって、厄介な決まりがある。「週28時間の壁」だ。
労働上限の壁
あくまで留学生は勉強が本分だ。そのため、「働き過ぎるのは本末転倒だ」ということで労働上限時間が週に28時間と定められている。違反すると強制送還の対象になる可能性もある。 こうした規則に苦しむ留学生のひとりが、埼玉県在住でバングラデシュ人のウデイルさん(26歳)だ。現在は、日本語学校に通いながら近所のローソンで働いている。 「経営学を勉強するために来日しました。ただ、大学の授業を受けるにも日本語がわからないと厳しいので、いまは日本語学校に通っています。 思ったよりも生活におカネがかかり、学費が払えていない状況です。何とか母国の父から仕送りをしてもらっていますが、週28時間勤務だと、依然として厳しい状況は変わりません」 彼は厳格なイスラム教徒なので豚肉を食べない。その上、まだ日本語も不自由なので、どの食材に豚肉エキスのような原材料が入っているかわからない。だから、確実に安全なハラルフード専門店で買い物をする。こうした点も家計の逼迫につながっている。同じような状況のムスリム留学生も多いという。 コンビニで働く外国人の現実は、出身国によって大きく異なる。ひとりひとりが様々な事情を抱えて店頭に立っているのだ。 【つづきを読む】『「技能実習生が来てくれない…!」危機的状況に陥る農家が続出中…ベトナム人が茨城に行きたがらない「驚きの理由」』 「週刊現代」2025年2月15日号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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