2020年6月3日水曜日

「コロナにつき外国人お断り」やめさせるには? 弁護士の答え SNSで「名指し」された時の相談先

Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/63acb75ea14cf750df43fdc9e83f8e0f5a83fd93

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新型コロナウイルスの感染拡大の裏で、社会の不安が「差別」を生み出すことがあります。日本で暮らしている外国人のなかには、入店を断られたり、SNSで出身地を理由にした差別を受けたりといった社会の変化に、傷ついている人がいます。人権問題に詳しい師岡康子弁護士と一緒に誰にも分かりやすい「やさしい日本語」で、日本社会の問題を考えました。(朝日新聞記者・根津弥) 【イラストで解説】気づかないところに落とし穴「10万円もらえる?」特別定額給付をやさしい日本語で解説

「差別はいけません」

【相談:新型コロナウイルス(Covid-19)について、SNSで、中国籍の私の名前を出した書き込みがありました。やめさせることはできますか。】 弁護士の答え:まずはSNSの運営会社に言って下さい。やめさせることができないときは、弁護士に相談してください。 SNSを運営する会社は書き込みについて、ルールを設けています。ほとんどが、国籍などで差別することは禁止しています。まずは運営会社に言いましょう(通報)。でも、これだけでは書き込みを消さないことも多いです。 法務省の人権擁護局(http://www.moj.go.jp/JINKEN/)に相談し、運営会社に書き込みを消すように言ってもらう方法もあります(お金はいりません)。インターネットでの人権侵害の相談にのっているまちもあります(お金はいりません)。相談すると、あなたに代わって、運営会社に書き込みを消すように言ってくれます。でも、消さなくても罰はないので、書き込みを消さないかもしれません。 「プロバイダー責任制限法」という法律があるので、この法律の手続を使って、運営会社に書き込み消すように言うことはできます。でも、運営会社が応じてくれないことも多いです。その場合は、裁判に訴えます(お金がかかります)。普通の訴訟より早く判断が出る仮処分の申し立てという手続きを使います。 書き込みをした人が誰か分からないとき、この法律に基づいて、書き込みを投稿した人の名前や住所などを教えてもらうことができます。これも普通は、裁判所で仮処分の申立てをすることが必要です。弁護士に相談する方が良いです。 書き込みの内容が、「あなたの名誉を傷つける(名誉毀損)」ものや「あなたを脅す(脅迫)」ものなどの場合は刑法で犯罪になります。警察に相談して、「被害届」を出しましょう。 日本では、個人に対する差別でないと法的な対応を取るのが難しいです。でも、海外では「〇〇人」など、国籍などで広く差別的なことを言っただけでも「犯罪」として罰する国も多いです。日本では昨年、川崎市がヘイトスピーチの罰則を決めた条例を作りましたが、日本の法整備は他の国に比べて遅れています。

国籍で差別をしてはいけません

【相談:住んでいる町のお店に、「新型コロナにつき外国人お断り」という貼り紙がありました。外国人なので店に入ることができませんでした。どう対応したらいいですか。】 弁護士の答え:国籍を理由に店に入るのを断ることは、してはいけないことです。法務省人権擁護局や弁護士に相談してください。 新型コロナウイルスと国籍は関係ありません。国籍や民族、人種を理由にして、店に入るのを断ることは、できません。日本も入っている「人種差別撤廃条約」に反しています。日本の民法でも、人の権利をおかすこと(不法行為)になります。 法務省人権擁護局や各地の法務局に、電話やホームページで相談することができます。お金はいりません。相談すると、店に「外国人も店に入ることができるようにしてください」と言ってくれるはずです。でも、店が応じなくても、罰則はありません。 もし店が「外国人お断り」を続けたら、あなたは裁判所に店を訴えることができます。あなたに苦しい思いをさせたとして、お金(慰謝料)を要求することができます。 これまでも、外国人であることを理由に店に入るのを断った、宝石店や公衆浴場に、慰謝料を払うように裁判所が決めたことがあります。弁護士に相談してください。 日本では2016年にヘイトスピーチ対策法ができました。「国籍で差別してはいけない」という社会の意識も高まっています。SNSで「おかしい」と声を上げると、他にも声を上げる人が出てくるようになりました。それで、店が「外国人お断り」をしなくなったということもありました。 ヘイトスピーチ対策法では、政府や首長が差別を許さない姿勢を示すなど啓発活動をするように求めています。国連は新型コロナを受け、各国に差別を許さないとメッセージを出すよう求めました。日本政府はまだ対応が十分ではありません。(師岡康子弁護士・東京弁護士会の「外国人の権利に関する委員会」委員)

いろいろな国の言葉で相談できます

●外国人向けの相談窓口やQ&A ・東京都外国人新型コロナ生活相談センター(やさしい日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ネパール語、インドネシア語、タガログ語、タイ語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語、カンボジア語、ミャンマー語) 0120-296-004。平日午前10時~午後5時。 ・新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A(多言語対応) https://covid19-labourqanda.jimdosite.com/ ・外国人技能実習生問題弁護士連絡会 03・6427・5902(東京)、011・231・1888(札幌)。いずれも平日日中のみ。 ・NPO法人「POSSE」外国人労働サポートセンター 03・6699・9359(東京)、022・302・3349(仙台)。いずれも平日午後5~9時、土日祝日午後1~5時、水曜定休。メールはsupportcenter@npoposse.jpへ。 ・法務省人権擁護局「外国語人権相談ダイヤル」 0570・090911( 英語,中国語、韓国語、フィリピノ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語対応)。平日午前9時~午後5時。ホームページはhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html

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