Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/8ff16e21c5a145406a52452e4f9902ca50dc96ef
セキュリティパルは、大手AI企業がセキュリティ質問リストに対応できるよう支援する企業だ。同社は2023年からネパールのカトマンズで24時間体制の指令センターを運営しており、そこでは約200人の従業員が働いている。「この山間部(ピークス)に豊富なテック人材が集まっている」と、プカル・ハマルCEOは語っている。 サンフランシスコの午後10時は、ネパール・カトマンズの翌日午前11時45分だ。AIセキュリティを手掛けるスタートアップのセキュリティパル(SecurityPal)にとって、この約14時間の時差が顧客の一歩先を行くのに十分な時間となっている。 【全画像をみる】ネパールを「シリコンピークス」に…豊富なテック人材を活かす 「顧客が午後5時までに問い合わせのメールを送信し、その返信が翌朝6時あるいは7時には受信トレイに届いているとしたら、まるで魔法のようだとずっと考えていた。そしてそれが実現できる場所を世界中で探していた」と、セキュリティパル(SecurityPal)のプカル・ハマル(Pukar Hamal)CEOはBusiness Insiderに語った。 2020年にサンフランシスコで設立されたセキュリティパルは2023年2月、ネパールのカトマンズに24時間体制のセキュリティ運用指令センターを開設した。 現在、同センターでは約200人が働いており、その多くは20代から30代だ。専門分野も幅広く、サイバーセキュリティやコンピューターサイエンスなどの技術系から、経済学や心理学といったリベラルアーツ系に至るまで、多様なバックグラウンドを持つ人材がそろっている。 セキュリティパルは、テック業界の大手企業や話題の企業を主な顧客としている。OpenAI、LangChain、Cursorといった主要なAI企業からの「セキュリティ質問リスト」の作成に対応し、重要な役割を果たしている。特に、セキュリティ審査プロセスの簡素化に注力している。 これらの企業が新たな顧客を受け入れる際、その顧客は通常、質問リストを通じてその企業がセキュリティやコンプライアンス要件を満たしているかどうかを審査する。この質問リストは非常に複雑で、企業によるデータの取り扱い方、システムの脆弱性の特定方法、施設を保護するための物理的措置など、あらゆる項目を網羅している。 セキュリティパルの設立当初、すべての質問リストを社員が作成していた。だが、「ステップを自動化する方法があるということに、すぐに気が付いた」とハマルは振り返る。 セキュリティパルでは、企業と契約を結ぶと、まずアナリストがその企業のセキュリティおよびコンプライアンス体制を把握する。その後、過去の質問リスト、インフラ関連文書、コンプライアンスレポート、その他の関連情報を解析して注釈を付け、文章を追加し、その企業に「個別対応」した質問と回答のセットを作成する。AIの活用によって同社は200万以上の質問と回答のセットを集めたリポジトリを構築しており、これをさまざまな顧客からのリクエストに応じて利用している。 新たなツールを導入してAIを活用する企業が急速に成長する中、セキュリティパルの顧客が受け取る質問リストには「パラノイア(過度な不安)」を示す項目が増加しているとハマルは感じている。 「企業はデータ上で実際に何が起こっているのか、把握するのを困難に感じているようだ。質問項目が変わってきており、微妙な内容が増えている」とハマルは指摘する。例えば、大規模言語モデル(LLM)を扱う企業に対しては、「モデルがどのように使われ、どのようにトレーニングされ、どこでホスティングされているのか」といった質問が投げかけられているという。 セキュリティパルは毎年200から300の企業をサポートしている。その大半は500〜1000人以上を雇用しており、5分の1は上場企業だ。2022年のシリーズA資金調達ラウンドでは、同社の評価額は1億500万ドル(約160億円)だった。ハマルは現在の評価額については明かさなかったが、それを超えていると述べた。
シリコンバレーからシリコンピークスへ
ネパール生まれで現在33歳のハマルは、7歳のときに両親とともにカトマンズからニューヨークへ移住した。スタンフォード大学で国際関係学を学び、外交官を目指していたが、最終的にテック業界へ進んだ。2016年に最初のスタートアップ、Teamableを立ち上げ、2020年に買収されている。 セキュリティパルを設立した当初、ハマルは母国に第2の拠点を設ける計画はなかった。彼が注目していたのは、インドやフィリピンなどアメリカよりも数時間進んでいる国々だった。こうした地域なら、顧客にとって夜中の時間帯に、自社チームが業務を進められる。 「私はここ(ネパール)の人材に対してずっと懐疑的だった」と彼は言う。しかし、ネパールからどれだけ多くの学生がアメリカ、イギリス、オーストラリアに留学しているかを知ったとき、その考えを改めるようになった。 2000年から2016年の間にネパールから海外の学位プログラムに入学した学生の数は835%増加し、2017年には4万4255人に達したとWorld Education News and Reviewsが伝えている。また、留学するネパール人学生の比率は、インドなどの隣国と比べてもかなり高い。
Lakshmi Varanasi
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