Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/097da8677b589251570ef695663e5e5c13929eb0
前編記事『「在留外国人の割合が多い市区町村トップ10」が判明!なかには住民の4割が外国人の村も』より続く。
日本に来る東南アジア人が増えている
人手不足に対応するため、日本政府は昨年3月に'28年までに82万人、毎年約16万人の「特定技能外国人」を受け入れる閣議決定を下している。前東海大学政治経済学部教授の小崎敏男氏が言う。 「特定技能とは、一定の技能と日本語能力を持つ外国人のこと。介護の現場などで外国人を広く受け入れる体制を整えています。これは、国が『この先5年で80万人以上の労働力人口が不足している』と言っているようなもの。政府としても外国人労働者なしでは国が維持できないことへの危機感があるのです」 日本に来る外国人の国籍も変わってきている。現在、統計上は、中国、ベトナム、韓国、フィリピンの順で多いが、中国と韓国はその割合が年々減少している。代わりに台頭しているのが、東南アジアの人々だ。株式会社マイナビグローバル代表取締役社長の杠元樹氏が解説する。 「日本の賃金を高いと思ってくれる国の人しか来てくれなくなっています。たとえば、ベトナムの平均賃金は日本円で7万〜8万円ほど、近年日本に来る数が増えているネパールは2万〜3万円、ミャンマーは1万円を切っていると聞きます。彼らにとっては、手取りで15万円ほどという日本の給料水準は、魅力的に映るのです」 なかでも、急激に増加しているのがベトナム人だ。労働者だけに限れば、'20年にベトナム人の数は、中国人を抜いた。その背景には、言語の問題もあるという。 「ベトナムは英語圏ではないので、母国語の次に学ぶ言語に日本語を選択する人が多いのです。この点はフィリピンなどとの決定的な違いです。日本にいるベトナム人のなかには、英語は喋れないけど日本語はできるという人もいる。ミャンマーも同様に英語圏ではないので日本語学習者が増えています。さらに、ミャンマー語は日本語と文法が似ているので、言語習得が容易と言われています」(杠氏)
人口の43%が外国人の村も
インバウンド人気でリゾート開発が進む北海道の占冠村のように、自治体によってはすでに、人口の43%以上が外国人という市区町村もある。「在留外国人の割合が高い市区町村には、大都市を除けば、主に2つのパターンがある」というのは、国立社会保障・人口問題研究所の是川夕氏だ。 「1つめのパターンは人口規模の小さな自治体に数百人規模の外国人がいるケースです。たとえば、長野県の南牧村は人口の5%以上がフィリピン人です。ここはレタスの出荷量が多く、その分人手が必要になるため技能実習生も多い。また、最近では地方のリゾート地でも同様の現象が見られます。自治体がインバウンド需要によるリゾート開発に力を入れているケース。現地で働く外国人も多く、割合が高くなる傾向にあります。 2つめのパターンは製造業が盛んな地域です。ベトナム人の割合が多い愛知県の飛島村は、名古屋港に面した臨海工業地帯で、地元企業が数多くの技能実習生を受け入れています」 外国人増加によって労働力が補われるいっぽう、課題がまったくないわけではない。特に問題視されているのが外国籍の子どもの教育だ。前出の毛受氏が解説する。 「現在、日本語の習熟度が低く、指導が必要な外国籍の児童・生徒は全国に約5万8000人いるとされています。彼らを追跡調査すると、日本語のできない高校生の38・6%が卒業後に非正規雇用に就いています。また、高校の中退率も全国平均の約8倍と言われている。つまり、きちんとした教育がなされていないのです。その結果、日本にいるのに日本語を覚えられず、その結果、不安定な仕事にしか就けない―そういった人がだんだんと増えてきているのです」
移民社会ニッポンが迎える3つの未来
すでに移民社会となりつつある日本だが、「この先、日本には3パターンの未来がある」と毛受氏は言う。 「1つは受け入れた外国人に対して、日本語教育などを積極的に行うことで、彼らの生活が安定し、地域の活力になっていくパターン。 2つめは、外国人の教育レベルや賃金が低いままで固定化され、日本人による偏見が強まり、外国人たちも壁を作ってしまうパターン。 これが進むと、文化的にも社会的にも分断や対立が進む可能性があります。 最後は移民の受け入れそのものを拒否してしまい、活力が失われ、人口が減って国が衰退していくパターンです」 人口減少が進んだことで、外国人との共生なしには社会が成り立たなくなっている。日本はいま、衰退するか否かの、岐路に立たされているのだ。 「週刊現代」2025年2月15日号より
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