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「世界を旅しながら仕事をする」というライフスタイルに、一度は憧れを抱いたことがある人も多いのではないだろうか。 テレビ局の過酷な報道現場から自由度の大きいYouTubeの世界へ……。 ⇒【写真】サドゥー(ヒンドゥー教の修行者)との1枚 現在、人気YouTubeチャンネル「EXIT JACK」のマネジャーとして世界中を飛び回り、撮影や動画編集を手がける木村太一さん(34歳)に話を伺った。
地元・北海道のテレビ局に入社するも…
北海道出身の太一さん。地元の専門学校を卒業後、テレビ局に入社した。 「憧れて入社したテレビ局でしたが、現実は苦労の連続でした。報道部に所属していたため、会社の規定で半径2km以内に住み、事件や事故が発生すれば昼夜を問わず現場へ向かう毎日。 2011年の東日本大震災の際には、連絡を受けるとすぐにヘリで現地へ向かい、山奥で遭難事故が発生すれば山岳救助隊と共に山を登り、取材を行うこともありました。休日の夜でも呼び出されることが多く、平均睡眠時間はわずか4時間。休みはほとんど取れませんでした」 テレビ局の報道部といえば、過酷な労働環境で知られている。結局、太一さんは心身ともに限界を感じ、2年でテレビ局を退職することとなったのだ。
地元に留まることへの抵抗から海外留学へ
その後、“昔からの夢”を実現するべく、23歳で向かったのがフィリピンへの語学留学だった。 「高校時代に姉妹都市提携のプログラムでアメリカへ短期留学した経験をきっかけに、ずっと海外留学をしたいと考えていました。また、地元に留まり続けることにも抵抗があり、『海外へ行けば何かが変わるのではないか』と漠然と考えていましたね。 しかし、当時の語学留学は費用が高く、テレビ局で貯めた貯金だけでは到底まかなえそうにもない。色々調べて見つけたのがフィリピンでした」 フィリピンのイロイロ島の語学学校が日本人モニターを募集しており、無料で留学できる代わりに、“学校生活のブログを書く”という条件だったとか。
「EXIT JACK」との出会い
そのブログが好評で、語学学校から声をかけられて3年間マーケターを任せられたという。地元・北海道に帰国した後も留学エージェント(手続きなどのサポート)をお願いされたものの、コロナ禍の影響で留学事業の継続が難しくなる。 そんなときに転機となったのが、後のビジネスパートナーとなる「EXIT JACK」のマンペーさんとの出会いだった。 「マンペーとは、留学エージェントのマーケティング案件を依頼したことで知り合いました。それからしばらく連絡を取っていなかったのですが、EXIT JACKが解散してマンペーが一人になったときに、一緒に海外を回るパートナーを募集していたんです」 当時、「どうすれば海外を自由に旅しながら働けるのか」を模索していた太一さん。その答えが「海外のコンテンツをYouTubeで発信すること」だったという。 募集を見て、偶然札幌に来ていたマンペーさんに連絡を取ったことを機にEXIT JACKのマネジャーとしての活動が始まった。 「マンペーの第一印象は裏表がなく、まっすぐな人。僕自身、動画編集の経験は一切なかったのですが、マンペーにカフェで教わりました。カットの仕方、BGM、テロップの付け方をレクチャーされ、『後はよろしく!』みたいな感じでしたね(笑)」
撮影テーマは現地で決まることも
その後、テレビやYouTubeを参考に、試行錯誤しながら独学で動画編集のスキルを学んだという太一さん。1年後にはカナダ・バンクーバーの危険地帯とされる「ヘイスティングストリート」を取材した動画が170万回再生を超えた。 「企画は主にマンペーが考えていますが、現地に足を運び、自分たちの目で見て『やばい』と感じたものや、『テレビでは取り上げられない部分』を意識して取材しています。撮影中はマンペーと24時間行動を共にし、宿泊する部屋もすべて同じで、それがコンテンツになることも。 特定の撮影テーマを事前に決めるのではなく、現地で出会う人や目にするものなど、流れの中で決まることが多いですね」
15時間を超える過酷な移動も
「EXIT JACK」のマネジャー兼撮影・編集担当として、これまで40カ国以上を旅してきた太一さん。特に過酷なのが長時間の移動だという。 「普通の旅行ではなく大きな挑戦をしようと思い、ネパールの山奥で山岳民族・グルン族が年に2回しか行わない『幻覚ハチミツ』の採取の撮影をしたんです。ネパールに向かったものの、まずは首都カトマンズから西ネパールのスルケットまでプロペラ機で1時間、そこから車で6時間移動し、さらに断崖を5時間かけて登り、ようやく採取現場にたどり着きました。また、ボリビアのウユニ塩湖に行ったときも、首都ラパスから紛争地域を通り、バスで18時間かかったこともありましたね」 撮影では、どんな苦労があるのだろうか。 「ボリビアで撮影していたときは、突然、首元に砂を入れられ、気を取られている隙にポケットからiPhoneを盗まれました。撮影中は、演者よりもむしろカメラマンが周囲への注意が散漫になりやすく、スリの標的になりやすいんです。 そういえば、中国の武漢では街中に貼られていた広告を見て、リアルドールが体験できる店に潜入しました。マンペーが結婚してからは、自分がこういった夜の店に行かされることが増えましたね(笑)」 また、訪れた国々での印象的な出来事についても語ってもらった。 「ギリシャに行ったとき、財政破綻と治安の悪化が報じられていましたが、現地の人々がみんな親切に接してくれたのが記憶に残っています。キューバでは、社会主義国ならではの独特な生活を目の当たりにしました。街中には広告が一切なく、国民全員が平等な生活を余儀なくされているのですが、実際にはお金を稼ぎたいという欲望を抱く人が多く、生計を立てるために路上に立って体を売る女性がいたことも印象的です」
旅系チャンネルはプラスアルファの情報を発信することが肝
現在、太一さんは「EXIT JACK」のマネジャーとしての活動に加え、登録者数1380万人を誇るYouTubeチャンネル「Nas Daily」の日本向けアカウントの運営、編集、翻訳も担当している。また、今年からは動画編集教材のリリースと、幅広くチャレンジし続ける太一さん。最後にYouTubeの将来性について尋ねてみた。 「YouTubeは芸能人など多くの人が参入し続けているため、希少性のあるチャンネルでなければ生き残れなくなっています。特に旅系チャンネルは旅をただ楽しむのではなく、プラスアルファの情報を提供し、視聴者が想像できない部分を発信することが肝だと感じますね」 【木村太一】 北海道出身。34歳。旅系クリエイターと共に1年の半分を海外で過ごしながら、チャンネル登録者58万人の旅系YouTuber「EXIT JACK」、1,380万人の「NAS DAILY」のマネジャーとして活動。「自分が動画編集を始める5年前に、こういう教材があったらよかったな」という思いから、2025年3月に動画編集教材「動画顧問」をリリース予定。Instagram:@taiichi_kmr <取材・文・撮影/カワノアユミ> 【カワノアユミ】 東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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