Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/b0a8e34d77094a466e32a52ff1d20835ad48dbe5
【列島エイリアンズ】 深夜、〝ワンオペ状態〟の店に客として入店した日本人とみられる男が突如豹変し、金を奪い取る―。中国人女性のYさんが経営する非健全マッサージ店(埼玉・西川口から県内某所に移転)を襲った大胆不敵な「タタキ」(強盗)事件。中国系マッサージ店の経営者が集うグループチャットには、同様の手口による複数の被害報告が投稿されている。 筆者が2021年1月までさかのぼって確認したところ、マッサージ店強盗の最初の被害が投稿されたのは同年8月。約90人がメンバーのこのグループチャット内で、以降7件の被害が報告されている。 Yさんが受けた昨年11月下旬の被害の約1週間前には、「お店に入った強盗。犯人は30代くらいの日本人」というキャプションとともに、Yさんの店とは違う他店の防犯カメラが捉えた動画がアップされていた。 そこには、男が下着姿の女性の髪の毛をつかんで引きずり回す生々しい様子が映し出されている。女性は何度も大声を上げるが、誰も助けに来ない。男は店のレジから金を奪い取ると、悠々と立ち去った。 共通しているのは手口だけではない。この動画に映る男の顔を見ると、Yさんの店で金を奪った男と、背格好や髪形が酷似しているのだ。 他の投稿を調べると、同一犯による犯行を示すような〝証拠〟もあった。 昨年11月上旬と、12月上旬にそれぞれ強盗被害にあったという別々の投稿者が、被害直前、店に日本語で閉店時間や客の入り具合を尋ねる電話があったことを明かしているが、何とその2件の着信番号が一致するのだ。 犯人はあらかじめ店がワンオペ状態で、ほかに客がいないことを確認して、犯行に及んでいたようだ。 しかし、なぜわざわざ電話番号を残すようなことをしたのか。これについてはYさんが説明する。 「違法店舗は非通知からかかってくる電話を取らない。ひやかしがほとんどだし、警察や同業者による探りの可能性もあるので」 筆者は、この残された電話番号に架電してみたが、すでに使われていなかった。犯行用に用意されたトバシ携帯とみられる。 一方、同じ番号から電話がかかってきた直後に起きた2つの事件の犯人の特徴はというと、片方は肥満体形の20代、片方は長身細めの30代と若干異なる。埼玉県内で昨夏以降連続する中国系マッサージ店を狙った強盗事件は、同一組織の複数犯による犯行の可能性もある。 そしてYさん同様、脛に傷を持つ被害者らは、警察に通報していないと思われる。そのこと自体は自業自得と言うべきかもしれない。とはいえ、組織の可能性もある連続強盗犯を野放しにしておいてよいのだろうか。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
0 件のコメント:
コメントを投稿